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番外編2:恥ずかしくて、居た堪れなくなって家を出たんじゃない。

ただの番外編2です。番外編1を幼馴染の視点から。


読み飛ばしても本編には何も影響しないと思います。


この番外編は1000文字小説にも掲載しています。

少し曇りがかった空が街全体を覆っている今日、1月25日は、きっとアタシにとって特別な日になるだろう――


「咳止めOK!熱冷ましOK!体調は万全だぁ!!行くぞ行くぞ行くぞぉ……オラァ!!」


自分の部屋のドアを蹴り飛ばす足取りも軽い。


「今日こそはアキラに想いを伝えるんだ!!」


なっはっは!と笑ったところでふと気づいたことが一つ。


「アタシまだパジャマじゃん……」


一度勢い良く飛び出した部屋へ引き返すのってなんでこんなに恥ずかしいんだろう。


誰も見てないのに。


そんなこんなで家を出た。恥ずかしくて、居た堪れなくなって家を出たんじゃない。


ちょっと早めに家を出た方が遅れるよりはいいと思ったからだ!アタシは恥ずかしくない!!




――待つこと5時間。流石に1月。冷える。あっ、雪降ってきた。


――更に待つこと1時間。待ち人来たる。超寒い。


「遅いぞ、アキラ!女子を待たせるんじゃない!許して欲しくば……」


アタシの話を聞けぇ!と言おうとしたアタシの声が遮られる。


「許さなくていい……でも、俺はお前を許さない!!」


この前のアキラの宿題を借りたままでいることだろうか?それとも先週の分だろうか?


先月の分だろうか?去年の分だろうか?


何の事を言ってるんだろう?心当たりのことが多すぎてちょっと分からない……。


しかし、いつもの軽く、小気味良い口調でないその言葉に戸惑う。


必死さと激しさをはらんだ声。アキラがこんなにも怒りを表に出したことは今まで一度もなかった。


幼い頃から一度も。


そして、あろうことかその矛先にアタシがいる。


終わった。終わってしまった。と、そう思った。


今まで大切にしてきた関係も、これから先にあったかもしれない未来も、元々あったはずの道さえ、


今、この瞬間に途絶えてしまった。と。


終わってから、しまった。と、言っても、もう遅い。


溢れ出る感情も、込み上げる想いも、何一つ口からは出てこない。


なのに、どうして、どうしてだろう。


全部、全部目から溢れ落ちていく。


目の前の景色が、アキラの顔が、周りの世界が、全部、全部歪んで、そして……。


真っ暗になった……。

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