下限なし 加減なし 科幻あり
前回までのあらすじ
特大の炎が俺の体を包み込んだ。
おっさんの放った炎は俺のいる場所で停滞し俺を焼き尽くさんとする。
さぁ、ここで問題です。
Q.炎に包まれている現在の俺の気持ちを述べよ。ただし、解答用紙には400字詰め原稿用紙を使用するものとし、その枚数の上限は100枚までとする。
A.あれ?そんなに熱くなくね?(13文字)
なんだよ下限があるとは言ってなかったろ?
「ば、馬鹿な……」
おっさんが呆然とした表情のまま立ち尽くしている。杖も落としちゃってるな。
俺を包み込んでいた炎が消えていく。
見せかけだけとか心臓に悪いからやめてほしいよね。うん。
「何者なんだ!お前は!?」
「落ち着けよ、おっさん。ハゲるぜ?」
「質問に答えろ!正体を表せ!化け物め!」
様子を見るに加減をしてくれてたってわけでもなさそうだな。
それにしても正体……。正体だって?
「ふふ、ふ、ふふふ……あっははははははははははは!」
なんだよ笑えてくるじゃんか。
「ひっ……!」
「怯えることはないさ、おっさん。ただ俺に面と向かって正体を聞いてきたのは……」
腰を抜かしつつも必死に後ずさりするおっさん。
おっさんを睨みつける俺。
「お前が初めてだ」
精一杯のイケメンボイスである。おっさん相手にこのセリフとか……我ながらキモイ。
てか一介の高校生に面と向かって正体聞いてくるやつとかないわー。
「たっ、誰か!誰か、たすけっ……」
『では助けよう』
突如現れた黒い影が俺とおっさんの間に立ちふさがる。
その姿は靄がかかったようなものではっきりと視認はできないが、確かにそこには何かがいた。
そしてソレがこちらを振り向いた瞬間、全身から滝のような汗が流れ落ちた。
本能で理解した。
コイツには、敵わない。
『威圧は効くが物理や魔法といった類には耐性がある……のか?しかし妙だな……。そこの人間よ、我の問いに答えよ』
「…………」
『沈黙は肯定とみなす。以後我が問いの全てに答えるまで思考の自由を禁ず。我の問いに必要な情報のみを思考せよ』
『ではまず一つ目だ。人間よ、お前は神様遊戯の最中か?』
「そんな遊戯は知らない、です」
『ならば次の問いだ。人間よ、お前の歳は15より下か?』
「いや、違う、です」
『さて、最後の問いだ。人間よ、お前は一体何者だ?』
「蒼乃玲。17歳。普通の高校生、です」