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本当に異世界っすか。そうっすか。



頭を地球で殴られるというミステリー小説でもなかなかお目にかかれない罰を受けた俺は悶絶……はしていなかった。


どうやら手加減はしてくれたようで全くといっていいほど痛みはなかった。


いや、この場合は俺で地球を殴った。が正しいのか?そもそもここが地球かどうかも疑わしいが……。


「お前の罪は二つだ不審者!神殿に許可なく侵入したことともう一つ!神官である私の警告を無視し、挙句侮辱した罪だ!」


おっさんが怒鳴り散らす。


だからっていきなり実力行使ってどうかと思うよ?


なんなの?頭がハゲ散らかってるのと関係があるの?


ハゲ散らかってるから怒鳴り散らすの?


まぁ、仮にも年長者だし怖いから口には出さないけどね。


「そんなに怒ってると余計にハゲ散らかっちゃいますよ?」


なんて、間違っても口には出しませんよ、えぇ、出しませんとも。


「判決、死刑。若い命だがやむを得まい」


おっと、口に出てしまっていたようだ。


いやいや、そんな悠長なこと考えてる場合じゃない。そろそろ本当に殺されるかもしれない。


謝罪だ!謝罪をしなければ!全力で謝罪をすれば許してくれるってのが人の世の常ってやつだ。多分!


「フヒヒ、サーセn……」


じろりと睨みつけてくるおっさん。


「大変申し訳ございませんでした」


対する俺。THE✩土下座。


勝ったな。これで許されないわけがない。恐る恐るといった体を装いながら顔を上げるとそこには特大の炎の塊が。


あ、詰んだ。勝ち確だと思ったら、致命傷になりそうでござる。


土下座で許されないんだもん。日本じゃないよね。


いきなり不思議な力でひっくり返されたり、炎の塊飛んでくるもん。地球じゃないよね。


薄々感づいてはいたがここはやはり異世界ということで間違いなさそうだ。


本当に異世界っすか。そうっすか。じゃあ僕はこれで……。





帰れないから困ってるんでしたね。そういえば。


これまでの記憶が脳内を走馬灯のように駆け巡る。


俺を産んでくれた母さん。


母さんと一緒に俺を育ててくれた父さん。


初孫ができたと歳を忘れて大はしゃぎした挙句側溝に頭から突っ込んで亡くなった父方のじいちゃん。


数学の宿題を写させて欲しいと言いつつ何故か俺を公園に呼び出した幼馴染。


いつも親身になって俺のことを考えてくれた担任の教師。


いつも笑顔で俺に数学の宿題を押し付けてきた数学のハゲ吉。


走馬灯でも俺に殺意を抱かせるとは流石だぜハゲ吉。


死の間際には一瞬が永遠のように感じられるってのはこういうことをいうのかと妙に納得していると、とうとう炎が俺の体を包み込んだ。


南無。










































あれ?そんなに熱くなくね?

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