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外伝7

外伝の続きです。


説明は外伝1へ。



「波乱」


ずっと歌の練習してる……。いい加減辛い。


何が辛いって、変化が無さすぎて辛い。


何か刺激的な変化が欲しいところだが、ここ数百年の間、特にこれといった変化はない。


視界に映るのはいつもどおりの光景。荒れ果てた荒野、どんよりした空、謎の物体Ⅹ(ギトギトしてる)、


澱んだ空気、カップ麺の山、あとは、特に何もな……ん?


待てよ。何か変なものが混ざってた気がする。


謎の物体Ⅹ?何コレ?気持ち悪っ!一体どこからこんなものが生成されて……。


 『オロロロロロロ……』


見なかったことに……したほうがいいのだろうか。


ロボットとはいえ、女の子が嘔吐する衝撃の瞬間を見てしまった。


こんな刺激はいらないと目を背けようとした刹那。


 『あ』


目があった。あってしまった。


しかも、一瞬気まずそうにした後、あろうことかこちらに向かって歩いてくる。


そしてひどく神妙な面持ちで俺を見つめる。


最悪な事態が頭の中に浮かぶ。


だが、コイツに限ってそんなことはないと思いたい。


これまで数百年もの間、なんの故障も、不具合もなく稼動していたコイツが……。


「おい、お前まさか……」


いつもより若干気だるそうな雰囲気を感じる。やはり、故障なのだろうか。


 『うん。多分だけど、今アキラが考えていることは当たってると思う』


目の前が真っ暗になる感覚。久々に感じた絶望。崩れ落ちそうになる俺に……


 『赤ちゃん、できちゃったみたい』


「は?」


『最近、つわりがひどい』


何を言ってるんだ、コイツ?


 『一度も避妊なんてしなかったから……。多分、そのせい……』


待てよ。待て待て待て待て!マジで何言っちゃってんの、コイツ?意味が分からないんだけど!?


 『大丈夫。きっと元気な子を産んでみせる』


「何も大丈夫じゃねぇ!どういうことか全部説明しろ!」


 『説明……私が?全部?』


他に誰が説明できると思うんだ、コイツは。


「当然だ!何がどうなって、誰がどうなってるのか!これ以上ないくらい詳細かつ正確に説明しやがれ!」


 『アキラ……女の子に、そんなこと言わせようとするなんて……えっち……』


いつもよりしおらしく、女の子らしいその反応に罪悪感に駆られる。


やっちゃったの、俺?一線超えちゃった?


だって顔真っ赤だし。俺か?俺が悪いのか?


でも本当に、俺は何も知らないんだ!


いくら欲求不満だからって、顔や性格が優海そっくりだからって、俺は……俺は……。


「機械萌えじゃな~~い!」


決して機械なんかに発情はしない!はずだ!と、信じたい!


 『冗談。避妊はしてないけど、妊娠もしてないから』


駄目だ。


無意識とはいえ、発情したのは間違いなさそうだ。


いっそのこと、この発言も冗談だと言ってくれれば……いや、それだとダメ、なのか……あぁ、なんだかよく分からなくなってきた。


もう、どうでもいいや……。


俺は意識を放棄した。

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