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外伝4

外伝の続きです。


説明は外伝1へ。

「最低のクズ野郎」


傷心旅行から帰還した俺の目の前に現れたのはお手伝い用ロボット(一般家庭向け)だった。


完全なる人型を追求したロボットで、見た目は人間と寸分違わぬ容姿だが、人との日常的なコミュニケーションは不可能。


その制作意図は確か、『針に糸を通すこと』だったはず。


見た目なんてどうでも良かっただろうに。


まったくもって、無駄な技術力だ。その技術力を青い猫型ロボットの開発の方に向けてもらいたかったね、正直。


針に糸を通すロボットなんて何の役にも立たない。


そう思って、そのロボットをスルーしようとしたところ……。


『……おかえ、り、ア…キラ』


出迎えられてしまった。


このロボットが只者ではないらしいことを悟った瞬間だった。


簡単に言うなら、そのロボットはやはり針に糸を通すロボットということで間違いなかった。


が、搭載されているAIが市販のものではない。


俺の声を認識し、勝手にマスター認証した後に、そのロボットが始めたぎこちない日本語の説明によると、AIの名称は「YUMI-chan"made by Me"」。


明らかに親父の開発したものだと思われた。


そして、説明の最後に親父が録音したメッセージが流れたことでそれが正しかったことを知った。


『私の予想した通りなら、お前には人間的なつながりが皆無になってしまうだろう。


よって、このロボットを残すことにした。


AIは優海ちゃんに了承を得た上で、優海ちゃんの思考回路や感情を再現した。


優海ちゃんにはある程度の事情も説明したぞ?


お前が優海ちゃんのことを好きで好きで堪らないけど、嫌われるのが怖くて、素直になれなくて困っている。


マジで救いようのないチキン野郎だから、優海ちゃんを再現したAIでシミュレーションをして試してみたいらしい。


みたいなことを言ったらすぐに協力してくれたよ。


私が優海ちゃんだったらそんなヘタレな上に変態的な思考の奴のために協力なんてしないがな。HA✩HA✩HA!


あぁ、それと私もすぐに死ぬことになると思うから、遺産は好きなように使ってくれてかまわんよ。』


ついでに親父が最低のクズ野郎だということも知った。


人を疑うことを知らない人間にそんなあるはずもない嘘を言うなんて、最低だ。







本当に、最低のクズ野郎だ。

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