外伝3
外伝の続きです。
説明は外伝1へ。
「そうだ、八つ当たりをしよう!」
事の顛末としては、政府の人間が人質をとって実験内容を吐かせようとした時に、選ばれた人質が幼馴染の優海であることに俺が激昂。
政府のお偉いさん方を順番に殺害。
方法については割愛するけど、こちらは何回殺されてもいいんだから、たかだか一回殺すなんて簡単だった。
それが気に障ったらしく、実験参加者が死んだことには何も感じていなかった政府のお偉いさんの生き残りがこれまた激昂。(俺の方が数は殺されているんだから一回殺したぐらいで文句を言われる筋合いはないのだが)
結局、人質だけでは飽き足らず、俺に関わるすべての人間を殺害した。ということらしい。
本気で殺してやろうかと思ったが、一度殺していたのでそうはいかない。
既に彼らを殺してしまっていた俺には二度と彼らを殺すことが出来なかった。
彼らを一通り殺害した後、自由の身となったものの、知り合いが一人もいない、ましてや、優海のいない世界で生きていても仕方がなかった俺は、この世を去ろうとした。
去ろうとして去れるものなら、どれだけ楽だっただろう。
死ねない。
そんな唯一つのアイデンティティが、他人から見ればさぞ羨ましかったであろうアイデンティティが、邪魔で仕方なかった。
そこで、死にぞこないの俺がとった行動はシンプルなものだった。
傷心旅行。
世界一周の旅にでた。
世界各地を周り、手当たり次第に目に付いたものを破壊しながら、大量の放射能や細菌を撒き散らしながら、世界を一周した。
時間が経てば地球上の生物は人間も含めて全滅するだろう。
俺以外は。
「俺が死ねない世界なんて死んでしまえ」なんて、八つ当たりもいいところだった。




