死遊戯殺人 イー8
ブックマークが三人に!!!
本当にありがとうございます。
拙い文章ですが楽しんで頂ければ嬉しく思います\(^o^)/
朝、目覚めると頭の片隅に正人の顔が思い浮かぶ。正人が殺されてから、いつも殺された光景が夢に出てくるのだ。正人は壁に打ち付けられ、首が切られて殺されていた。普通ならば悲鳴を上げて逃げ出すのだろうか。それとも動揺して正人を壁から降ろそうとするのだろうか。
直哉は、そのどちらとも違う行動を取った。死体を観察し興奮したのだ。
興奮して、正人の姿を目に焼き付けていた。もっと見たい。もっと知りたい。そんな衝動が心の中に溢れてきた。知りたい。殺人を……スマホを取り出して『殺人サイト』を開く。
そこには新着情報として『死遊戯殺人』と書かれていた。
クリックしてサイトを進めると、鈴村一家の殺された状況が事細かに書かれていた。
第一発見者と名乗るこいつは誰なのだろう。
『殺人サイト』の中で『死遊戯殺人』は関連付けされた連続殺人だと言われている。
これについて警察はどう思っているのだろう。
共通点は昔のオモチャに見立てた殺しということと。男子高校生が殺されているところ。殺人が行われた場所が近所であったことだ。それ以外に共通点があるのだろうか。
僕が住んでいる町と隣町で四件。まだ起きるのか、それともこれで終わるのか。犯人はどうしてこんなことをしたのだろう。思考を始めるとそれだけに集中してしまう。
登校してすぐに京が傍によってくる。
「なぁなぁ、知っているか?」
「京はいつも突然だな」
「俺らしいだろ。それでさ、鈴村一家が殺されたのは知っているよな?」
「ああ。知っているよ」
「それで新しい情報が入ってきた」
「鈴村の兄貴って彼女が居たらしいんだよ」
「そりゃ~彼女がいてもおかしくはないだろ?」
「ちげぇ~よ。その彼女が、鈴村が殺された日から行方不明になっているらしい」
「えっ?どういうことだよ」
「おっ!興味を持ったな。何でも鈴村一家がサイトに記載された直後。昨日の朝な。学校に来ていたらしんだけど。警察が事情聴取をしようと家に行ったら行方がわらかなくなっていたらしいんだよ」
「一日だけなんだろ?どこかに出かけてるだけじゃないのか?」
「警察も最初はそう思ったらしいんだけどな。どうもスマホの連絡もつかない。友達や家族も行方がわからないっていうんだよ」
「相変わらず、そんな情報よく知っているな?」
「それはサイトだよ。サ・イ・ト」
京は全てサイトで片付けてしまうので、イマイチ真実にみかける。
京の言葉を確かめるため、『殺人サイト』を開くと更新されていた。
そこには鈴村 彰の彼女、浜田 美砂氏、年齢17歳。が、昨日の夕方から行方不明と記載されていた。
まるで全てを見ていたかのように情報が更新されていく。サイトの運営者に身震いを覚えて続きを読んだ。
浜田 美沙さんは鈴村一家が殺された翌日、高校に登校していた。
帰宅時は友達と談笑しながら家にたどり着いたという。帰宅後、警察が事情聴取のため家を訪れた。
その時から行方がわらかなくなっており、警察は緊急で捜索を開始した。
しかし、現在も行方は分かっていない。警察は情報を求めている。
「なっ。俺の言った通りだろ」
「ああ。この浜田っていうのは誰かわかっているのか?」
「何でも五組の奴らしいぞ」
「この学校なのか?」
「ああ。鈴村 絵美の友達らしい。多分遊びに行っている間に兄貴といい感じになったんじゃねぇの?」
京の推測を聴き流しながら、直哉は浜田の行方について考えた。
どうして彼女は姿を消したのだろうか?まるで自分が犯人だから逃げたと言わんばかりだ。だが、もしかしたら……
「なぁ京、ちょっと頼みがある」
「おっ!とうとう直哉もサイトの素晴らしさに気付いたか?」
「まぁ、そんなところだ。それで頼みなんだけどな。この浜田がどんな女性だったかを調べてくれないか、もし居場所がわかるなら居場所も込みで」
「浜田?ああ鈴村兄の彼女な。別にいいぞ。なんだか探偵みたいだな」
京は楽しそうに笑っていた。
「頼む」
「なんだ、なんだ。お前もこの事件に興味津々か?さすがは親友だな」
「どういうことだ?」
「俺もちょっと気になっていてな。俺なりに調べているんだよ。また今度詳しく教えてやるよ」
京がまた今度と言った瞬間に、チャイムが鳴り響き授業が開始される。
直哉はどうすれば事件のことが分かるのか考えた末に一つの結論に至った。
自身が知り得ない情報を持っている人間に聞けばいい。『殺人サイト』には確かに被害者やその状況については書かれていた。
しかし、容疑者については何も書かれていないのだ。
「まずは情報だな」
直哉は改めてある人物に連絡をとった。
「すみません。お話したいことがあるので、お時間とっていただけませんか。はい。出来ればお一人でお願いします。時間はバイト終わりの22時で大丈夫です。よろしくお願いします」
電話を終えて、息を吐く。
「よかった。後は話の以っていきかた次第だな」
放課後になり、直哉は天文部の部室にきていた。
昨日奥村が話していた小森に会うためだ。
「すみません。小森さんっていますか?」
天文部の部室の扉を叩くと女性の声がして、直哉は扉越しに小森という女生徒に用事があると伝える。
「私が小森です」
天文部の扉が開かれ、小柄でメガネをかけた女生徒が中から出てきた。
「君が小森さん?俺は二年の藤井 直哉と言います。少し聞きたいことがあるんだけど、話を聞いてもらえる時間ってあるかな?」
「はぁ、部活までの時間でよろしければ」
部室の中には小森一人だけだったらしく、人影はなかった。
「ありがとう。そんなに時間は取らせないから。部室には一人?」
「はい。まだ誰も来ていません。まぁ元々4人だけしかまともに来ていませんでしたが」
「四人?三人じゃなく?」
「はい。四人です。確かに一人かけてしまいましたが……」
神妙な顔になった小森を見て、話を変えようとン直哉は場所を代えることを提案する。
「ちょっとついてきて」
「わかりました」
直哉は小森に付き合ってもらい、階段の奥。空き部屋の前に来ていた。
「ここでいいかな」
「はい。それで話とは?」
「ああ、まず事情を簡単に説明するね」
直哉は自身が殺人事件の目撃者になったこと。その事件について調べていることを簡単に説明した。
「それで今日は私に何のようですか?」
小森は直哉の話に驚くこともなく、淡々とした調子で直哉に質問をしてきた。
直哉第一発見者と伝えれば驚かれると思っていたので、小森のことを不思議な子だと思った。
「一昨日に、君と奥村が一緒に出掛けていたか、聞きたいんだ」
「一昨日ですか?確かに奥村さんと出かけました」
小森の言葉に直哉は奥村が嘘をついてないのだと安堵した。
「17時前まで一緒にいて、それ以降は別れました」
「17時前?」
「はい。奥村さんの方に予定があるとかで、その時間で別れたと思います。ずいぶん時間を気にしていましたので、間違いないと思います」
小森は丁寧にその時の状況を説明してくれた。直哉は奥村の言葉を思い出しながら、思考を巡らせる。
「小森君、ここに居たのか、そろそろ部活を始めるよ」
直哉の返答を待っていた小森に岬が声をかける。
「あっ!部長」
岬は小森の姿を確認して声をかけると、部室の方に戻って行った。
直哉も岬の声に反応して、意識を覚醒させる。
「時間を取らせてしまって、すまない。行ってくれ」
「わかりました」
「あっ、最後に一つだけ、岬先輩ってどんな人だ?」
「部長ですか?完璧な人だと思います。何事においても妥協せず何事もチャレンジしていきますので。全国模試も二年連続一位だと言っていました。ただ、その正確が怖いと思うときがあります。ついていけないっていう感じですね」
「そうか、ありがとう」
直哉は改めて小森に礼を述べて別れた。
小森の話を思い出しながら、バイトへと足を向けた。
「全国模試一位の岬先輩か……」
直哉の中で奥村と親しげに歩く岬の姿が思い出された。
不快なことではないが、あまりにも違和感がある光景だったと直哉は考えていた。
直哉は国道沿いの喫茶店。ノスタルジックでバイトをしている。
高校一年のときから働き始めて、すでに一年が経とうとしていた。
週に二回だけではあるが、小遣い稼ぎにはそれぐらいでちょうどいいのだ。
「おはようございます」
「ああ、おはよう。今日はバイトが少なくてね。忙しいと思うけど、頼むね」
直哉が従業員専用の入り口から入っていくと、店長の遠藤エンドウが座っていた。
遠藤は今年50歳になる。メガネをかけ顔がこけている。痩せ方な体型をしていて、苦労人な性格が顔に滲み出ているような人だ。垂れ目で優しそうな雰囲気を持っている人なのだが、目の下のクマのせいでどうにも体調不良を心配してしまう。
「わかりました。すぐに着替えます」
遠藤に軽く会釈をして、ロッカールームに入る。
ロッカールームでは同じ時間にバイトに入る。田中 和也が着替えていた。
「おはよう」
「あっ直哉さんおはようございます」
田中は直哉の双葉高校の一年後輩で、バイト仲間としては仲良くしている。
仕事中はあまり話さないが、話をするときは敬語で話してくれる。
「今日は忙しいらしいね」
「らしいいっすね」
「急ぐか」
「はい」
急いで服を着替えてホールに出る。
ノスタルジックは、基本的に厨房は店長とシェフの角谷カドタニ 要カナメさんが担当している。そのため、バイトは全員ホールでウエイターやメイドの格好をして給仕に勤しむ。
本当にバイトが少ないと直哉は思った。ホールでは店長の奥さんが一人だけだった。
普段であれば後二人は多残っている。ホールはスタッフで回している。夕方の混む時間帯だけバイトを被らせて多く見積もっているのだ。
しかし、普段残ってくれる昼のフリーターさんが体調を崩して休んでいた。
ノスタルジックは国道沿いにある喫茶店で、味や接客の評判がよく。
繁盛しているので店に入れば大抵忙しくバイト同士で会話をする時間もない。
その日も夕食を食べにくる家族連れや、部活帰りの学生などでごったがえしになっていた。
「三番テーブルお会計です」
「は~い。直哉君、そろそろ落ち着いてきたから上がってもらって大丈夫よ」
慌ただしさも落ち着き、店長の奥さん遠藤エンドウ 静江シズエさんが声をかけてくれる。
50歳近いはずなのだが、メイド服が良く似合っている。
ベテランメイドと言った感じで、なぜか三角眼鏡を愛用している。
「わかりました。先に上がらせてもらいます」
時計を見ればいつの間にか22時前になっていた。直哉はホールを後にする。
田中は21時までなので、先に上がった。それからも忙しかったので、時計に気付けなかった。
着替えている間に22時を少し過ぎてしまった。
「急がないと」
直哉は服を着替えて待ち合わせ場所へと急いだ。
国道沿いから駅の方に向かって、少し歩いたところにあるコンビ二で目的の人物の姿を見つけた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。