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殺人サイト  作者: ノミの心臓を持つ男
3/13

死遊戯殺人 イー3

三夜目です。


一応完結まで書き終わりましたので、完結まで投稿したいと思います。

 放課後になり、鞄を持って立ち上がる。絵美に会いに行くためだ。

家の場所は、正人と奥村と四人で一緒に帰ったとき、鈴村を送ったことがあるので知っている。


「直哉。今日は俺、部活あるから一緒に帰れないぞ」


 京が態々放課後に声をかけてきた。京は明るい性格からお調子者キャラ扱いされやすいが。

頭も良く、機転も利く。気遣いもできる奴なのだ。

 部活は報道部に在籍していて、学校新聞などを作っている。

校内でも京の書いている内容は評判がいい。

 今日は一緒に帰ると約束をしたわけではない。なのに、声をかけてくる律儀な奴だ。


「ああ、俺も今日は予定があるから今日は無理なんだ」

「なら、丁度よかったな」


 報道部の部室は視聴覚室を借りているので、下駄箱を通り過ぎる。

下駄箱まで一緒に歩いていると、廊下で奥村が歩いていく姿が見えた。


「あれは誰だ?」

「誰だよ?」


 直哉は奥村と供に歩いている男子生徒を指した。


「ああ。岬先輩だな。天文部の部長だよ。成績優秀で特待生だったと思うぞ」


 相変わらず情報通な京のお蔭で、すぐに奥村の隣を歩く男子生徒が誰かわかった。

誰かわかったが、一緒に歩いている奥村の顔を見て不思議に思った。


「楽しそうだな」

「そうだな。まぁ岬先輩は人気あるからな。成績優秀な上に容姿端麗。しかも男女分け隔てなく優しい性格と非の打ちどころがない人だって噂だぞ」


 直哉はしばし、奥村と岬先輩が歩いている姿を見ていた。

しばらくして、視線を外して靴を取り出す。


「なんだ、なんだ。奥村が気になるのか?そういや今日も呼び出されてたよな」

「ただ気になっただけだ」

「はいはい。そういうことにしといてやるよ」


 京は笑って、手を振りながら去って行った。


 下駄箱を出て校門に向かって歩いていくと。スーツを着た男女が校門の前に立っていた。


「藤井 直哉君だね。少し話を聞きたいのだけどいいかな」

「えっと、あなた方は?」


 男は胸ポケットから大門が刺繍された手帳を見せてきた。


「わかりました」

「すまないね。態々ご足労願っちゃって」

 

 二人組の刑事と供に、高校から少し離れたファーストフード店に入った。

スーツ姿はファーストフード店では目立っていが、気楽に入れる店がここか、ファミリーレストランのどちらかだったのだ。

 それならばファーストフードの方が食べたいと思った直哉が店を選んだ。


「いえ、今日はどうされました」


 正面に座っている男性の刑事に話しかけた。

直哉は取り調べを受けた際に色々と質問をされていたので、たいして話すことはないと思っていた。


「いやね。今日班長のところに君が来たって聞いたからね。もう一度事情を聴いておこうと思ってね」


 朝に悠木に会ったことで来たのかと思うと納得できた。


「自己紹介がまだだったね。僕は捜査一課の影村カゲムラ 孝一コウイチと言います。こっちは一緒に行動している時音トキネ アスカ君です」


 時音と呼ばれた女性が頭を下げる。

時音はショートヘアーで肩のところで髪を切り揃えている。

 顔は整っていて綺麗な人だ。

目つきが少しキツイ印象を受けるが、クールビューティーと言う感じでかっこいいよく見える。

 時音に向けていた視線を影村に戻す。

影村は四十ぐらいのオジサンで、第一印象は無精ひげが不潔そうに見えてしまう。

 長い前髪のせいでハッキリと顔は見えないが、無精髭がなければ整った顔立ちをしていると思った。

前髪の奥からチラリと見えた視線は鋭く、不思議な雰囲気をした人だ。


「時音です。よろしく」

「はい。藤井 直哉です。よろしくお願いします」

「はいはい。挨拶も終わった事ですし、いくつか聞きたいことがあるのですがいいですか?」

「はい」

「やけに素直だね。こういう場合、どうしてですかとか質問されることが多いんだけどね」


 影村は意外そうな顔をしているが、その都度、直哉の顔色の変化を見ているようだ。


「いえ、先ほど正人の親父さん。悠木さんに聞いてきたって言っていたので、そのことを聞かれるのかと」

「なるほどね。冷静なんだね」

「昔からこういう性格なんです」

「そうか、大人びているね。じゃ早速質問させてもらうよ」


 時音は手帳を取り出して、影村に向かって頷いた。

聴いたことを書くのかなと思って、何も質問はしなかった。


「まず、どうして今朝現場にいたのかな?」

「一週間経ってどうなったのかと気になったからです。昨日の放課後帰るときに廃ビルの前を通ったら警察の方がいらっしゃらなかったので」

「なるほど。じゃあ、そのとき見つけた手帳というのはどのへんにあったのかな?」

「僕達が通り道にしている裏道で見つけました」

「中は見ました?」

「はい。少しだけですが、見つけた際に中身を読みました。中身を見て、正人の物だとわかりました」


 直哉が話すのを止めると時音が書く手を止める。

影村も少し考えるように頭を掻いて、直哉の顔をマジマジと見つめた。


「最後の質問です。君は僕達に何かを隠しているね。それを話してもらえないだろうか」


 影村の鋭い目が前髪の中からハッキリ見えて、直哉の背筋に寒気が走る。

その寒気は直哉にとって高揚でしかなく。直哉は笑いを堪えるために口元を手で押さえた。


「どうかしたかい」

「いえ、すみません」


 直哉が口元を押さえたことで、影村の目つきの鋭さが増した。


「隠し事はしています。ですが今回の事件とは関係ないと思います」

「なんでもいいのですよ。話してくれないかな」

「警察の方に話していなかったのですが。正人には彼女がいます」

「彼女というと奥村 雪さんだね」


 警察の方でも奥村 雪のことは知っていたようだ。


「奥村から正人とあるモノを見たと相談を受けました。何を見たのかまでは聞いていません。それが事件に関係あるのかもわかりません。正人のことで隠しているとすればそれぐらいです」


 直哉は正人の彼女が奥村だと断言することなく話を続けた。

じっと正人の顔を見ていた影村も正人の言葉に嘘はないと判断したようだ。


「いや~長い間付き合わせて悪かったね」

「いえ、むしろ奢っていただいてありがとうございます」

「いやいや、こちらこそ協力ありがとう。では我々はこれで失礼するよ」


 影村達がファーストフード店を出て先に去ったのを見送り。

直哉は腕時計に目をやる。腕時計には17時を過ぎたところに針が来ていた。

 今から絵美のところに行っても迷惑ではないか考えた末。まだ夕方だし大丈夫だろうと判断して歩き出した。


「あの子のことをどう思う?」


 路地を曲がったところで、身を隠していた影村が直哉の後ろ姿を見ていた。


「不思議な子ですね。第一発見者というとどうしても疑われるものです。実際、我々は疑いをもった目で事情聴取を行います。それを分かっているのか、冷静な対応で彼からは焦りというものが感じられませんでした」


 時音は冷静に直哉という人物を見ていた。


「そうだね、変わった子だ。時音君、しばらく彼を見張ってくれるかい」

「わかりました」

 

 時音は影村と別れて、直哉の後を追っていく。


「いやはや、なかなか厄介なことになりそうだ」


 影村は頭を掻きながら歩き出す。直哉の証言の裏付けを取るために…


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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