#002 初陣 ①
何故、俺は戦争をしているのだろうか。
俺の可愛らしい右手てにゴツい長剣を握り、左手には魔力媒介リング(腕)を装着している。
いや、俺はまだ九歳と1ヶ月だ。
なのに、軍人の候補生をやっている。
正直言って、最高だと思う。論理的にはダメだが、異世界で論理なんか通用しないだろう。多分ね。
ちなみに、何故異世界だと分かったのかというと、単純に魔法があったからだ。しかも、俺にはチート級の魔力もあった。
だから、訓練学校に入れられた上に、軍人の候補生となった。そして、我が帝国は世界一の軍事力を誇るため、殆どが勝ち戦だ。
今回もそうだろう。
「って、思ってたんだけどなぁぁぁあああ!! 何で、マシンガンがあるんだよっ! 可笑しいだろぉ!」
「マシンガン? ああ、自動魔魔力砲発射機のことか?」
「ってか、何で剣一本でこの弾幕を切り抜けられるんだよっ!」
いや、それはEXスキル【天衣無縫】の力です。本当に。
この世界には、スキルがありふれている。ユニーク、ノーマル、EXにわかれているのだ。
ノーマルは、技術などを数値に表したもの。
ユニークは、特殊能力などを表したもの。
EXは、チート能力を表したものだ。
俺はEXを三十個以上持っている。
つまり、俺はチートだな。
「知るかよっ、暴れろ! 『召喚:竜聖魔幻獣』!!」
「っ!? 召喚騎士だったのか!」
「ヒイッ!」
足下に広がった魔法陣から現れたのは大小の黒と白の球体を携えた巨大な竜だった。後ろ足で地に立ち、少し前屈みで睨みつけている。
『主よ、どうかしたのか?』
「おう、久しぶりだなバームド。奴らと遊んでこいよ」
『ふむ、質としてはカスだが、数は充分だな。誰か殺さない方がいい奴はいるか?』
「いや、いない。此処に残ってる見方は全員死んだからな。 増援もくる気配がない。ま、此処は自重しないよ」
『承知した。では、[幻影竜砲波]!!』
その言葉とともに、周囲の者達は死んだ。
「さぁて、眠いよなぁ」
『寝るな、阿呆』
「む、アホって言うな…っと、そろそろ、行くぞ。ヤバい敵だ」
『承知した』
バハムート、バームドは黒と白の球体で翼を創り出し、飛んだ。
俺はEXスキル【魔法神】を使い、超遠距離砲撃魔法を起動させる。
[遠距離魔力砲波]。
着弾後、半径百メートルに渡り、連鎖爆発を起こす。
「お前達を殺す」
『私も行こう。[連鎖爆炎竜聖魔砲]、長いな、名前』
一人と一匹がそう呟くと、山を二つ消し飛ばし、敵軍も滅ぼした。
「うっわ、よ…」
『不味い、来るぞ!!』
「グッ!?」
『ゴハッ!?』
突然、俺とバームドを襲った光の束に当たり、バームドの右腕と、俺の右足が消し飛んだ。
「【超神再生】」
『【竜聖魔再生】』
そう呟くと、肉がうごめき、再生を始める、かと思われたが、蠢くだけで再生しなかった。
「再生阻害かよっ! バームド、お前は戻れ!」
『だが、お前はっ!』
「馬鹿が、『強制する:帰れ』」
『なっ!?』
俺は召喚者権限を使い、バームドを帰還させる。
そして、片足で大地におり立ち、スキル名を呟く。
「[時間よ、巻き戻れ]」
俺の右足に魔法をかけ、再生ではなく、時間を巻き戻す。
そうすることで、右足を戻す。
「さて、出て来いよ、法国の特殊部隊さんよ」
「ふむ、流石だな。転生者」
「ん、転生者?」
意外だ。知ってたのか。
転生者、ね。
「お前も転生者とかか?」
「まぁな。特殊部隊全員が転生者だ」
「教えていいの?」
「ああ、お前は、死ぬからな」
一番先頭にいた男がそう言うと、俺の背後に一人の女が現れる。
暗殺系のスキルを持っているのだろう。まぁ、無駄だが。
【絶対防御壁】【完全衝撃吸収】【完全魔力吸収】【完全暗殺阻害】
これらを使用した。
「何故、刺せない!」
「さぁな? 【死の気配】」
「ぐっ、あっ!?」
半径三センチ以内にいるもの、またはそれに接する物がある場合、それらは死ぬ。
「俺、チートだよなぁ」
「ぐ、がっ!?」
「ぐげっ!?」
【石化蛇睨み】。
見た者を石化させる。
ん? 一人、死んでない。
「チートだな、俺はいまいちだと思ってたんだが。【干渉能力無効】、【放出能力無効】。対価として、干渉能力と放出能力を使えない、けどな」
「はっ、俺の天敵じゃねぇか!」
そう叫び、俺は走り出す。【愛剣創造】を使用して。
【愛剣創造】
①自分の好きなように武器を創ることができる。
②この武器以外は使えなくなる。
③必要に迫られたときのみ、②を破棄できる。
④銘を付けることで、強化される。
⑤作れる数は配下の数と同数。
これが、【愛剣創造】の能力です。