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神敵戦記  作者: 初心者
1/2

#001 転生 ①

 どうも、GAPです。

 これから、よろしくお願いいたします。

 最初に知覚したのは眩しさだった。浮遊感に包まれて、静かなる安息。暖かさと少しばかりのむず痒さに身を委ねてしまいそうになる。

 俺は何故此処に?

 しかし、その疑問向き合う間もなく、ソレは現れた。


「ふぉっふぉっふぉっ、初めましてじゃのぉ、名も亡き者よ」

「…アンタ、誰?」

「む? ああ、儂か。儂は、神じゃの」

「痛々しいですね」

「……………殺すぞぃ、とまあ、死んどるんじゃけどなぁ。お主は」


 俺はやはりなと思いつつ、神(笑)に話の先を促す。


「まあ、本題に入ろうかの。お主には転生してもらうつもりじゃ」

「………何故?」

「ふくく、簡単じゃよ」


 少しばかり神は溜めて、悪巧みをする餓鬼のように言った。


「暇潰しじゃよ」

「何っ!?」


 俺はつい、言葉をあらげて魔法学校の校長のような外見の神につかみかかる。が、すらりとかわされ、眠らされた。


「ふぉっふぉっふぉっ、さぁ、始めようかの。『神々の暇潰しラグナロク』の仕込みじゃ!」


 神は嗤い、人は躍る。

 まさにソレである。




 白に塗りつぶされている世界に俺は降りたった。 そして、目の前には無数の球体。

 俺は何故か知らないが、ソレを知覚した瞬間に、手で掴み、喰っていた。


[個体名:■■■はEXスキル【全知自我】を取得しました]

[個体名:■■■はEXスキル【天衣無縫】を取得しました]


 そんな声が聞こえたような気がするが、気のせいだろう。そんなことよりも、このウマい球体を食べるべきだ。


[個体名:■■■はEXスキル【戦時無双】を取得しました]

[個体名:■■■はEXスキル【神速脚冷】を取得しました]

[個体名:■■■はEXスキル【疾風迅雷】を取得しました]

[個体名:■■■はEXスキル【火炎煉獄】を取得しました]

[個体名:■■■はEXスキル【絶対零度】を取得しました]

[個体名:■■■はEXスキル【羅刹修羅】を取得しました]

[個体名:■■■はEXスキル【絶対防御】を取得しました]

etc.etc.etc.etc.etc.etc.etc.etc.etc.etc.etc.etc.etc.etc.


 俺が周囲に存在していた球体全てを食べ終えたときだった。

 突如して、既知でありながら、未知の感覚に襲われる。

 肺が、心臓が、血管が、細胞が、ありとあらゆる組織が、酸素をよこせと叫んでいる。

 呼吸をしようにも、喉がつまり、吐きそうになる。

 思考の冷静さすら奪いかねないほどの激痛が走る。

 ままならぬ感覚。もがき苦しむしかない感覚。それら全てに強かに締め付けられ、意識すらも混濁していく。

 そして、遂に泣いてしまう。

 泣いたとたん、酸素が送り込まれ、激痛が消える。

 だが、俺が思ったのは、みっともないということだ。大の大人が泣きわめくことに対する嫌悪感。それが確かにあったのだ。


 それから客観時間、三年が過ぎた頃、ようやく俺の自我が形成される。泣きわめく赤子の自我から、俺の自我へと代わる。

 はっきりと見えるようになった眼が乏しい光源の中、捉えたのは古めかしい格好をした修道女だ。そして、乏しい光源は、見間違いでなければ蝋燭の火だ。


「ムーマくん、はい、あーん」


 そう言ってスプーンでスープをすくいあげ、こちらに向ける修道女。

 ムーマとは、俺のことだろうか?

 そして、気づくのは、この室内にはどうも電化製品がないということだ。

 そもそも、現代社会において、電化製品が一つもないということは、どういう事なのだろうか?

 時代遅れ? いや、違う。あり得ない。

 なら、田舎? いや、それもないだろう。俺の祖母に会いに行ったとき、確かに“いろり”らしきものはあった。しかし、きちんと、電気や水道も通っていたし、ましてや、蝋燭で電球の代わりをするなど、停電時のみだ。いや、停電時でも、懐中電灯があったが。

 ならば、一体どういう事なのだろうか? 

 『転生』。

 あの神(笑)はそう言っていた。それに、『神々の暇潰しラグナロク』とも。


「好き嫌いはいけまちぇんよー」


 うざい。じゃなくて、五月蝿い。

 そう思っていると、修道女が俺の口の中に、無理矢理スープを突っ込んできた。

 熱くもなく、冷たくもない。というより、ぬるくなってて美味しくない。


「あいだぶぶーば!」(訳:美味しくねーよ!)

「おー、美味しかったでちゅか? 良かったでちゅねー」

「ばぁ…」(訳:はぁ…)


 内心、溜め息すら赤ちゃん語に変えられるのかと思いながら、周囲を見渡す。

 本当に、こは別世界、または過去なのだろうか?

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