倒さなければならない相手
俺たちはキィとかいうやつと出会ってから、丸っこいのにあってからは、倒して、また歩いて、倒してを繰り返していた。
「なぁ、ところでキィさぁ、なにを倒したら俺たちは帰れるんだ?」
「それは…わからないキィ…」
「どんな些細なことでもいいの!」
「いや…それもわからないのだキィ…わかるのは…他のよりでかいということしか…」
キィは、申し訳なさそうに飛ぶ高さを低くフラフラしている。海は、自分なりに答えを導き出そうとしているみたいだが、そもそもここには俺たちの常識は効かない。求めることができるなら、こいつは異世界の住人だと言えるだろう。まぁ、案の定頭を抱えて唸っているが…
「あ、この先の…あ、あったキィ!あの鏡には、みんなのたおさなければならない物が見えるキィ!」
「それみたら楽勝じゃね!?」
「姿見えずに倒して急に帰ったら逆に大変キィ」
「確かにそうだな…」
結局そこでみんなみて見ることにした。初めは高城さんからだ。高城さんは、鏡の前に立ち少し経つとあっと声をあげた。鏡に移されたのは、女子が集まってきゃっきゃしているようなシーンだった。
「こ、これなんだ?」
「…私、友達関係とか苦手で…多分それで…かな…?」
「なるほど…友達を作れば帰れる…若しくは倒すのか…?」
「ガチのほうで心に突っかかってるやつなんだな…じゃあ次俺が。」
海は、そうして鏡の前に立った。そしてそこに現れたのは、跳び箱だった。
「お前まだ跳び箱出来てなかったのかよ!」
「出来ねぇよ!恥ずかしくて言えるかよ!」
「跳び箱出来ないんだ…なんか意外」
と高城さんは笑いながら、言う。
このギャップは、本当にずるいと思う…
「じゃあ、最後は俺だな」
そうして、俺は鏡の前に立つ。しかし、
「あ、あれ??」
「どうした??」
「い、いや…なにも映らねえんだよ…俺だけただの鏡同然なんだが…」
「お前は無敵か?」
「そんなわけねぇだろ!」
何故映らないのかは謎だが、崩れていた前髪だけ整えて終わったのだった。キィだけは気まずそうに下を向いたまま誰とも目を合わせなかった。