見たことのない世界
「やっぱり今日も空いてんなー」
「逆に人がいる時のほうが見たことねえよ…あれ?あそこにいるの…誰だ?」
「裏庭に、珍しいな…しかも女じゃねえか?」
「なにか探してる見たいだな…」
「おーーい!そこの女子ー!何探してるんですかーーーー!」
「お、おい!海!話しかけんの早すぎだろ!」
「あ…あなたは…確か風見さん…ですよね?」
「そうだけど…なんで知ってるの?何か探し物?一緒に探そうか?」
「あ!わ、私1の3の高城 唯と申します!同じクラスなのです…けど…」
高城唯…同じクラスだったのか…真っ黒直毛のセミロングのさらさらな髪の毛。白く透き通った肌。こんな美少女ゲームから出たような女の子が同じクラスにいたなんて…
「あ、高城さんか!ごめんごめん!席離れてて見たことしかなくて…」
「あ、全然いいんです!」
俺を置いて2人の世界に…
こいつはいつもそうだから困るんだよ…
「俺棚上 凌!よろしくな!」
「よ、よろしくも何もあなた…私の席の後ろですよね…」
あ…やらかしてしまった……これはやばいやつだ…後ろしか見たことねぇからわからなかったのか…
「し、知ってるさ!改めてよろしくってだけだよ!」
「ところで、何か探してなかった?」
「あ、そうなんです…私の大事な本を落としてしまって…」
「それは大変だな…一緒に探すよ!な?凌!」
「当たり前だろ!」
「ありがとー!早く見つかりそうだよ〜」
そして、少し探していたら、古そうな綺麗な緑色の本が茂みの中に落ちてあった。
「なぁ、これのことか…?」
「そ、それそれありがとう!」
「どういたしまして」
その時俺は興味半分で表紙を開けてしまった。
「あ、開けちゃダメ!!!」
「え?」
その時には手遅れだった。本からは水色の光が一斉に3人を飲み込んで気がついた時には丸い動物が転がっていたりビルがねじ曲がって空の色が真っ白な場所になっていた。
「こ、ここどこだよ…」
「…」
高城さんは、口を開かない。
「ねぇって…」
「ここは、永時魔界って言って、時がなくて…重力も3分の1で……代わりに魔法がある世界だよ…」
一言でまとめるとそれは、異世界だった。