アルテミスの町と診療所
ふう、久々に更新したぜぃ、ふうふう。
それではどぞ。
セイは深い闇の渦の中にいた。
ひたすらに暗く、闇く、深い、大渦の中。
何も見えない、何も聞こえない。
―――ただ、神経を逆撫でるような冷たい流れに取り込まれてゆく。
ひたすらに沈み続ける視界の先に、何かが見えたような気がした。
力なく片腕を伸ばし、掴もうとする。
《―――時は満ちた 邪魔だ 少々替われ坊主》
瞬間、視界は光に包まれ―――
◇
この国は、正方形を作るように四方を城壁で囲んだ国だ。
その中の町は広大で、1つの「町」と呼ぶには大きすぎる。
よって、主に4つの区画に分けられ、それぞれの区画を便宜上1つの「町」としている。
その中の北西方向の区画、「アルテミス」は、混乱の渦に包まれていた―――
「おい、何だあの化け物は!」
「城壁を超えてきたぞ!」
「そんな、嘘でしょ!?『あいつら』が城壁を超えてきたって言うの!?」
化け物はふらりと街中に降り立つ。
漆黒の毛と、異常なほどの筋肉に包まれた体躯と、刃物と思わせるような爪、牙。
4本の脚はしかと地面を握り締めている。
〈さあ、我が血肉と化せ、人間共おおお!!〉
狼のような口は喉元まで、裂け、大きく広がる。
「ヴオオオオオオォォォォ!!!!!!!!」
「アルテミス」に、大気をそのまま叩き潰すような咆哮が響き渡った。
◇
イケメンことアランは、セイを抱えて訓練所内の診療所へと来ていた。
「なんだ、今の声……それよりも、セイ君はどうなんですか?何でこうなってしまったんですか!?」
椅子に腰掛けた初老の医者に必死の形相でアランは迫る。
横たわるセイをちらと見た初老の医者は、やれやれと首を振る。
「なんとも分からん。おそらくただの疲れじゃろうて。訓練でも緊張は体力を削るものじゃからな」
「……それにしたって急に倒れたんです。本当にそんなものなんですか?」
初老の医者は腕を組み、首をひねる。
「こればかりは詳しく調べねば分からんじゃろうなあ。まあ暫くは様子見じゃな」
「そうですか……分かりました。先生を信じましょう」
アランはそういうと、名残惜しそうに診療所を出て行った。
初老の医者は、セイの様子を見るために重い腰を上げる。
そうして、その手がセイに触れようとしたとき。
「っ!?」
セイの体が、空気に溶けていくかのように、消えた。
化け物の姿が決まらなくて困ってました。
結局グロ狼っぽくなっていってるのですが…
こんなのがいいとかあったらぜひとも感想までお願いします!