遭遇
休み明けの通学路、私はまさか数日でお見合いが決まるだなんて予想だにしていなかった。
『百川さん、百川流李さん。放課後校長室までお越しください』
「え?なんだろう」
昼休み後の校庭で男子に混じってドッチボールをしていたら、校内アナウンスで名指しで呼び出された。
「百川お前何かやらかしたのか?」
「そんなぁ、心当たりは…沢山あるけど」
「あるんかい」
「えー放課後かぁ…なんだろう」
私は疑問に思いながらドッチボールを続けていた。
☓☓☓
そして放課後、トイレの洗面台で軽く身嗜みを整えてから、校長室に向かう。
「失礼します、百川です」
「うむ、入りたまへ」
「は…い」
校長室のドアを開けた瞬間、思わず絶句する。そこには2メートルを超える大きな鬼人が居たからだ。
「(で…でっかぁ〜〜〜!)」
「うん、気持ちはわかる。取り敢えず入りなさい」
思わず口をあんぐりと開けていると、櫻井先生に声を掛けられた。
「は、はい」
校長室に入りドアを閉める。そして校長先生と櫻井先生に近付くと共に鬼人を見ると、見間違いじゃなく巨体で、腕も私の胴回り位ありそう。ジロジロ見るなという方が無理だった。
「百川さん、紹介しよう。彼は国分寺剛と言って、プロの格闘家だ」
「国分寺剛です、よろしくお願いします」
「格闘家…」
「そして君のお見合い相手だ」
「はえ!?」
校長先生に言われて思わず変な声を上げてしまう。お見合い相手!?私の!!???もう?!
「コホン、お見合い相手とはちょっと語弊があるかな」
「ごへい?」
「同意もなく突然お見合いさせられて百川さんも困惑するだろう。ここはお友達から始めましょうという事で、彼を紹介する」
「お友達?」
「そうとも、国分寺さんは事情があって本職を休業している。その間の臨時の櫻井先生の補佐として入るから、楽しく高校生活を過ごしなさい」
「はぁ…」
「勿論休みの日に遊びに行くのは構わないが、通常の花人とのお見合い期間と同じように、二人きりになる場所へ行ったり、不純な行為をすることは禁止とする。そこは安心して良い」
「…(不純行為)」
弟とのチューの話を思い出して心臓がドキドキしてきた。お友達からといっても、私はこの人とお付き合いをしなければいけないのだろうか。
「えっと…よろしくお願いします、百川さん」
そう言って国分寺さんが頭を下げる。立派な角が生えてて触っちゃ駄目かなぁとつい思ってしまった。
「えっと…百川流李です、よろしくお願いします。国分寺さん」
そして釣られるように私も頭を下げた。
「それでは明日から百川さんのクラスで補佐に入るから、ゆっくりとお互いの仲を深めていきなさい」
「はい」
「話は以上だ、突然の事で吃驚したでしょう。今日はもう下がってよろしい」
「はい…失礼します」
私は校長先生と櫻井先生、そして国分寺さんに改めて頭を下げてから校長室を出ていった。
…お見合いってこんな感じなのかな?やっぱり違うよね?




