表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染はファイターパイロット  作者: 浅葱
本編1
8/17

第八話 いきなり婚姻届?!

−side 翔太−


無意識にだと思うけど、俺の事を煽ってくる優香。

ベッドに座った状態でこれから先、必要になってくる資格や勉強の話をしたら、『やる事多過ぎて、頭爆発しそう!』って、仰向けに倒れ込んで、男だったら誘われてるとしか思えないシュチュエーションで、思わず『誘ってる?』って聞いた俺。


優香がフリーズして動かないのを良い事に、ちょっとだけお仕置きが必要だと思って、俺はベッドに片膝をついて優香を見下ろした。

顔を近づけたら、優香がギュッと目を瞑ったから、唇にチュッとキスを落とし、お仕置きである事を告げ、『無意識に俺に事煽る癖があるから、気をつけてよ。理性飛んでたら、本当に襲ってたかも知れない。』

と告げ、元の場所に座り直した。



====================================


煽ったつもりなんかなかったけど、翔太にとっては私の色んな行動一つ一つが欲情させてしまうのだろう…。

翔太がベッドに片膝をついて私を見下ろして来た時は、すごくドキッとして、身動きが取れなかった。

翔太の顔が近付いて来たら、思わずギュって目を瞑っちゃった。

そしたら、唇にチュッてキスを落として来た翔太。

唇が離れたかと思ったら、お仕置きだって言われた。『優香は無意識に俺に事煽る癖があるから、気をつけて』『理性飛んでたら、本当に襲ってたかも知れない。』ってさらりと言って退け翔太は元の場所に座わり直してた。


慌ててベッドから起き上がり、翔太の側に私も座り直して翔太の肩に頭を寄せて、


「翔太って、優しいね。私、多分…もう充分撃墜判定(キルコール)されたと思う…。翔太の動作一つ一つにドキッとしちゃうし、どっかエロ要素が含まれてるって言うか…」


言葉を続けようとした私の唇に翔太が人差し指を押し付けて、続きを防いだ。


「優香にだから、優しくもなれるし、甘くもなるんだよ。他の女の子にはこんな事しないし、するような事はないよ。エロ要素が含まれてる、って見えるのは、優香が俺の彼女だからって証拠かなぁ?優香の行動一つ一つが俺を煽ってるようにしか見えなくて、俺もドキドキしてるよ…。」


って、私の手を取って自分の心臓の辺りに触れさせた。翔太は小さい頃から、少林寺拳法を習っていて、学校の部活では少林寺拳法部がないからって空手部に入っている。腕前もかなりらしく、3年生の先輩を差し置いてレギュラーで活躍している。去年は1年生ながら、個人では県大会でベスト8まで行っている。そんな翔太の筋肉質な胸に手が触れた途端、私の胸のドキドキもMAXに上昇した。


「優香も、ドキドキしてるでしょ?」


すごくあま〜い声で翔太が囁くもんだから、照れた私はぐっと目を瞑って俯いてしまった。翔太が、私の手と身体を離し、


「イチャイチャも、ほどほどにして本題だ。ざっと、優香の成績を見たけど受験科目はきっちり抑えておいた方がいいと思うし、医大を受けるんだ。秋から理転するのがベストな選択だと思うよ。」


急に真剣な表情で私に話しかけて来た。


「その事についても、俺からもフォロー入れるから、ちゃんとおじさんとおばさんに話しような。」


今度は柔らかい口調で伝えてくれた。


「ウチの親父もお袋も、早く帰って来れたら優香ん家に来てもらう様に言ってるから、医療系の大学についてのフォローは任しとけよ。」


翔太のご両親にまで、迷惑かけちゃう事になって申し訳なさ半分、心強さが半分になった。


「翔太じゃないけど、私も果報者だね。翔太に、翔太のご両親にいっぱい力貰って…。絶対、防衛医科大に合格する!」


気合いを入れた。


「その気合いで、お互い頑張ろうな! 」


翔太が、私の頭をポンポンって優しく撫でてくれた。



2人で、苦手な分野の話や、学校での話をしているとウチの母が帰って来たのか、階下が賑やかになった。


「優香ぁ〜、お友達がいらしてるの?」


玄関に見慣れぬ靴があるからか、母が聞いて来た。

私達は、部屋から出てリビングに向かった。

リビングに、久し振りに翔太が姿を現したもんだから、お母さんは少し驚いて


「珍しい!翔太くんがウチに来てるなんて。今日は、優香が晩御飯当番だったんだけど晩御飯食べて行くでしょ?」


って、晩御飯にお誘いした。


「お母さん、翔太も食べてくよ。買い物も付き合ってくれたし、今晩の料理は翔太のリクエストメニューだから…。」


滅多に家ではお洒落な格好でいない私の格好をじっくりと見たお母さんは、翔太にニコリと笑って


「そう言う事か…。翔太くん、優香のこと()()()()ね!」


ってウインクしてた。

翔太は、それに対して照れながらも、


「勿論。任せて下さい!大事にします。」


って答えた。

どうやら、うちの母には翔太と付き合い出したのがバレてしまった様だ…。


「お母さん、お父さんが帰って来たら話があるの。聞いて欲しいことがあって…。別に変な意味じゃなくて、進路の事で相談があります。」


真剣な表情と声で伝えると、


「分かったわ。もう少ししたらお父さんも帰って来ると思うわ。優香が晩御飯当番だから、今日は早く帰って来るって、出勤の時に言ってたから。残りの準備は私がするから、翔太くんとそれまで、ゆっくりしてるといいわ。」


と返して来た。


「後は、冷蔵庫の中にチキン南蛮用のお肉が入ってるからそれを揚げるのと温め直すくらいだと思う。」


残っている作業を伝えると、


「了解!」


と言って、エプロンを着けて台所へ向った母。

私達は、リビングを後にして私の部屋に戻った。


「優香のお母さん、カンが鋭いな…。優香の格好と俺を見ただけで付き合ってるって一発で言い当てて来た。それに、ちゃんと牽制までかけられた…。」


部屋に戻って開口一番、翔太が呟いた。


「昔ね、翔太のお母さんと『いつか、お互いの子供達が付き合い出したらいいのに〜』とか、って話してたらしいよ。『で、結婚したら、親戚にもなれるわよね〜』とか言ってた事もあるって聞いたよ。それに、いい年頃の女の子が家に男の子呼んでたら気付くんじゃない?付き合ってるって…。」

「俺ら、お袋たちの思惑通りにハマっちまってるって訳か…。」

「多分?お父さん同士も、似た様な事話してたって、お母さんが言ってたから、両親の思惑通りって言った方が正しいかも…。」


翔太が苦笑いしていた。

20分ほど経った頃に父が帰って来たのか、急に階下が賑やかになった。


「優香〜、翔太くん、お父さん達が帰って来たわよ!」


階下から、お母さんが私達を呼んだ。


「んっ?今、優香のお母さん、お父さん達って言わなかった?」

「うん、私にもそう聞こえた…。とりあえず、行ってみよ?」


部屋を後にし、リビングに行くとリビングのソファーには翔太のご両親の姿があった。向き合って陣取っている両家の両親。

西條家、柘植家のメンバーが勢揃いである。と言っても、お互い長兄が不在なので完全な勢揃いとは言えない。翔太の7つ上のお兄さんは県外の医大に進学し今は研修医として進学した先の大学病院に勤務している。私の6つ離れた兄は、大学卒業後大手企業に入社。現在は北海道の支社で営業としてバリバリの働き、この春から入社2年目としては異例の大抜擢で主任に昇進していたので、この2人が不在だ。ご両親の姿を見つけた翔太は、


「親父、お袋…」


と呟いた。


「あぁ、翔太。優香ちゃんとやっと付き合い始めたんだってな。由美さんが、嬉しそうに教えてくれたぞ。」


って、笑いながら告げた。由美ってのは、ウチの母の名前。お母さんったら、勝手に翔太と付き合い始めた事をお父さん達に言わなくたっていいのに…って、ちらっとお母さんの方を見たら、罰が悪かったのか目を反らせた。

ウチのおとうさんに至っては、


「翔太くんなら、そのまま優香を嫁にもらってくれても構わんがな!」


なんて言い出した。

コの字に並んでいるソファーの何もない部分に翔太が向かって行き、正座をして座った。私も続いて翔太の横に並んで正座をして座った。


「西條のおじさん、おばさん、それに親父、お袋、優香と付き合い始めました。昔からの夢である、航空自衛隊の戦闘機パイロットを目指して来年、俺は防衛大を受験する予定です。将来、危険な仕事に就く事になるのは充分解っていますが、優香の事は絶対に幸せにします。優香には、俺が無事にウィングマークを取ったらちゃんとしたプロポーズはするので、その時は優香を俺の嫁に下さい。」


って、言ってから頭を下げた。両親達は、ニコニコしながら翔太を見つめていた。


「翔太くん、頭を上げて。誰も反対はしていなから。翔太くんの気持ちを聞かせてもらって、逆に安心したくらいだ。優香にプロポーズした後、もう一度さっきの言葉を聞かせてくれ。」


ってウチのお父さんが切り出した。

翔太のお父さんが、カバンからファイルを取り出してテーブルの上においた。


「翔太、さっきの言葉、男に二言はないな。なら、これを書いておけ。」


ファイルに挟まれた用紙を取り出して、胸ポケットから高級そうなボールペンを取り出し用紙の横にコトりと置いた。


薄手で、えんじ色の文字が印刷された用紙…

翔太のお父さんが差し出したのは


()()()


ってヤツだった。

皆んなが見守る中、翔太は一文字一文字を丁寧に書いて用紙を埋めて行く。

最後に、翔太のお母さんが差し出した印鑑まで突いた。

翔太の埋める欄が書き終わったら


「優香、翔太くんの思いを受け止めているんなら、お前も署名しなさい。」


私のお父さんが言った。

迷う事なく、私も一文字一文字に翔太への気持ちを込めて書き込んでいった。

最後に、お父さんが差し出した印鑑を突いた。


書き上げた婚姻届をファイルに戻し、


「ちゃんとしたプロポーズをするまで、これは私達で管理しておくからな。証人の欄は、きちんとプロポーズしてから私達が書かせてもらう。優香ちゃん、愚息だが翔太の事よろしく頼むね。取り敢えずは、高校生だが婚約者という事だな。」


両親達はお互いに頷き合って喜んでいた。

お母さん達は、『後は、お兄ちゃん達が片付いてくれたら、のんびり老後のこと考えれるのにねぇ。』とか言って、和んでた。


「あのぉ〜、私からもご報告と言うかご相談があります。」


喜んでいる両家の両親に控えめに告げた。


「お父さん、お母さん、医者を目指したいので、秋から理転させて下さい。それと、志望校を防衛医科大学校に決めました。」


さっきの翔太の様に、額を床に擦り付けるくらいに下げた。隣で、翔太が


「俺からもお願いします。優香が進路について悩んでいたのに気付いて話を聞きました。その中で、離れた場所だけど俺の過ごす世界の近くに優香にいて欲しいって思いもあって、防衛医科大を勧めました。俺の勝手な思いに、優香を巻き込んでしまってすみません。それなりに体力がいる訓練などもある場所ですが、硬式テニス部で頑張っている優香なら多分耐えれると思います。わがままを言ってる事は重々承知の上ですが、受験までの間、俺と一緒に勉強する事も許可して下さい。」


と言って、同じ様に頭を下げた。

翔太のご両親が、ウチの両親に頭を下げた。


「ウチの愚息のせいで、優香ちゃんの将来を大幅に変えてしまったみたいで申し訳ない。」

「数馬、男気のあるしっかりした息子を愚息なんて言うな。将来、俺の息子にもなるんだ。そりゃあ、きっかけは翔太くんが与えたのかもしれない。でも最終的に優香が決めたんだ。だから、数馬も明里さんも、翔太くんも頭を上げて。優香もな。」


皆んなが頭を上げたのを確認して父が続けた。


「優香、理転に変わる事、防衛医科大学の受験に関しても解った。必要な手続きや、オープンキャンパスなんかも出来るだけ都合を付けて行く様にしよう。それと、翔太くん。優香は文系の子だから、しっかりフォローしてやってくれよ。頼んだぞ。」


って、翔太の側に来てしっかり肩を叩いてた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ