魔法使いの弟子
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「うぐっ」
マリアがいきなりくずおれた。
「大丈夫?マリア」
「あぁ、今日はもうこの辺にしておこう」
マリアが川に歩みより服をまくって右腕をだした。
マリアの右腕はヤケドのあとみたいになっていた。
マリアが右腕を川にひたす。
「ケガ?病気なの?マリア」
「大分前に黒炎魔法にやられてね」
「黒炎魔法?」
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「大地に眠るマグマの力を用いた黒い炎の魔法さ」
「なんだか怖い」
「一度傷を受けると術者が倒れない限り治ることがないんだ」
「じゃあマリアも」
「昔に受けてね。今じゃ現役の魔法使いにもなれない。ポポロ村には療養で来たんだ」
「そうなんだ……」
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わたしたちはマリアの家に帰った。
「魔法使いになりたいかい?なるなら手ほどきをするが」
うーん。
「マリアの腕をケガさせたものを倒せば、マリアのケガは治るの?」
「治せるが……私にこの魔法をかけた術者は、魔王だよ」
「マオウ?」
「魔族の王よ」
「マゾク?」
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「この世界には三つの種族がいるのさ。人間族に魔族に竜族」
「へぇー」
「その魔族の王が魔王」
「強そう」
「強いよ。私は勝てなくて逃げ帰るのが精一杯だった」
「マリアが?」
「えぇ。そして、魔族の魔力の根幹となっているのが魔のオーブだ」
「魔のオーブ」
「えぇ。これが魔族のアキレス腱。でもそのオーブは魔王が守護している」
「魔王を倒さなきゃ手に入れられない?」
「えぇ。魔王は私より強いが。それでも倒せると思う?」
「うーん。倒すよ。それでマリアのケガが治るなら」
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「そうか……なら君の呼び名を決めなくちゃね」
「マリアが決めて」
「そうかい?それじゃ、私の弟子になるなら……ユリアで」
「いいよ。マリア」
「よろしくね。ユリア」
「よろしく。マリア」