表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ことたまのセカイ  作者: ななし
3/13

はじめてのまほう

8


来たのは元の川の近く。


「さて」


3メートルくらい離れたマリアが指を弾く。


と、辺りでいきなり風が吹いた。


色んな方向から風が吹いている。

知っている風じゃない。


「わぷっ」


「これが風魔法よ。目を開けて。風の中に何が見えないか?」


目を開けて目をこらして見る。でも見えるのはマリアの髪がばさばさいって波打っているだけだ。


「何も見えないよ」


「ふむ。風の素質はないようだ」


マリアがまた指を弾く。と風がやんだ。



9


「この川を見てごらん」


「川だね」


「水面をじっくり見つめて。何か見えないか?」


じいっと見つめる。

すると青っぽいモヤみたいなものが浮かんでいる、ようにも見える。


「青いモヤみたいなのが…」


「ふむ。水魔法の素質はあるようだ」



10


「この見えている青いモヤみたいなのが、水の精霊よ」


「みずのせいれい」


「そう。水魔法というのは、この水の精の力を借りて、通常じゃ起こせない人智を超えた力を発揮する」


「難しくてよく分かんない」


「まぁ見るのが早いかー水よ。私の言葉に応えて、浮かび上がれ」


川の中にあった水の一部がすっぽりと浮かび上がった。目の前に頭一つ分くらいの水の球が浮いている。



11


「こういう風に、水を操るのが水魔法だ」


「ほへぇー」


わたしはただ感心する。


「魔法は、精霊の力を借りなくてはできないが、それだけでも出来ない」


「えっ」


「術者の、言霊(ことたま)が要る」


「コトタマ?」


「言葉に表れる想いのことさ。コトタマが乗っていないと魔法が発動しない」



12


「それじゃあ試しにやってごらん」


「えっ」


「私がさっきやったみたいに、水を浮かび上がらせて」


「う、うん。ー水よ、浮かんで」


相変わらずさらさらと川が流れている。


「初めてでも、実際の水を使ったこの魔法はてぎるはずだよ。足りないのは言霊の力さね」


「ぬぅ」


「もっと言葉に想いを込めるんだ」


「うん。ー水の精霊よ。わたしの想い、言葉に応えて、この川の水を浮かび上がらせて」


川から水がふわふわと浮かんだ。形はいびつだけど。


「浮かんだ。浮かんだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ