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ことたまのセカイ  作者: ななし
12/13

魔王城ー下


城11


わたしの両手から水流がほとばしる。


同時に魔王の右手から暴風のような炎が現れた。


わたしたちの魔法は、部屋の中央で衝突した。


しばらくは拮抗していたのだけど、次第に炎に押され始めた。


これは単純な魔法の力くらべ。

それはいわば技術でなく、言葉の想いの力。


想いの面で魔王に負けてる?


そんな……。


炎が目前まで迫ってくる。


「諦めちゃダメだ」


わたしの右手を、ピノの左手が取った。


「ピノ!もう大丈夫なの?」


「あぁ、君のおかげで、もう血も流れてない。それよりも、気持ちの面で相手にやられたら、もうそこで終わりになるんだ」


「うん」


「大丈夫。君は一人じゃない」


ピノが水のほとばしっている処に右手を当てる。



城12


「風よ。ユリアの想いを補う槍となれ」


ピノの右手からうす緑の槍が現れた。


槍はわたしの水流に螺旋を描くようにして進んでいく。


やがて槍は水流と一体となり、渦巻きのようになって炎を裂いて進んでいく。


「この、ヤロオオオオがああああ」


とまどまぎ。が言ったあと、渦巻きは物凄い勢いで魔王の胸を打った。


その勢いのまま真後ろにあった玉座に叩きつけられた。


「ぐはっ」


「やった」


ピノかが言った。


「やった。やったよ。わたしたち。とうとう」


「まだだ」


魔王が立ち上がる。


「テメェらみてぇゴミに、やられる訳には……クソ、くそ……なんで、俺の人生には、そんな仲間が……どん、な、に……」


と言って、血を吐いて、倒れた。


近くで見てみると、泣きつかれた少年のように見えた。


多分、死んでいる。


「行こう……」


「うん……」


わたしたちは奥の間に進む。



城13


奥の間には、クッションの上に水晶玉みたいなのが安置されていた。


「あれが……?」


ピノが言う。


「多分オーブ、だと思う」


マリアの言う通りならこれが。


しかしこのオーブは中身が黒いとぐのようなものが渦巻いている。


「これが魔族の魔のエネルギーの根幹になってるんだね」


「うん。だから黒いのかな。マリアが言うには、持ち主次第でエネルギーを変えるって。あと、奇跡を起こせるらしい」


「ふむ。ユリア、君が持ってくれないか?」


「えっ?いいけど……なんで?」


「君の方が、適任だと思うんだ」


「うん」


そっとオーブに手を近づける。


バチっとかいわないよね。


ふれた瞬間。オーブの中から白い光が放たれた。



城14


「ユリア、大丈夫?」


「うん」


全部思い出した。


「何があったの?」


「わたしね、元々この世界の人じゃないみたい」


「へ?」


「まぁ、その話はあとでね。それよりもオーブ、白く光ってるね」


「うん。ユリアの心に反応したエネルギーに変わったんだ。今ならそれ相応の奇跡を起こせるかも」


「うん。そうだ」


元きた扉を開ける。



城15


魔王にオーブをかざした。


追いついたピノがわたしがしようとしてることを察した。


「いいの?」


「うん。いいの」


オーブの中の光に語りかける。


「オーブよ、魔王の命を癒して」


魔王の吐いた血が消えて、顔色がよくなっていく。


しばらくすると、魔王をゆっくりと目を開けた。


「なぜ、助けた……」


「あなたは、まだ、死ぬべきじゃないと思ったの。それだけ」


「……はぁ、そうか……」


「ユリア、まだオーブに力が残ってるみたいだ」


「うーんと、それじゃあねぇー」


オーブを上に持ち上げて言う。


「この辺り一帯がお花畑になればいいな!」

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