きおくそうしつ
1
わ。
おっきな、そーげん。
ステキ。
さらさらと、そよ風がかみをなでる。
何でわたしここにいるんだろう?
んー。
わかんないや!
わたしは草原の、小高い丘にいて。
草原の草はくるぶしくらいまでの高さなんだ。
それがそよそよとそよ風のおかげでわたしの足をなでる。
そう、わたしは素足なんだ。
草がやわらかくて良かった。
トゲトゲしていたら。痛そう。
草原は向こうまで続いているんだけど、少し行ったところに小さな川が流れている。
しばらくここにいようか。
風が優しくて、眠たい。
寝転がって、青空を見る。
雲が、ゆるゆると流れている。
2
わたしはふと思いついて立ち上がる。
かみをつまんで目の前に持ってくる。
かみ。金髪。少し、白っぽい。
これがわたしの肩の長さくらいまである。
着ているものは、白いワンピース。
体は、10才くらいかなあ。
んー。
鏡をみたいなあ。
川まで歩いていこう。
歩くたびに草の感触が気持ちいい。
そして川までやって来た。
ゆるやかに流れる川。
幅は2メートルくらいかな。
川面をのぞきこむ。
ひとみが青い。
わたしは金髪で、ひとみが青かったっけ?
よく分からないや。きおく、ないもんね。
3
とりあえず川をくだっていこう。
川べりを歩いていくよ。
さらさらといった音が聞こえる。
わたしは川べりを歩いているんだけど、ここもくさはらだ。
わたしが知っている川みたいに、川べりに石や砂がない。
知っている?
どこでそれを見たんだろう。
わかんない。