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悪意のある普遍的な思想

巻邪苦弱蛇

作者: レー・NULL

 浪費されつくした腐った人間の肉が連なって、そのビルを肉付けし、そして骨はそのまま鉄骨となる。その不安定な見た目の代わりに、沢山の時間と生贄が、それを守っているのだろう。膿んで、腐って、溶け落ちるまでに、その中身は見たこともないような腐臭を放っている。同様に、私達は気づいていないのだ。


 その日が照らすにはおぞましいものではあるが、現実というのは総じてそういうものであり、拒食症の犬がプラスチックで窒息しただとか、知らぬ場所が崩れ落ちただとか、口だけのスピーカーは煽る事しか出来ないのだろう。耳を塞ぎながら、メッキされた腐肉の群れを避けて通り、毎日、ルーチンワークを繰り返す。


 今月を生きるために左目を差し出し、来月を生きるために右腕を割く、来年を生きるためには、何を奪われたら良いのだろう。そうして、浪費されていく命は、さっき見かけたような建造物を造り出す。上からドンドンと被せていく事で、それは内側から、膿んでいくのだ、腐っていくのだ。


 そういえば、完璧を求める為に、取り残される昔話もあったらしい。中で蟲の沸いたそれを完璧と言われても、最後にはネズミに食われたのだったか。昔と語ってはいるが、今も大して変わりはしない。肉を金にしているのはどちらにしても、そうであるし。どちら問うも、どちらともだ。


 浪費されるべくの肉さえも腐った人間が、その形を保とうとも、骨は膿んでそのまま溶ける。その不安定な見た目の代わりに、なるべきものは何もない。膿んで、腐って、解け落ちるまでに、その中身は見たこともないような腐臭を放っている。中身が見えぬと同様に、私達は気づいていないのだ。


 太陽が明るく照らすにはこの世界は汚いもので、しょせん現実なんてそういうものだよねと、気づかないふりや、見ていないふり、もしくは本当に無知であったりする。汚いものを見るかのように、人混みを避けながら歩いているが、私もその一部なのでしょう。未来を心配するは、ビルの群れが倒壊する事を幻視するのと同じ事であり、どちらにしても意味の無い事なのです。

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