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最後の魔力検査にと向かう途中、他の攻略対象との出会いイベントがあったことを思い出し、その出会いイベントの内容を思い出して慌てて道を変えてを繰り返している間に時間になってしまった。
フィリアには教室までの行き方を教えてすぐに分かれ、ジュリアスとはお互いに試験の準備があるからと途中で別れ一人になると、結果を報告する時間はあるかと行き先を変更する。
………とりあえず、他の攻略対象とフィリアが出会うのは回避できたわ。
ゲームだと、攻略対象達のほとんどはフィリアの事を最初は下に見て馬鹿にする。
庶民がなぜこんなところにいるんだ、みたいに。
それでフィリアが、選ばれたからにはしっかり成果を残してみせます!と言い返し、結果を残そうと努力する方向に繋がる。
瞳のこともあるのかもしれないが、元々才能があったのかフィリアはぐんぐんと成長していき、あっさりとみんなを抜かしていくのだ。
そこからコンプレックスが刺激された攻略対象たちが、彼女の優しい対応に心を惹かれていく………ととにかく出会いイベントは他のイベントに比べてもかなり重要になってくる。
私がそれを回避させたのは、彼女のその努力が結構周りに被害を与えることになるからだ。
そうなる前にある程度基礎的な知識を習わせてからじゃないと……私以外にも犠牲者が出てしまう可能性が。
先生もそれを感じていたのか、はたまたあの瞳を持つ者について調べたかったのか検査を三つともさせるわけだが……間に合わなかった。
まあ、最後に調べる予定のものは魔法耐性といって、周りに被害を与えるようなものではないからやらないことも多いから大丈夫だとは思うけれど……。
魔法耐性は魔法に対する抵抗力を調べるもので、あまり重要視はされていない。
もちろん私はその辺りしっかりと調べられているけど、普段誰かに守ってもらうことの多い貴族は、その危険の伴う検査を端折ってしまうことが多い。
相性を調べる先程の検査は、魔法を使う時にどれと一番相性がいいのかを調べるだけなのでとても簡単だが、耐性の場合は実際にいろんな魔法を受けてみないと分からない場合が多い。
………私も燃やされたり水に沈められたりしたけど、今思うと虐待よね?
…………ともかく命に関わるものが多い、だからこの学校でもあまり推奨はしていないところがある。
でもこれをしていないと結構戦う時とかに影響出たり、中には回復魔法に耐性があるせいで命に関わるので、希望者はしっかりと申請すれば受けられるようになっている。
その時には回復魔法が得意な人が最低二人は用意され、最初に回復魔法の耐性を調べた後で他の魔法の耐性を調べる。
この順序を間違えると冗談抜きで死人が出てしまうから、それを間違えさせないように見張る人も用意されるほど厳重に行われる。
この辺りの説明、ややこしいし長いしでスキップしたのが懐かしい……っとまずはフィリアの検査結果のことを考えないと。
今のところ一つ目のも二つ目のもゲーム通り、つまり三つ目もそのままだと思ってまず間違いはないだろう。
そうなると次に出る問題は、彼女が来週起こすあの事故をどうするか、だ。
……………そうだわ!私の発表予定のアレがあるじゃない!
頭が痛くなるほど悩んで、今の私に必要なものを選んだ過去の私に拍手を送りながら、走らないようにと気をつけながら歩くスピードを速めた。