私の助かる道(悪役令嬢視点)
あれから色々と考えた結果。
シャーロットが一番安全に生存できる方法は、夢鍵のヒロインであるフィリア・フェルノと仲良くなることという結論に至った。
理由はいくつかある、まず彼女はヒロインらしくというかその身に持つ力がチートだ。
ライバルであるシャーロットも彼女と張り合えるほどには美しさも力も持っているが、やはりヒロインには敵わない。
それに彼女と仲良く慣れば彼女に心酔する攻略対象達から殺される無いどころか守ってもらえる可能性もある。
フィリア自身自分が味方だと判断した人には甘いというか、その力を存分に発揮してくれるところがあるし。
ただ問題は彼女と仲良くすれば周りが黙っていないだろうという点。
彼女が攻略対象達の心を掴むのは、貴族として、力のある者としての重圧に苦しんでいた彼らを楽にしてくれるというところが一番大きい。
中でもジュリアスは周囲のプレッシャーに押し潰されかけていたのでその分ヒロインに心を惹かれることになる。
そのプレッシャーの一つが婚約者のシャーロットが優秀すぎて周りから比較されるというので、それで距離を取られるんだからシャーロット可哀想。
「えーっと、確かフィリアは入学式に遅刻して、攻略対象と出会うのよね……？」
とりあえずフィリアが何かする前に偶然を装って接触し、一度色々話し合っておいた方がいいはず。
となると入学式当日には出会っておくべきだろう。
その日は在校生の皆はその一年で学んだこと、成長したことを確認するための試験がある。
フィリアは攻略対象の一人であるシリカ・ミステアという、先生と出会うイベントがある。
シリカは実はフロロフィア魔法学校の学長で、強大な力を持つという新入生の様子を見に来ていた。
それなのにその新入生は遅刻し、少し苛つきながらもこの後の行動を事細かに説明するのだが、フィリアは全く理解していない様子でぽけっとする。
その姿に放って置いたら面倒だと判断したのか、わざわざ学長自ら案内することにしたのだ。
フロロフィアの生徒で彼を学長だと知っているものは少ない。
シリカは貴族ではないため、そのことが明るみになると面倒なことになると伏せてある。
だからほとんどの生徒や先生は、彼のことをたまに面白い授業をしてくれる変わった先生くらいの認識で、学長自らが案内していると驚くものはいなかった。
ただ入学式初日に遅刻した者はフィリアだけで、フィリアについての噂はこの時から既に広まりはじめる。
次に、シリカに先に教室に案内され、その教室の前でジュリアスとの出会いイベントがある。
出来ればこの、ジュリアスとの出会いイベントの前に知り合っておきたい。
休憩時間だしその場所に行くのは簡単だろう。
ただシャーロットがわざわざ新入生の教室に、となると悪い噂に繋がりかねない。
「………そうだわ、シリカ先生に用事があったことにすればいいのよ。」
シャーロットもシリカが学長であることを知りはしないが、優秀な生徒であったし彼の授業で何度も結果を残していることもあり相談相手になっていた。
当日は試験があるし、確かあの時間はまだシャーロットの発表ではないはず。
万が一のことを考えてシリカ先生にも近くにいていただきたくて。
そういえば私がわざわざそこに先生を探しに行くのは不自然ではないはず！
あとは当日タイミングを間違えないで行動するだけ！
