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光の黒魔剣士は異世界で冒険します!  作者: 水定ユウ
第2章 王都の黒羽
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呪いの序章


心臓を貫いたはずの、ゴブリンキングは倒れない。


それどころかむしろ、本領を発揮したように見える。悪夢はまだ始まってもいない。その頂を知らしめるかのようだ。そして振り下ろされた長槍を受け止めたのは、無論エルフィーであった。


「エルフィー?」

「ありがとうフェイ。貴方のおかげで、こいつの呪い(・・・・・・)を解くことが出来た。後は、私に任せてほしい」

「えっ?!呪いを……あの一撃か!」

「そうです、きっと。大丈夫、後は私が一瞬でけりをつけましょう」


そう言って、大剣を横に薙ぎ払った。

その重たい一撃は、脇腹にヒット。しかし、倒れはしない。むしろ、それを力に変えるかのように鼓舞する。それを楽しそうに嗜む彼女は、異様だった。


「大輪丸の真の力、その身に刻むがよい!」


そう、高らかに宣言した。まるで役者のようだ。そうして、何を取るかと言えば、大剣の淵(・・・・・)に掛けられた(・・・・・)突起のようなレバー(・・・・・・・・・)()引いた(・・・)。すると、大剣は一瞬にして切り替わる。

真っ二つになって、同じ長さではあるが、形は違う。直剣と言うよりは、刀に近い。そんな形をした日本の双剣。不揃いな形で、刃渡りは同じではあるが、その実幅は薄くて、まちまちだ。

そんな双剣を強く握りしめたエルフィーは、キリッとしたいい表情をして、先ほどまでのクールな表情や楽しそうに話す表情とも違う。まるで、何処かの国の騎士様のような面持ちだ。


「これぞ我剣。双輪丸。さあ、その体で刻め古の唄」


とても心地よく宣言してみせた。

そして剣を片方、右手で持った方を逆手に持ち替えそして走り出した。まるで、狐のようにスルリとしていて、そして虎のように強靭だ。風を起こして、突き進み、そして長槍を警戒しながら十文字斬りをした。

交差し合う、二つの剣。それらが交じり合って、二つの剣が描き出す。多少の血を吹き上げて、刻まれていくその乱れるような剣撃は、ゴブリンキングの攻撃を寄せ付けないどころか、むしろ追い詰めていく。そして先ほどとは明らかに違う事実。ゴブリンキングに(・・・・・・・・)確かなダメージ(・・・・・・・)が与えられる。確実に痛みを負っている、エフェクトが僕には分かった。そして、それを知っていてエルフィーはさらに加速する。


「《アクセル》起動せよ」


目に捉えることの出来ない速度で敵を襲う。

それをゴブリンキングは、手首を駆使して長槍を大きく振るい、徹底的に防御するが、その網をかいくぐるようにしてさらなる一撃が加わる。


「グ、ギャ!」


ここでようやくゴブリンキングは、声を上げた。しかし、まだ倒れない。今度は、体に力を入れてゴブリンにしてはおかしな動き。まるで人間のように槍を突き出す。回数は三度。しかしその速度は凄まじい。だが師匠と比べたら随分と遅いようだ。

それを難なく交わすエルフィー。僕の目には《魔眼》で普通の速度で見えるが、それは《アクセル》を使っているから躱せるのではないのだと旗から見てもわかる。


それは、明確なエルフィー自体の実力である。

それを知った僕は、ぼんやりとしてはへーっとその光景を見ていた。だがその瞬間に変化の時は訪れた。


「グガガ!」


ゴブリンキングが、長槍を落とした。

真っ黒な中茎。そして、煌めく銀色の穂先。それを呆然と見た僕は、エルフィーの次の攻撃を見定めた。


「これで終わりです」


そう言って、ゴブリンキングの心臓目掛けて振いきった、二天の剣聖は、突如として出現した剛腕の右腕に阻まれる。しかもそれはたった一本の腕による防御で、びくともしなかった。


「何!」

「グワン!」


その瞬間に、突如として振り上げられた拳によって放たれたとてつもないエネルギーの塊がエルフィーの体を空中に押し上げ、そして突き上げた。

しかしエルフィーはそれを軽い身のこなしで躱す。僕はそれが異様にも思えたが、それを僕はチャンスと思った。そして、エルフィーが地面に着陸する瞬間。ゴブリンキングの視線がまだエフルィーにある。それを確認した。

そして僕は、先程の戦いでゴブリンキングの手から滑り落とした長槍を手荷物、それはエルフィーが落としてくれたものだ。僕はそれをありがたく使わせていただこう。そして、持った瞬間に意外な重量を覚えた。


(結構重いな……まあいい《ブースト》!〉


そして僕はその槍を持った。

そしてそれを片手で持ち、ゴブリンキングの心臓を狙い定める。そして、こちらを振り向く寸前に僕は技を放った。師匠から教わった、槍技だ。


「くらえよ、『大雀蜂(オオスズメバチ)』!」


乱れるような槍の嵐。

幾重にもなって積み重なるそれらは、一度に三発。それを計六回ほどしか出来なかったが、それでも十八回の攻撃を繰り出した。速さは断然こちらの方が早い。ゴブリンキングは無関心でこの攻撃をなすすべなく、微動だにしなかった。そしてその攻撃は相手の心臓を無数に刺殺し、そして時間差で絶命させた。まさに、毒のように。


◇◇◇


「終わったのか、しかし全くだ。最後の最後で、フェイに取られるとは」

「まあ、倒したんですからいいじゃないですか」

「そう跨いだな。まあ、お互いの実力もこれで分かったことだろう」

「そうですね。忘れていました」


そんな風に話していた。


「ところで、これは何なんですか?」

「これとは、これのことか?」

「はい。ゴブリンにしてはおかしな動きばかりでしたから」

「そうだな。確かにおかしな動きではあった。これは、まずいかもしれないな」

「まずいとは?」

「こらはきっと人為的(・・・)な影響が関わっている気がする」

「えっ?!」


そんな発言であった。

とても物騒である。そしてこれが全ての始まりでもあるのであった。

サラサラ進展しそうです。

頑張ります。

ブクマお願いします。

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