冒険者登録
少しずつ物語を進めて行きます。
教えてもらった通りの道筋を辿る。
見ればすぐにわかると言っていた建物だ。かなり大きいのだと思う。中央通りの真ん中、そしてその先にあったのは、予想通り大きな建物だった。
「ここかな?」
その建物は他とはひときわ大きくて、乳白色の建物には、西部劇に登場しそうな、木のスイングドアが目を引く。そして、看板には武器屋っぽい盾のマークそして、鳥が描かれていた。
「とりあえず入ってみるかな」
僕は何の気なしに気軽に中に入った。
◇◇◇
中に入ると、そこにはたくさんの人がいた。それも、皆が皮の装備や銀色の騎士のような装備など、体操豪華な装飾が施されているものまであった。そして、奥にはカウンターが幾つもある。脇には、酒場と思しきパーソナルスペースまでもが点在していて、それは豪華であった。
「ここが、ギルド」
僕はとりあえず、空いていた受付カウンターに向かった。するとそこに座っていた女性スタッフの方がこちらに築いたようで、営業スマイルであろう笑顔を振りまいて来た。別に僕は笑顔が欲しいわけではないのだ。
「あの、冒険者になりたいんですけど」
「はい、かしこまりました。それでは、こちらの用紙に必要事項をお書きください。もし、文字が書けない場合は口頭でお伝えください」
「はい、ありがとうございます。ですが、大丈夫です」
僕は用紙とペンをもらうと、僕は近くにあったテーブルでその用紙に必要事項を記入してゆく。
項目を見ると、名前や性別。年齢などであった。
簡単な項目だったが、この世界での読み書き僕にとっては不自由なため、時間がかかるので、これから少しずつ読み書きをマスターして行く必要がある。
「あの、書けました」
「はい。それではお預かりします。少々、お待ちください」
受付カウンターの女性は、なにやら板状のものを取り出した。それは、持ち運びが簡単にできるような、少しだけ厚みのあるしっかりした作りが特徴的な白いカードであった。
受付嬢は、それを僕の前に提示し、それと一緒に平たいトレイの上に置いた一本の裁縫用の針みたいなものを出して来た。
「それでは次に、このカードの上に血を一滴垂らしてください」
「あの、それは何故?」
「はい。これはこれから発行する冒険者カードと呼ばれる一種の身分証のようなものです。これは本人以外が、使用できないようにするためと、本人の情報を記録して置くために必要な行為なのです」
「そうですか。わかりました」
僕は納得すると、針をて気持ち、空いた左手の人差し指にプツリとさす。すると、少しずつ、タラタラと流れ落ちる真紅色の血液。
僕はそれを、針をトレイの上に戻すと、代わりに先ほどのカードを手にし垂らす。
すると、一瞬だけ蒼白い光がほとばしりその粒子が空に舞った。
「あの、これでいいですか?」
「はい。お預かりします」
受付嬢に渡すと、先ほどの用紙に書いたものと一緒に平たい黒っぽい板状の石板の上に置いた。そして、なにかしらの呪文を唱えると、今度はもう少しだけ強い光がほとばしり、数秒の余韻をおいて、その光の放出は終わった。
「はい、これで冒険者登録が完了しました。冒険者ギルドの説明をいたしますか?」
「はい、お願いします」
「それでは説明します。まず、【冒険者】とは、様々な依頼を達成して、この世界のために活動する人たちのことです。そして、冒険者はそれによってお金を得ます。冒険者は、各町に存在する冒険者ギルドで依頼を受け、そしてその報告をすることができます。あちらにあるクエストボードが、その依頼でした上位の依頼を受けるには、それなりのランクが必要となります」
「ランクとは?」
「はい。ランクというのは、冒険者の実績を名目上に明記したものです。これは、以来の達成数やその他の功績によって上がり、最初はFランクです。依頼もこのランクよりも一つ上のものまでしか受けられず、同時に一つまでです。また、7人まではパーティと呼ばれるものに区分され、そのパーティメンバーのランクが過半数以上であれば、そちらに依存されます」
「なるほど理解しました」
それからも説明は続く。
話をまとめるとこうだ。
・冒険者は、各町に存在する冒険者ギルドで依頼を受け、それを達成することでランクと報酬を得る。
・冒険者にはランクがあり、FからSまでである。
・5年以上、依頼を達成していない場合、または過度の犯罪をおかした場合には冒険者カードを剥奪される。
・冒険者は、自分のランクよりも一つ上の以来までしか受けられず、パーティの場合過半数に依存される。
・冒険者カードの再発行手数料はかかる。
まとめると大体こんなものだ。他にもいくつものルールがあるが今必要なのはこれくらいだ。
「それでは最後に、カード発行の際の手数料をいただきます」
「あっ、最後なんですね」
「はい。それでは、銀貨5枚お願いします」
「えっと、銀貨、銀貨……はい」
「ありがとうございます。私たちギルドのものは、日々冒険者の皆様が、快く活動できるように支援しています。それでは、また何かありましたら気兼ねなく申してください」
「はい。ありがとうございます」
僕は静かに一礼してその場を去った。
これで、僕は晴れて【冒険者】という肩書きを手に入れたわけだ。
(さて、まだ時間もあるし簡単な依頼でも受けようかな)
僕は早速クエストボードへと向かった。