王都のギルドにて
僕はそんなたわいもない話を小耳に挟んだ。いや、小耳というよりも盗み聞きというのは、如何しようもない。僕は、それを加味して心のうちに仕舞い込む。
そして、その扉を開く。僕は、ギルドの中に足を踏み入れた。そしてそこは、とても凄かった。
◇◇◇
「これは凄いな……」
僕はそう小さく呟いた。
中は雑踏がひしめく。しかし、それが活気となってギルド内は賑やかだ。作りとしては、【アルカリウム】のギルドと同じようではあるが、設備や広さが段違いだ。酒場。そして、ボード。そのどれもが、大きくて使いやすそうだ。受付も、見た限りでは、10はある。
(結構作り込まれているな)
そう思った。そして、僕は歩き出した。しかし、そのすぐに僕の足は止まった。そして、ある一点を見た。そこにいたのは、さっきの大剣を背負った人だった。これからして、間違いなく女性だ。そして、身長も僕よりも高い。170センチ後半はある。
その人を見て、僕は何となく話しかけてみることにした。理由は特に見当たらないが、まあ交流関係を深めるにあたっては、他の冒険者とのコミュニケーションもかなり重要だ。それに、一つだけ理由もある。
「あの、先ほどは失礼しました」
「?!何だ、君か」
「はい」
「いや、こちらこそ悪かだだ。公衆の面前で。しかしだな、君も扉の前でじっと考えてごとをされていては、入りたいものとしては迷惑になる。が、別に怒っているわけではないからな」
「はい。あの、ところでなのですが?もしかして魔法が得意な方ですか?」
「?!」
「ああ、いえ何でもないです。それでは」
僕はそそくさとそこから退散しようとした。
しかし、その人に声をかけられた。「何故、そう思う」と。
「何故と言われましても、そうですね。僕には見えるんですよ。魔力の流れが」
「なるほど。君はその様な『眼』を持っているのだな。私も似た様なものを持っている。それで、君は私の多重結界と《インビジブル》を突破したのかい?」
「はい?!」
僕は聞く耳を疑った。この人は、一体何を言っているのか?僕は首を傾げた。何故なら、僕にはその人の姿がはっきりと見えていたからだ。
「何。多重結界は視認は出来ない。これはあくまでも外部からの魔法による干渉を防ぐためのもの。私たちの種族は敏感なものでな。それで、《インビジブル》これには私の魔法というよりも、このフード付きの服が関係している。これには、少しばかりではあるが視認しづらくする魔法をかけていてな。それが私の場合少しばかり強く作用してしまった。だから、そんな効果が、あるのだよ」
そんな風に楽しげに愉快に話し出す。
「しかしまあ、何と言っても剣だ。やはり近接戦こそ、戦いの流儀。弓もいいが、やはり魔法を多用してしまっては、一対一の熱い闘いは楽しくないからな」
「楽しいって?」
「それはそうだろう。確かに誰かの命が関わっているのであれば別だが、闘いにはそれぞれ意味がなくては。でなければ、血肉胸踊る様な熱き白熱した戦いにはならないからな」
「相当自信がおありな様ですね」
「そうかもしれないな。死に急ぎかもしれない。しかし、私達のように長生きする種族にとっては、これくらいの感情がなければ、やってはいけまい。でなければ、故郷を離れ、旅立った私としての意味がないからな」
「えっ?!」
「まあいい。気にするな。所で、君は一人かい?」
「えっと、あと二人とパーティを組んでいます。一人は武闘家?もう一人は魔法使いです」
「なるほど。それで、今日その二人は?」
「えっと、別行動を」
「では、今度その二人に合わせてほしい。そして、君たちの判断で構わないのだが、私も君達の仲間に加えてはもらえないだろうか?」
「えっ?!」
僕は小さく、驚いた。当然のことで、困惑し素の状態であった。しかし直ぐに意識を戻し、僕はその人を見る。そして問いかけた。
「何故です?その理由は」
「理由か。当然だな。強いて言うのであれば、私も仲間が欲しい。流石に一人旅は、少々寂しいものでな。それに、君達にとってもこれは有益なことではないか?」
「そうですかね?」
「そうとも。何せ、パーティメンバーが一人増えることで、連携が取りやすくなる上に戦術の幅も広がる。無論私は君たちの作戦に基本的には従う。それにだ。君達のパーティの役職を聞いていると、どうやらタンクがいないようだ。だったら私がその任を引き受けようではないか。こう見えても私は、体の丈夫さには少しばかりいいのでな。それで如何だ?」
「えっと、僕一人の判断では容認しかねますね。一度相談してみないと」
「それもそうだな。では、まずは私の実力を見てもらおう。如何やら、私の感だが君がそのパーティのリーダーのようだからな」
「そうですか?」
「そう共。君からは、ミシミシと感じる凄まじい魔力と、技術が見える」
「……」
僕は黙り込んで、了承した。
すると、その人は、名を明かす。
「わかりました。では、その実力。僕のも試してみてください。そして、見極めてください。この実力を」
「わかった。では、私のことはエルフィーと呼んでくれ。私はエルフィールド・ミリオンシアと言う。よろしく頼む」
「こちらこそ。僕はフェイです。フェイ・ダルクリオンです」
「よろしくな、フェイ」
「はいこちらこそ、エルフィー」
そして僕たちは固く握手をした。
そして手頃な依頼を受けに、適当にボードを見に行く。そして、適当な依頼を選んで、僕たちは受付へと行き、一瞬驚いていた受付の人に僕は首を傾げそして、ギルドを出たのだった。
感想もお願いします!




