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光の黒魔剣士は異世界で冒険します!  作者: 水定ユウ
第2章 王都の黒羽
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王都にて


僕達は、無事王都に到着した。


到着したその日は、実際もう夕暮れ時だったために皆んな(特にリア)は、気力が失せ脱力気味だったので、適当に安い宿屋をクルスさん達に教えてもらってそこで一夜を過ごした。


◇◇◇


「それで、今日は何をするんですか?」


そんな回想を終え、眠たそうな(まなこ)のフレアはお茶を一杯(すす)り、僕達にそう聞いて来た。確かに、来たのはいいが別に何かをすると言うわかではないのだ。


(そう言えば、確かテオドアさんが言ってたっけか……ギルドに親友がいるからよろしくって。よし!)


ボクは一息吸って、


「じゃあ僕は、ギルドにでも言ってみようかな。テオドアさんの言っていた親友が気になるから。それに、きっといい人だと思うし」

「そう言えば、そんなこと言っていたわね」

「はい。私の記憶にもしっかりと保管されています。確かに、少し興味はありますね」

「じゃあ二人はどうする?一緒に行く?」

「そうね、どうしようかしら」

「私は、今日は一人で魔法の特訓でもしようかと……せっかく王都までの道中に面白い光景が見られたので、その実践を」

「面白いもの?」

「はい。ですが、少し危険です。その魔法なら、きっとフェイさんよりも強いですよ」


そうニカッと笑ってみせた。

その表情はとても新鮮で、僕は目を疑ったが、やがて安心してお茶を一口啜る。


「じゃあ私は、ちょっと寝てようかな」

「「えっ?!」」

「って、何さ!その驚きよう。フェイも、フレアもひどいなー。私、ずっと荷馬車を操作していたんだよ?そりゃ、肩だってこるし常に気を張っていないといけないから、久々のベッドだ。身体を休めたいんだよねー」

「そっか、それもそうだよね」

休みません。一人に任せてしまっていて」

「いいよ、いいよ。気にしないで」


何だかとても悪い気になった。

が、しかし。とりあえず今日の方針は決まった。僕達はそれぞれが思い思いにすることに馳せる。そして、しっかりと朝食を摂り終えると、僕達は一度別れた。


◇◇◇


さて、僕は基本に忠実。王都のギルドへと向かう。足を運ぶ面持ちはとても軽い。軽やかすぎるほどにだ。緊張も何もない。だって、楽しいからだ。

別に人が多い場所が好きと言うわけではないが、街中は活気があふれていていい国だと言うことを証明してくれている。こんな国に、憧れを抱くのは誰もが当然で、それでいて悪い気はしない。

決して、僕の故郷である国が悪いところというわけではない。自然豊かで、それでいて活気はある。まあ、毎日が夜のよう(・・・・)ではあるが、それは気候的なものだ。国を成り立たせる者は、かつての過ちを二度と繰り返さないことを忠義する。それは()の意味でも、僕を成長させた大事な分岐点であることには変わらないのだ。だから、こんないい国をどんな人々でも笑顔を絶やしたくないという思いは、暗黒面(・・・)のある僕でも守りたいと思える。


そんな風なことを考えていると、徐々にではあるが人の流れが変わった。裏通りに入ったようなほんわかした気と、ところどころから流れ出る強力な強者の殺気が流れる。

漂うようにして、血肉踊る。(異臭ではない)

そしてその格好も、商人のような格好の人から、武力的な銀の装備。それか、薄いがそれ故に特化したスピードが自慢そうないわゆる盗人(シーフ)のような格好の人だ。それを見て、僕は気づいたこの通りは間違いない冒険者ギルドがある。しかしだ。一つだけ、気がかりがある。


「ここ、暗くはないか?」


そう、僕がいたのは中央通りではない。

むしろ、まずい(・・・)。ここは、通ってはならなかった。面倒ごとが起こる前に、立ち去ろうとその足取りを早めようとしたが、遅かった。やはり、どんなところにも曇りというものはある。点は必ずあり、百パーセントの白い紙でも一滴だけは、必ずと言っていいほどに黒いシミが飛ぶ。


「お前、ここらじゃ見ねえ顔だな」


背後(うしろ)から、殺気立った気配を感じた。

そしてその気配の量からして、大きさが推定できた。巨漢である。流石に、ここで面倒ごとはごめんだ。しかし、まずいことにここはどこで間違えたのか?道に迷ったのか、中央の大通りまではまだ点と点程の壮絶な距離がある。


(まずいな、ここで面倒ごとはかなりまずい。戦ったら、きっとまた絡まれるだろう)


僕は後ろを振り返った。

そして、その目の前の大柄な男。そして、周りの取り巻きとも思えら二人ほどの男たちが見えた。

どうやら、正規のギルド会員のようには見えない。そんな気迫も、覚悟も、何もかも感じられない。至って普通。ただのチンピラだ。


「あの、何か用ですか?」

「はあっ?!グダグタ言ってんじゃねえぞ、見たところお前この国の奴じゃあねえな、丁度いいぜ金目のものをよこしな」

「いいえ、持っていませんよ」

「嘘つけ!」

「それに、ここじゃ下手をしたらあっちの中央の大通りの方に聞こえますよ?」

「ははは、俺たちをただのチンピラだと思ってだか見てるな、やっぱりお前はこの国の奴じゃあねえ、聞いて驚け、俺たちはこの国で今騒がれてる『蛇紋の狩猟』だぞ!」

「『蛇紋の狩猟(サーペント・ギルド)』?聞いたことがないですね」

「御託はいい、さっさと金目のものを出せ!おっと、大声を出したって無駄だぜ、俺の仲間によってこの空間にはよ、声が向こうには絶対に届かねえ!」

「うひひ」


そう言って、後ろにいた取り巻きの一人。

細長くて痩せ細った、一見して盗人(シーフ)のような人。首からは薄汚れたピンクのマフラーをしている。


(あの人、魔法が使えたのか!)


正直に言って驚いた。これは心の中から出た。そんなことを考えながら、僕はどうしようかと迷っていたが、仕方なく脅かす程度にやってやろうかと思った。

まあ、殺しはしない。僕は、人様を殺したくはない。まあ、どうしてもというのなら別だが。


そんな風に考えながら、適当に剣を出そうかと思ったその時、突然影が指した。

ここは薄暗くて、もとより暗い。しかしそこにさらなる大きな影が出来た。それに気がついて、僕は上を見る。他の人達もだ。そして、そこに立っていたのは少し変わった人であった。その人は、格好から言ってカラスである。黒いカラス。顔には、白い仮面を被る。


「そこまでだ!」


そんな風にカッコイイ言葉を吐いた。

僕は呆然とその人を見た。他の人も見て、そしてその仮面の人の着込んだマントが風によって翻し、揺れた。

特にはないです。

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