竜を狩る者
すみませんでした。
内容が思いつかなかったというか、何というかまあ面倒になってしまって、書いていませんでした。
またそのうち投稿しますね。短いので。
クルスさんは任せてほしいと言った。
しかし、それを快く承知したのはいいが、心配にもなった。
「大丈夫ですかね、クルスさん?」
「何、あいつのことだ。俺たちが心配する様なことでもない」
「ロックさん」
そう、ロックさんには鼓舞されたが、やはり不安が尽きない。しかし、ここで僕が手を貸すわけにもいかない。それを見ていたフレアが、僕に向かってこう言ってきた。それはフレアからしたら意外だった。
「フェイさん」
「何、フレア?」
「心配しているんですか?なら、ご安心ください」
「えっ?!」
「あの人は、強い」
そう述べてみせた。
僕はその言葉に唾を飲み、そして、じっとクルスさんを見る。そして、剣を抜いた。
◇◇◇
(さて、やるかな)
僕は剣を抜いた。久々に感じる、強敵の出現。その匂いに感化されてか、僕の目は本気になった。
ゴガァァァァァ!!!
けたたましいほどの大音量の爆音。それがこの広い草原に響き渡り、まるで荒廃した荒野を思い浮かばせる。自体、悪化している様だ。
「全くだ。その命、ここで狩らせてもらう」
僕は剣にありったけの魔力を注ぎ込んだ。
これこそが、魔法の剣。
「光よ、天を穿ち。その命運を我が剣に預け、応えよ!」
その瞬間、周囲の光が奪われ、ある一点に集約した。そしてその光の結晶体は、我が剣に宿りそしてその剣は、まさに神より託された神剣に近い存在、高貴なる聖遺物、聖剣へと生まれ変わった。
「あの光は」
「そうだ。あれこそが、クルスの剣の本当の力」
「あれは、聖剣……それにあの輝きは」
何かを言いたがっているフレアを横目に、僕は固唾を飲んだ。あの輝きには確かに僕も見覚えがある。あれと同じ、いやそれ以上の輝きをだ。そして、その光が大いなる高みに迫り、そして、一つの剣を変貌させた。
「さて、行くぞ!」
そう言って、クルスさんは飛びかかった。
僕は、剣を振るう。仲間を守るために、今を救うために。英雄になんかなら必要なんてない。聖剣は、そのために必要なものではないのだ。勇者もいらない。魔王もいらない。だから、僕はこの剣を思う存分振るうことができる。見ていてくださいね、師匠。僕は、あれから成長したんですから。
「『王の聖者は雷鳴を生む』」
飛べなくなった竜を追撃するには、これが一番だ。僕は、聖剣と化した剣を振り上げ天に指し示す。そして、黒雲を呼び寄せ、そこから降り注がれる青白い稲妻を浴びたバチバチとさせる蒼い聖剣を使って攻撃した。
狙いは当然のごとく、竜だった。
「行け」
そう命じるがままに、稲妻の光は一本の柱となって、竜を襲う。抵抗しようと咆哮を上げ火炎弾を放つ竜など御構い無しに、その半身をもぎ取っていく。
ゴガァァァァァ!!!
絶望にひしゃげる。
見た者にとって、その光景は二つの意味を与える。一つは、感きわまる勝利や衝撃。もう一つは、果てしない絶望の破壊。この二つを兼ね備えているのだ。
しかし今の彼には、そんなことは関係なかった。
まだ立とうとする、竜に向かって最後の追撃を行う。足音も立てない、ものすごく静かな足取り。軽快でも決してないそのゆったりとした最後まで気を抜かない足取りは、まるで戦場を駆け抜けた英雄である。
そんな彼は、最後の時を与える様に静かに目を閉じることもなく、じっと見守りながら、その剣を、穢れを祓う聖剣を振り下ろした。
◇◇◇
僕たちはその光景を静かに見守っていた。
何も抵抗できないままに、斬り殺させた竜を見て、唖然とした。
(あんなに苦戦した相手なのに、よくもまあ簡単に)
そうも思えた。しかしそんなのは、悔しさなどではな決してない。本当に思ったことは、もっと簡単で簡素でわかりやすい。
(もっと強くなりたい)
それだけである。
◇◇◇
僕たちは、クルスさんの元に向かった。するとクルスさんは、笑顔でこちらを振り向き、そして笑った。
「やあ、皆んな。終わったよ」
「いつも凄いな、お前の剣は」
「そうですか?そうですね。謙遜はしません。しかし、これは僕の力と言うよりも師匠や、この剣の力が大きい」
「そうですかね?あの剣術、それにアーロン・ブレインの名。噂には聞いていましたが、やはり貴方は」
「如何したの、フレア?」
「いいえ、何でも」
そんなリアと、フレアの会話を耳にした。そしたら、今度は急にクルスさんが褒めてきた。
「そういう君も、フレア君も凄いな。噂に違わない」
「どういうことですか?クルスさん」
「あれ?もしかして知らないの。彼女は」
「クルスさん」
そう強く制止された。
それを言って泣けたのは、まさかのフレアだった。それを見て、クルスさんは震える様に後ろに下がった。
そのあとは、簡単に竜の皮は鱗をせっせと剥がしに回った。
爪や、魔石なども豊富に取れた。僕らはそれをできるだけかき集め、そして僕は外套に隠し入れた。途中、「どうしたんだ?さっきまでの素材の山は」と疑われたが、それはそうと何とか誤魔化しが効き、僕らは再度悠々と旅をし始める。それから、王都へと馬を走らせる。
急いで向かうのだった。




