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光の黒魔剣士は異世界で冒険します!  作者: 水定ユウ
第1章 冒険の始まり
1/39

異世界に行きます

どうも水定佑です。

『光の黒魔剣士の仲間たちは少し変わっている』を大幅書き換えの予定で、とりあえず書いてみましたが、とりあえずなので変更もあるかと思います。

是非読んでください!


ここは全ての世界と繋がり合い、全ての世界と区切りをつけられた世界。ここは全ての世界の狭間にあり、全ての世界との干渉をゼロにする変わった世界である。


混沌世界(カオスワールド)】。それがこの世界の名前だ。この世界には様々な世界が点在している。

そのうち、今僕がいるのはその中でも特に区別された位置にある場所だ。そこには、僕の友人がいる。今日は少し頼みごとに来たのだ。



彼がいるのは、ちょっとした小高い丘の上にある秘密基地みたいな感じのものだ。それは、鳥のような形をしている。

僕は久しぶりに見たそれに、


(変わってないなー)


と思った。そして、僕はそこに向かって歩いた。


◇◇◇


「お待たせしました、フェイ様」

「こんにちは、ティラミさん」


僕は姿勢良く会釈し頭を下げた。彼女もまた、姿勢良く頭を下げる。

彼女の名前は、『ティラミ』。透き通るような真っ白な髪と、鋭い(まなこ)が特徴で、その端正な顔立ちの中には、美貌(びぼう)と可愛らしさが伺える。齢は知らないが、見た目は17歳ぐらいに見える。彼女は僕の友人のパートナーの一人である。彼とは、強い絆で結ばれているのだと言う。


「ティラミさん、彼は?」

「はい。主人は、別世界にいます」

「そうなんですか。大変そうですね」

「はい」


彼女は淡々と告げる。その言葉は、少し悲しそうだった。彼女は多分『愛している』のではない。『強い信頼』を抱いているのだ。おそらく、『ティラヌ』さんも。それにしても、『世界に干渉されない』能力なんて凄いよね。ほんと、頼りになる。僕はそう思った。


「それにしても、ティラミさんは主人って呼ぶんですよね?」

「はい」

「それって、嫌ってませんでした?『仲間にそんな呼び方されたくない』って?それに、貴女も前はそんな言い方してませんでしたよね?」

「ですが、私はこの呼び方に慣れてしまいましたので。主人がなんと言おうと、私はこの呼び方を続けます。ところで、要件の方へと移りましょうか」


ティラミさんは、胸を張って手を当てた後、すぐさま表情を人形のように無関心を装うと、早速僕の提示した要件へと移った。僕もそれに同意するようにして、今日来た目的を話す。


「それで、なぜ急に()()()()()()()と思ったのですか?一度異世界に行ってしまうと、フェイ様で戻ってこられないにも関わらず」

「そうだけどね。それも重々承知の上ですよ。これでも僕にもちゃんとした目的があります」

「目的?何をされるのですか?過度な空間破壊は、世界を歪めてしまいますよ?」

「そんなことしませんよ。それに、今の僕にはそんな大それたことをする力もないですから。もっとも、彼なら……頑張れば出来そう……後、アイツも」

「訂正させていただきますが、恐らくですが『出来ない』と思いますよ。本人自らが無理だと言っていますから」

「そうですか。それは失礼しました」


僕は深く頭を下げた。確かにそんなことをするような人物ではないことを僕は知っている。僕と同い年の彼らは、そう行った性格の持ち主でもあるのだ。


「それで、なぜ突然異世界転移を果たそうと?前述にもあげた通り、フェイ様の力ではそもそもが空間を飛び越えたとしても、戻ってこられないではありませんか」

「それもわかっているつもりだよ」

「ご両親には?」

「もう言ってる。それに僕も、理由があるって言いましたよね?」

「はい」

「僕の目的、それはもっと強くなることです!」


僕は勢いよくそして、冷静に呟いた。

この言葉の意味を瞬時に理解したであろう、ティラミさんはさらに聞いて来た。


「目的はわかりました。ですが、どう強くなるおつもりですか?」

「ティラミさんは、僕が強いと思いますか?」

「どう捉えた場合でしょうか?」

「全体的に見て」


一瞬考え込むティラミさん。その冷静そのもので、人形のような端正な顔立ちにはなんの迷いもなかった。


「身体能力、精神力、技術力。それらを組み合わせた結果、私よりは格段に(おと)りますが、主人よりは格段に高く、決して足元にも及ばないほどの力量さがあると思います」

「そうですか」


ズカズカと押し入ってくるように呟いたその言葉の数々。普段彼女はそんな言い方はしない。しかし、意図を読み取ったのだろう。その言葉には何の気遣いもなかった。そもそもが、彼女は人に合わせてくるので、僕なら回りくどく言わなくても受け止められると思ったに違いない。それにしても、主人を下に見ているのは、本人が格段に劣ると言い切っているからだ。だから彼も、頑張って身体能力を、平均的にまで成長させようとしている。


(特に体力と、スタミナだよね……彼は。精神力と、知識はそれなりなのに……でも、頑張っている人は応援するよ。僕は)


そんな風に心の中で思った。それにしても、ティラミさんの能力値は本当に次元を越えている。本人が基本戦いに参加しないのは、何故だろうと僕は考えるが、彼らの主人もそれを知らないのだ。僕には見当もつかなかった。まあ、それは置いておいて、話に戻ろう。


「僕は、もっと強くなりたいんです。身体的にも、精神的にも、そして、仲間とのコミュニケーション能力も……」

「最初の二つは満たしていると思います。そして、絆……ですか。確かにそれはいくら養っても良い力ですね。わかりました。行き先はこちらで決めます」

「お願いします」


そして僕は、返事をした。



「それではついて来てください」


ティラミさんはスタスタと歩く。僕もそれについていくようにする。


◇◇◇


この鳥型の秘密基地はかなり広い。何故ならば、たくさんのポータルがあるせいでサークルに乗るだけで転移し、様々な部屋に移動できるからだ。それはこの世界にある空間の狭間にあると前に行っていたが、僕の頭脳では皆目見当もつかなかった。

そして、この基地の中央部に位置する、ひときわ大きな薄いピンク色をした縁取(ふちど)りがポイントの、サークルに飛び乗った。するとあっという間に、目の前にはそれは大きなスクリーンが映し出され、使い方もわからないような大型のキーボード?の様なパネルがあった。それをティラミさんは、何事ないかの様に操作していく。


◇◇◇


かかった時間はほんの10分程度。様々な世界とリンクをして行った結果、ついに良さそうな場所位を見つけた様であった。


「ここはどうですか、フェイ様?いくつかの世界を検討した結果この世界が一番適していると思いますが」

「うーん?」


僕は一瞬考えた。どんな世界かはわからないが、どうしたものかと。あまり世界の干渉はよくはない。だったら彼みたいに情報収集から入るのもどうかなと。


(まあ、僕も情報収集からだけど……)


「どんな世界ですか」

「一言で言ってしまうと、ファンタジーです」

「ファ、ファンタジー?」

()()()()()…みたいな感じです」

「そうですか。ありがとうございます」

「それと、これからいく世界に行ったらその言葉遣いもやめてもいいのではないでしょうか?」

「そうですね。もう少し、やんわり?にします」


よくわからない言葉が出てくることがある。もともとこの世界は僕のいた世界になかった言葉や物たちだ。


「それと、これを」


ティラミさんは、どこから取ってきたのか、一つの少し大きめの箱を取り出してみせた。僕はその箱を受け取る。


「あの、この箱は?」

「主人からの贈り物です」


僕は首を傾げながら、その箱を開ける。

多分この箱にも、『時空魔法』がかかっているのだろう。中には、綺麗に折りたたまれた黒い外套が入っていた。

襟元や、裾には白い白線が()われており、繫ぎ止めるボタンには、白っぽくされていた。僕はそれを見て、キョトンとした。


「あの、これって?」

「特注です。前に、ご両親に頼まれていたものを、『ディメンジョンワーム』の糸で縫い上げたものだと聞いています」

「『ディメンジョンワーム』?じゃあ、これには……」

「はい」


僕はそれを大事そうに手に取る。

新品だ。


「ちなみに、その刺繍(ししゅう)は、フェイ様のご家族のものです」

「お父様達の!」

「はい」


僕はそれを聞いて、吹っ切れた。頑張ろうと。ただいまはそれだけを……


◇◇◇


「いいですか、フェイ様。この先に行ってしまうと、後は自分の力では戻れなくなります。それから、そのペンデュラムは絶対に外さないでください」

「わかっています。これは、僕の()()()()するために必要なものですから。それでは、行ってきます」


僕は、ただ前だけを見るティラミさんを見ながら、剣も何も持たずに、少しの文字を読む知識しかないまま向かった。少々のこれからいく世界のお金をもらって、僕は旅立つ。

テレポートする様なサークルから。


その時、僕の首から下げるペンデュラムが揺れた。手の甲の紋章が浮き上がった。魔力を感じた。僕は、それから前を向き、深呼吸すると、一瞬にしてこの世界から旅立った。


強さを知るために。そして、大切なものを守る力を、自分の意味を探すために。


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