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僕のヒロインが居なくなる件について  作者: ビターボーイ
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僕のヒロインがリア充な件について

第二章 僕のヒロインがリア充している件について


こんな干からびた、抜け殻のような男にヒロインなど寄っても来ないだろう。生憎この作品での、主人公補正は、他の作品のモブ補正と違いない。つまりは、誰の目にも止まらないレベルの恋愛しかできないと言う事だ。恋愛ラブコメではあるが、非恋愛ラブコメでもある。悲しくなどないさ。こんな僕が、主人公を務めるなんてまたとない機会だ。そこは、受け入れなければならない所だろう。

長々と喋ったが、現状は、最悪だ。ヒロインは、サッカー部のエース真島くんに取られてもう、大変な事になっている。だが、もう1つ僕は抱え込んでいる事がある。それを語るには、昨日の事を振り返ろう。

「ねえ。聞いてるの?」

「え?ごめん。聞いてなかった」

「あんた、そんなんだから女の子にモテないのよ」

「モテるかモテないかは、お前が決める事じゃないだろ!」

椅子から飛び上がり、机をドンと叩きながら、怒鳴り声をあげる。クラス中が、僕に注目し、僕は今、クラスの注目の的となっている。

その中には、現モブキャラ。後々ヒロインとなるキャラもいるが、今はまだ関係のないことだ。

「分かったから!恥ずかしいから、座りなって!」

頰を赤く染めながら、僕を少し急かせる、第2のヒロイン候補の、山中雫だ。

彼女は、中学からの友達であり、恩人でもある。彼女がいなければ、高校も辞めていただろう。

そんな彼女を僕が好きにならないはずもなく、好意を寄せている。

「座ったら、僕と付き合ってくれるかな?」

照れもしないで僕は、クラスメイトに見られながらも告白をする。

「もぅ!何言ってるのよ!ほら。授業始まるよ!」

逃げるかのように、鞄から教科書、ノートと授業に必要な物を出して行き、出し終わった頃には、チャイムが鳴る。

「おい。お前ら〜席に着け」

「水原先生〜!聞いてくださいよ!」

「毎日毎日お前の惚気を聞かされてる私に言わせれば、お前の200倍は不満が溜まっている」

生徒の、相談を惚気と言い切る、この先生も凄いが、毎日飽きる事なく、彼氏の不満を、ぶち当てる、この生徒もすごいと思う。

「恋愛初心者のお前に少しアドバイスをしといてやる。今ある幸せは、逃すな。ゴールまで持ってけ」

「「先生、それ毎日言ってるよ」」

全員が全く同じツッコミをしている頃僕は、伸びをして、机に倒れこんだ。体調が悪いわけではない。ただ、学校一日頑張るためには、欠かせない儀式のようなものだ。うつ伏せ、ゆっくり目を閉じれば、儀式は終わり、知らぬ間に授業が終わると言う不思議な魔法のような事を起こす儀式だ。これを考えた人に敬意を払いこう呼んでいる[スクール神]と。

そんなスクール神から授かった技を、乱用していると、唯一弱点が目立つ。それはテストの点数が著しく落ちている事だ。

目が覚めると、教室には誰も居ない。普通置行くかねー。

「あのー!鈴谷くん。次体育だよ」

「そっか!忘れてた!わるい!教えてくれてありがとな!恵さん!」

足をもじもじさせて、頰を赤らめながら、コクリと頷く。

更衣室に駆け込み、迅速に更衣を開始し、体育館へ駆け込んだ。自分でも驚く事に体育館には誰もおらず、トントントンと、何かでボールを弾くような音だけが聞こえてくる。危機を感じ後ずさろうとすると後ろから声が聞こえる。

「何をしているの?さぁ、行きなよ」

振り返ってはいけないような気は十分にしていたが、そんなものは関係ない。

「恵さん?」

振り返って、恵さんだった事に安心したのか、僕は、腰を抜かし、尻もちをついた。だがそれは安心してなどではない。そもそも恵なんて名の生徒はこの学校には存在しないのだ。ならどうして僕は、彼女を見た瞬間恵さんと呼んだのか。それは言葉が勝手に発しただけに過ぎない。

「ねぇ。鈴谷くん。貴方昔言ってくれたよね?私とならどこに行っても楽しいって?じゃあさ、ここの中入って私と遊ぼうよ」

「そんな事言った覚えはない!君は一体誰なんだよ!なんで、恋愛ラブコメが、ホラーになってんだよ!意味わかんねえよ!」

「私の事覚えてないんだ。私は貴方の言葉を信じて、ずっと貴方を待っていたのに」

手招きをしながら僕に「こっちへおいでー」と語り続けている。時が経てば経つほど鳥肌も止まらなくなり、足がすくんで動けなくなってしまった。

「ほーらーねぇ?行こうよ?」

「居た!鈴谷!」

雫が何と体育館の中へと乗り込んできた。本当にこの子は神なのかと崇めたくなるほどに毎度毎度僕を助けてくれる。拝もう。

「いきなり居なくなったから、心配したのよー!早く戻るわよ!」

「違うんだ。この女が俺に体育だって言うから」

「何言ってんの?今は生物だし、女なんてどこにもいないじゃない」

「え?何言ってんだよ。お前の目の前にってー」

僕は言葉を止めた。危機を感じたと言うよりは、雫の身を案じてだ。女は、雫を酷く睨みつけて、何かを唱え始めたからだ。僕は、既に雫の手を引っ張って走っている。

「逃げるぞ!雫!」

「何からよ!?」

「良いから!あこは危険すぎる!もしさ?このまま無事に逃げ切れたらさ、その時はー」

「あ。和也じゃない!紹介するはね、私の彼氏になった人ですー」

僕は、今顎が外れたのかと思うほどに、口がぽかんと空いてしまっている。

「あれ?彼氏居たんだね」

「んで、その時は何?」

「なんでもないです」

涙を拭いながら、僕は一人で走り逃げて行った。幽霊ではなく、リア充の前から。

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