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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第93話 邂逅

 ショーをしていた子に突然言われた言葉に驚愕するしかない。未だに土下座をする子に耐えきれなくなってくるが、まず状況を整理しよう。


 ショーを見てて僕にも出来そうだと思ったからやってみた。そしたら観客がこちらに気がついて僕に注目が集まったのだろう。これはわかる。目立つからな。それからショーをしてた子に営業妨害だと怒られるならわかる。だが、土下座をされ、弟子にしてくれと言われた。なぜ?


 「弟子にしてください!!お願いします!!!」


 しーんと静寂に包まれるなか、この子は繰り返した。この行動には観客もよくわからない行為に困惑するだろう。当たり前だ。今から険悪な雰囲気にでも移行すると思われたのが弟子にしてくれだ。ついていけないのはきっと僕だけではないだろう。とりあえず理由を聞く。


 「なぜ?」


 「わ、わたしは自分の水魔法に自信を持っていました…しかし!あなたのそれを見て思ったのです!わたしには想像力が足りないと!わたしのものには感情が見られません!しかしあなたのは感情豊かで楽しそうで…なにより動きの緻密さに感動しました!」


 「お、おぅ…」


 「そして!」


 「そ、そして?」


 「わたしはスライムが好きです!」


 「そ、そうなんだ…」


 「ということで、弟子にしてください!!」


 …何て言えばいいんだろう。なんだか凄く必死なんだけど。弟子にと言われても僕のはスキル補正があってのものだから参考にはならないと思うんだけど。


 どう対応したらいいのかと考えていると、シエスタから「スズネが決まったってさ」との念話が飛んできた。


 ここは誤魔化して逃げよう。


 噴水の水を巻き上げ観客と土下座してる子を水で包み込み中に鳥を飛ばす。それを目で追っているのを確認した後、人混みに紛れてスズネのところに向かう。包み込んだ水は吸い込まれるように噴水の元に戻るように操る。


 よし、うまく逃げれたな。


 スズネのところに行くとスズネが露店の前で待っていた。露店の店主にお金を払ってアクセサリーを受け取った。


 「これは…ソウタの」


 「え?」


 「これは…ソウタのために選んだのっ!」


 「え?あ、ありがと」


 唐突に渡されたそれは銀色の狼のネックレスだった。なんとなくシエスタに似てるような気がした。それをつけてにこにこしてるとスズネの耳がピクピクと動いて尻尾がゆらゆらしていた。ちょっと照れているようだ。


 「スズネもよく似合ってるよ」


 「う、うん…」


 あまりこういうことは得意ではないが、喜んでもらえて何よりだ。お互いに照れて赤くなっていると空気を読んだ店主は空気と化していた。それからすっかり覚めた後、ギルドに向かった。


 ギルドは魔法学院と隣接しているらしいので、学院を遠目に見学することができるようだ。ギルドに入ると絡まれることはなかったが、シエスタとアッシュの姿に怯えているようにも思えた。


 「今日はどのようなご用で」


 「キリカ街から魔物の素材を卸しに来ました」


 「き、キリカからですか?」


 「ええ、ギルド長を呼んでもらえませんか?あ、これギルドカードです」


 「っ!?失礼しました!すぐに呼んで参ります!」


 それからシエスタを撫でながら待っていると先程の受付嬢の方が帰ってきて、奥に案内された。受付嬢の方がドアのノックした。


 「Sランクのソウタ様がいらっしゃいました」


 「どうぞ」


 すると中からおばあさんのような声が聞こえた。中に入るとザ・魔女みたいなおばあさんがいた。案内されて椅子に座ると受付嬢は元の仕事に戻っていった。


 「私はこのギルドの長であり、アルカ魔法学院でも長をしておる。メルサ=アルカルーラという。よろしくのぉ」


 「キリカ街から魔物の素材を届けに来ましたSランク冒険者のソウタと言います。今はここにいませんが、狐獣人のスズネと従魔のシエスタとアッシュと共に来ました」


 そんな自己紹介からこの人と関わることとなったのだ。

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