第89話 期待は裏切るもの
大変ながらくお待たせしました。
続きを投稿させていただきます。
粉々になったおじさんの亡骸は回収しておいた。なにかに使えるかもしれない。村の方に戻ってみると廃墟と化した家があり、そこらじゅうに骨や魔物の死体が転がっていた。あまりにも腐臭がひどかったので、火魔法で火葬しておいた。
それにしても来るもの拒まず去るもの食すか。なかなかの思考を持ってたな。それにあの村人の幻覚はどうやったんだろ?リッチだったから幽霊を使役できたとかかな?
ユニークスキル見えないしな。そこにあったか、闇魔法にあったかのどちらかだな。それよりも気になることがある。あの晩御飯…おじさんがつくったのかな?料理スキルあったし。明らかにスズネより料理がうまかった。
もし、あの姿で自我があったならテイムしたかった。そしてこのパーティーに料理ができる魔物を加えておきたかった。このパーティーには僕以外にまともといえる人はいないのだから。
「ねぇ、ソウタ?今失礼なこと考えてなかった?」
「滅相もございません。それにしてもまさか見えない住人が実は見えるけど人じゃなかったなんてね」
「まぁいいか……。そうね、私には見えてなかったところをみると、霊感?がある人しか獲物にしていなかったのかもしれないわね」
「そうだね、ここにももう用はないし、いこうか」
この村とも永遠にお別れだ。次の村はさすがにまともなところであってほしい。
そんなことを考えながらついた場所は僕らの願いを捻り潰すものだった。それは……
「あらやだぁ~こんな村にお客さんかしら~」
「……」
おいおいおい!なんでだ!ここはあれか?またなのかまたか?なんでまともな村がないんだ!
「あら?よく見たらあなた可愛い顔してるわね!うちに泊まっていくといいわぁ~」
てめぇに言われても嬉しいわけないだろ!察しろ!なんでゴリゴリのおっさんにモテなきゃならんのだ!またか?またなのか?第二のカシワ村か?
「すいません、間違えました」
「遠慮なさらず~つまらない村かもしれないけど、私が楽しくして……あ・げ・る♪」
そう言われてゴリゴリのオネェに担がれて村に入っていくとそこには普通の村人達がいた。どうやら変わってたのはこいつだけだった。もっとわかりやすいやつを警備に当てろよ!
「おやおや、カヨコさんはまた旅人さんを担いでいらしたんですかな?」
「そうなのよ~、この子ったら恥ずかしがっちゃって、遠慮しようとしてたのよ」
おいお前!こんながたいでカヨコって名前なのかよ!武蔵に改名しろよ!
「そうでしたか。まぁまぁゆっくりなさってくださいな」
「いえいえ、ゆっくりさせていただきます。あの?おろしてもらえませんか?」
仕方がないわね…という感じに寂しそうにおろされた。そんなに寂しいなら丸太でももっとけよ!
「ここはなんていう村なんですか?」
「ここはミューリア村ですな。まぁなにもないところなので、地図にも載ってない村ですがな!」
なんでこの村長は得意気なんだよ。そこは悲しそうにするべきだろ!
「ここには私というものがいるから、退屈なんてさせないわよ!」
カヨコはどや顔で宣言していた。そのことについて村長はひきつるかと思いきや、そうだった!とでも言いたげな表情をしていた。ある意味名物かもしれないが、こんな濃い名物を見に来る人なんているのだろうか。
「そういえばあなた、ここには何しに来たのよ」
「王都に向かう途中でして、偶々通り道に村らしきものがあったので寄ってみました」
「そうなの、確かに王都に向かうならここを通るものね。それにしても久しぶりに来たわね」
「そうなんですか?」
「ええ、1年ぶりかしら?そうよね、村長?」
「そうですな、3ヶ月に1人くらい来てたのに、ある日ばったり来なくなりましたな。もっといい道が出来たのかと思い、気にしていませんでしたがね」
そう言いながら二人は笑っていたが、もしや?と思い、あの村について教えることにした。
まだまだ忙しい時期が続きますが、なんとか投稿していきたいと思います。