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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第86話 見えない住人

 鑑定のレベル上げに拍車をかけるためにさっさと次の街に向かうことにした。その間に珍しく人に会った。近くにあるラヌーという村から薬草を取りに来ているそうだ。


 「そうかいそうかい、キリカ街から国都に…ずいぶんとまぁ遠いところから~」


 「そうなんですよ~、遠出なんて初めてなんで、辛いことも何度かあったんですよ」


 「おやまぁ、それはそれは大変でしたなぁ~、うちの村で少しでも休んでいってくださいな」


 「いいんですか?ありがとうございます」


 こんな森の中でもいい人はいるんだなぁ。それにしてもここってわりと魔物いた気がしたんだが、ずいぶん軽装だなこの人。


 親切なおじさんについていこうとしたとき、後ろから服を引っ張られたので振り返るとスズネがいた。


 「どうしたの?」


 「ソウタは誰と喋ってるの?」


 「へ?」


 え?誰ってこのずいぶん軽装なおじさんだけど?ぼくおかしなことしてるかな?


 『シエスタ?僕おかしなことしてる?』


 『普通におじさんと話してるように見えるけど?』


 『だよね』


 あのおじさんだよと指をさしながらスズネに説明してみた。おじさんはにこにこしながら待っていてくれてる。ほんといい人だな。


 「そこにいるおじさんと話してるけど?」


 「誰もいないわよ?」


 「え?」


 誰も?いない?僕とシエスタだけに見えてるのかな?それとも僕は幽霊が見えるようになったとか?そんなスキル持ってないけどなぁ?


 『アッシュも見えてるよね?』


 『みえるよ』


 『だよね』


 スズネだけがみえない?じゃあなにか僕らで違いあったかな?ステータスに幽霊がみえるようなものあったか確認するか。


名前:山根 草太

種族:人族

年齢:17

性別:男

Lv:129(+1)

HP:708/708(+5)

MP:1200/1259(+10)

攻撃力:807(+5)

防御力:686(+5)

敏捷:739(+5)

知力:1153(+10)

精神力:1091(+10)

魔力:1323(+10)


ユニークスキル

【流体操作】Lv8


アクティブスキル

【武術】Lv7【料理】Lv4【テイム】Lv8【風魔法】Lv7【水魔法】Lv7【火魔法】Lv5【空間魔法】Lv3【氷魔法】Lv4【毛繕い】Lv6【鑑定】Lv5


パッシブスキル

【環境適応】Lv6【気配遮断】Lv5【苦痛耐性】Lv5【異臭耐性】Lv6【逃走】Lv2【忍び足】Lv4【魔力感知】Lv8【気配探知】Lv9【職人技】Lv1【敏捷強化】Lv4【不味覚耐性】Lv2


称号

【昼寝を愛す者】【昼寝の達人】【流された者】【異世界転生者】【ゴブリンスレイヤー】【スライム好き】【掃除夫】【悪臭の伝導士】【オークスレイヤー】【もふりのスペシャリスト】【お抱えプロゲーマー】【俊足の荷物持ち】【便利な魔物回収者】【自然破壊のプロ】【職人】【猪人族スレイヤー】【黒猪人族スレイヤー】【黒猪王討伐者】【白猪女王討伐者】【匂わせる者】【蜂蜜を授けし者】【触手好き】【幼女好き】【絡まれし者】【獣人を愛す者】【兄貴】【境界に近づいた者】


従魔

【天狼スライム】シエスタLv31

【灰黒猪王】アッシュLv28


加護

【創造神の加護】


 この中でそれっぽくて僕とシエスタとアッシュで共通するものといえば【境界に近づいた者】だよな。確か生と死の境界に近付いた者に与えられるんだよな。これを鑑定してみればいいのかな?


【境界に近づいた者】

 生と死の境界を彷徨った者に与えられる称号。生と死の狭間の住人を視認・会話・触れることができる。


 これのせいか…。それにしてもちょっと不便だな。みえないものがみえるだなんて不気味に思われるんだろうな。


 「スズネ、どうやら僕達はある称号でおじさんが見えてるらしい。だから、僕らはおかしな人じゃないよ!」


 「ソウタ達の称号?それはどの称号?」


 「それは…」


 どうしよう。この称号はスズネの料理を食べたことで手に入った危険な称号なんだよな。言っても大丈夫なのか?いや、ここは嘘をいってのりすごそう。スズネにまた泣かれたくないからな。


 「それは?」


 「【境界に近づいた者】っていう称号なんだけど、これで見えるようになったんだ」


 「そういえばソウタもシエスタもアッシュもいつの間にか持ってたわよね。いつ手に入ったの?」


 スズネさん、それは貴方の料理を食べたからですよ。ここはアンデッドを倒したんだ~とかで誤魔化そう。


 「あぁ、これはね、スズネが寝てる間にアンデッドの魔物を倒したんだ。その時にいつの間にかあったんだ。多分この境界を彷徨ったっていうのはアンデッドのことをさすんだと思うんだ」


 「私が寝てる間ねぇ…まぁいいわ。それでその見えないおじさんはなんて言ってるの?」


 「この近くにあるラヌー村で休まないかってさ」


 「この近く?地図にはないわよ?」


 「へ?もしかしたら地図ができたあとにできた新しい村かもしれないし、一応行ってみようよ」


 「そうね、村ってことは多少安全…?みえないおじさんってことは死んでるってことじゃないの?」


 「異世界ってこともあるし、目にみえない住人ぐらいいるんじゃないの?」


 「それもそうね」


 話がまとまったのでみえないおじさんに導かれて村にいってみるとちゃんとした村だった。ただし村人はスズネには見えなかった。スズネの言葉は村人に届くが、村人の言葉はスズネには届かないのでそばにいて言葉が通じるのに通訳することになった。


 今日は泊まっていいとのことなので、村を探索してみることにした。村人が畑作業をしているみたいだったのだが、もしやスズネにはクワが浮いてるように見えるのでは?と思っていたが、クワも見えないとのことだった。


 村人の持ち物まで見えないとは思わなかった。あんないい汗かきながら働いてる人なんてこの世界に来て見たことなかったのだが、残念だ。なぜか畑のことは見えるらしい、不思議だ。


 「あれは流石に見えるよね?」


 「どれ?」


 「あの犬なんだけど、さっきから嬉しそうに走り回ってるんだけど、見えない?」


 「見えないわね」


 あれも駄目なのか。この村でスズネは家以外に何か見えるものはないのだろうか。そういえば昼御飯まだだけど、食事はどうなるんだ?


 「ソウタ殿~、そろそろご飯にしますよー」


 「はーい」


 「なんだって?」


 「ご飯だってさ」


 「ご飯?どうやるのかしら」


 おじさんの家に行ってみると料理が並べられていた。しかも僕だけじゃなく、スズネにも見える。食べてみるとこの世のものとは思えないほど美味しかった。

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