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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第80話 最強の男と愉快な仲間達

 ギルド長の部屋にいくとそこにはジーンズが似合いそうな膨よかな男性がいた。この人がこの街のギルド長なのだろう。基本的に街のギルドには一人ギルド長がいて大きいところがほとんどだ。


 「ようこそいらっしゃいました。私はこのギルドのギルド長をやっているマルムと言います。わざわざ遠いところからよく来てくれました」


 「いえいえ、目的地沿いにあったので、ついでに持ってきたまでです。そういえばギルドカードを出していなかったので、自己紹介しておきますね」


 僕は受付にキリカ街から物資を持ってきたことを伝えたが、ギルドカードの提出をしていない。受付嬢も「そういえば!」と言っていた。一応取り込んでいたから忘れるのは仕方がない


 「僕はキリカ街でついこの間Sランクになりましたソウタと言います。よろしくお願いします」


 「おぉ!ソウタ殿でしたか!通信が届いていましたので、名前だけは知っていましたが、これほど若い人だったとは…」


 ギルド長は少し驚いていたが、受付嬢はその比じゃないほど驚いていた。そりゃあ僕の年齢からしたら普通はないことだからなぁ。


 「王様に挨拶にいくついでに物資を届けに来たのですが、どこに持っていけばいいですか?」


 「そうですなぁ、とりあえず解体所に行きましょうか。物資といえばほとんどが肉ばかりですからね」


 ギルド長に着いていくとまだ腹を押さえて最強男さんがうずくまっていた。それを見たギルド長は「腹痛かのぉ?また腐った肉でも食ったのかのぉ?」と暢気なことを呟いていた。


 周りの冒険者達はあまりのギルド長の言動にざわつかせていた。そいつらは無視してギルド長は今度はアッシュやシエスタを見つけた。


 これにはさすがに驚くだろうと思っていたが、アッシュのことは「ほっほっほ、ずいぶん大きなお子さんですね?ソウタ殿の従魔ですかな?」と言っており、シエスタのことは「いい毛並みですね」と言っていた。


 これだけ豊かなところに住み続けるとこれほどまでに寛容になるのだろうかと思ったが、他の人を見るとそんなことはなさそうなので、ギルド長個人の性格なのだろう。


 解体所では持っていた物資を引き渡して、ハチミツをギルド長と受付嬢に個人的にプレゼントした。物質の中にはハチミツが多く含まれていたが、これらは個人用ではないので、個人にあげる場合は自分の取り分をあげることにしている。


 ハチミツには大層感謝されて、ギルドに一番良い部屋を貸してもらえるのとになった。用事が終わったのでスズネ達のところに行くと、シエスタが触手をギルドのロビーを埋め尽くしていて、屈強な男達が倒れていた。


 アッシュはぐっすり寝ていたがスズネは起きていて、シエスタのことをぼーっと眺めていた。どうやらスズネはまだ寝起きのようだ。


 「これはどういうことだ?シエスタ?」


 「ガゥ!(寝てるところにこいつらが酒をぶっかけてきたんだ!しかもここにいたやつら全員がだよ!)」


 「それから?」


 「ガルルゥ!(だから全員ぼこぼこにしてやったのさ、命までとることじゃないからしなかったけど、あの腹を押さえてた男は仲間を連れてくるとか言いながらそそくさと逃げていったけどさ)」


 「なるほどね。ぼこぼこにするのはいいよ。匂いで追える?」


 「ガゥ(そんなことしなくてもすぐに来るさ)」


 「そうか、じゃあ待っとくか」


 三人にかかった酒を飛ばしていると20人程の男が武器を片手にやって来た。ギルドでは争い事はメンバー同士では禁止されているはずなのだが、そんなことは気にしない様子でいた。


 「あいつだ、あいつを殺せ!」


 この街最強男は自分の力ではなく、連れてきた仲間を差し向けてきた。にやにやと不気味に笑っていたが、あの男が最強なら他はもっと弱いだろう。


 近くに寄ってきた男は剣を降り下ろしてきたが、あまりにも遅かったので腹を殴ってやったら腹を押さえて悶えていた。他のやつらも腹パンをしただけで終わってなんとも手応えを感じなかった。最強の男は口を大きく開けて呆然としていた。反応がうすいのでビンタすると、土下座で対応してきた。


 めんどくさいので放置して用意された部屋に向かった。キリカ街以外はなんでこんなに治安が悪いのだろうか。

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