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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第77話 王都へ

 王都に向かう前に2人と2匹で挨拶回りをすることにした。ジパーズのところには昨日行ったのでギルドだけに行くことにした。


 こういう場合周りから心配されたり応援されたりするものだ。それがテンプレというものだったりする。僕はそれを期待して向かった。


 「ソウタとスズネ王都に行くのか、なんだか寂しくなるな」


 レイジュさんに肩をポンポンされた。


 「はい、王様にSランクになったことを報告してきます」


 「そうか、まぁ気をつけて行ってこいよ。あとなんか美味しいものがあればお土産によろしくな!」


 レイさんからはお土産を頼まれ、それにレイジュさんはうんうんと頷いていた。ギルドにいた冒険者達からは、「頑張れよ」と応援された。ギルド長にはスズネだけは「死守せよ」と言われた。僕よりもスズネの方が重要性が高いようだ。


 ギルドの挨拶はすぐに終わったので出ようとすると副ギルド長に遭遇してしまったので、軽く挨拶して通りすぎようとしたら、肩を捕まれてしまった。


 「ソウタ…この街を出るらしいな」


 「あ、はい」


 「本当は俺も一緒に行きたいが、俺にはやることがある。だがな、俺はお前のことは忘れない。絶対に帰ってくるんだぞ!」


 「あ、はい」


 「ソウタ、辛くなったらいつでも帰ってくるんだぞ!俺が慰めてやる!」


 「はぁ…」


 なんだかよくわからないが誰よりも副ギルド長に心配されてしまった。全く嬉しくないんだが、スズネよ。なぜそんなににやにやしてるのかな?


 ギルドの次は買い物だ。肉とハチミツは大量にあるが、野菜や調味料はない。肉はいつでも手にはいるが野菜なんて森の中に生えていない。木の実はあるが、それだけでは飽きてしまう。


 野菜は適当に買った。誰が料理するのかと言われたら僕が作ることになるだろう。一応料理をすることはできる。スキル補正で多少は美味しくはなるだろう。


 宿では親父さんと女将さんに挨拶をしたら、「いつでも帰っておいで」と優しく言われた。リテラはシエスタとのお別れに悲しそうにしていたが、また帰ってくることを伝えると泣くことはなかったがシエスタに抱きついたままその日は離れることはなかった。


 よほどシエスタと離れたくなかったのだろう。それほどにシエスタは好かれていた。次の日になってもリテラはシエスタに抱き付いたままだったが、シエスタは嫌がることなく触手で頭を撫でていた。


 出発するときにもシエスタに抱きついていたが、僕が「そろそろいくよ」と言うとリテラは泣きながら離れていった。僕はシエスタの言葉を代弁して「またすぐに帰ってくるからね」と言うと「ほんとう?」と言われたので微笑んで「ほんとうだよ」と返した。


 門はカシワ村とは反対側でこっち側には1度も来たことなかったが、森ではなく草原が広がっていた。王都までは普通馬車で向かうが、アッシュやシエスタが大きいので乗ることができない。それにせっかくの旅なら歩いてのんびりしたい。


 門には宿屋の家族とギルドのみんなが集まっていてそれぞれに応援されたりお土産を頼まれたりした。リサさんからは王都への地図をもらった。それには街や村の地名から生息する魔物まで詳しく書かれていた。そういえば王都の位置知らなかった。いってすぐに帰ってくるという恥ずかしいことにならなくてよかった。


 街から出るときにリテラはシエスタに抱きついてから「絶対帰ってきてね!」と笑顔で送り出した。僕はシエスタの頭を撫でた後王都に向かった。シエスタはリテラの頭を満足するまで撫でた後少し遅れてついてきた。スズネはにやにやしながらシエスタを見てアッシュは「なにかあったの?」と不思議そうにしていた。僕は「なんでもないよ」と言って誤魔化した。


 さすがに別れたばかりのシエスタを絡かおうとは思わない。それよりも気になることがある。心配や応援は冒険者や宿屋の人に言われた。そのことに関してはとても嬉しい。だが、個人的な別れを言ってきた人たちが気になる。なぜなら


僕←カシワ (まるで僕がヒロイン)

スズネ←皆 (アイドルやマスコット)

シエスタ←リテラ (友達)

アッシュ←モントさんとモンカさん (餌付け)


 どう考えても僕だけ全く嬉しくないシチュエーションだ。というかなぜカシワにしか言われていないのか不思議なくらいだ。この旅で僕にまともな人から個人的に応援とかされてみたいな。

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