第70話 食いしん坊とお昼寝好き
3人はこちらに向かってきたので、シエスタの上に座って待つことにした。上に座っても起きないシエスタはまだまだ熟睡している。そうこうしてるうちにギルド長が話しかけてきた。
「ソウタ、そいつらはアッシュとシエスタで合っているか?」
ん?そうか進化したばかりで僕しか判断がつかないのかな?まぁこれだけでかくなったから、わからないか。
「そうですよ、魔石を与えたら進化しました」
「ん?魔石をか?どれだけあげたらそうなるんだ?」
「ほとんどですね」
まだ黒猪王と白猪女王の分を残してある。これは判断がつかなかった。アッシュだけにあげるべきか。シエスタにもあげるべきか。
「そ、そんなにあげたのか。そりゃあそれだけ強くなるか。ちなみに鑑定してもいいか?」
「いいと思いますけど、嫌がったらどうなるかわかりませんよ?」
「そのときはそのときだ。一応許可はもらったから、見させてもらうぞ」
「わかりました」
ギルド長は真剣に鑑定結果を見ていた。レイさんとレイジュさんは後ろで傍観していた。鑑定された2匹はまだ熟睡している。本当に起きないな、こいつら。
「どうですか?」
「2匹ともSランクか。これは判断に困るな。Sランクとは本来テイムされることはない。進化する場合はあり得る現象だとギルドでは把握している実際に見たものでも稚竜から成龍まで育てたものでも力量がそぐわなかったり、龍としての誇りから従魔から解き放たれた者もいる。Sランクはデリケートで、気に入らないものはすぐに捨て去るとも言われている。今回はお昼寝好きのスライムと食いしん坊で甘えん坊の猪だからなぁ。しかもソウタに甘えるし、付き従ってる。シエスタとアッシュが起きてからどうするか、考えるべきだな」
「そうですか」
Sランクは結構気難しいのか。うちのシエスタとアッシュはそんなことはないと思うんだけど。寝る前も僕に寄り添ってきたし、アッシュは甘えてくる。
デリケートなのか?シエスタはお昼寝出来ればいいだろうし、ご飯を貰えることも喜ぶ。アッシュは甘えてくるし、ご飯をあげれば特に喜ぶ。ハチミツをあげたときはじっくり味わっていた。これから豹変する?ないだろうなぁ。
そんなことを考えているとアッシュが起きた。大きくあくびをした後、なにかを探すように周りを見回してから、僕の方を見つめてきた。近寄ってきて何をするのかと思ったら、お腹をつついてきた。なんだろう?と首を傾げるとお腹をさすった。
お腹?お腹すいたのかな?お腹すいたアピールをしてきたので、少し離れたところに行き、アッシュの体の大きさのことを考えて黒猪人族を3匹出した。するとアッシュは「ブモゥ!」と言ってから食べ始めた。
「?どうかしましたか?」
「その様子を見て進化しても変わらないことがわかった。アッシュは今のところ問題ないだろう。今でも甘えてくるところを見ると今の親はソウタということなんだろうな」
「そうですね、進化してからも甘えっぱなしですよ。それに年齢でいえばまだ0歳なんですからね」
「そうだな。あとはシエスタの方だが、まだ起きないのか?」
「まだ起きないでしょうね。最近シエスタはお昼寝出来てなかったですからね。久しぶりなので心地よくて熟睡しているのでしょう」
「昼寝好きスライムだからだろうな。よくギルドでも昼寝してるところを見かけることがある。ずいぶん長い時間お昼寝してるからな」
「そうですね、外につれていっても頭の上で寝てましたし、早起きの癖に昼寝は長時間とるし、僕もお昼寝は好きですが、シエスタは僕以上にお昼寝のことが好きですよ」