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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第63話 補給所の憩いの場

 レイさんとレイジュさんは笑い終わった後、シエスタを見て驚き、アッシュをみて唖然としていた。どちらもBランクとAランクの魔物だ。そりゃあ驚きもする。シエスタが進化したことは砦で伝わっていたが、どうやら姿までは知らなかったみたいだ。


 スライムは球状に進化するのが一般的で大きな変化といえば色が変わることと大きさが変わることと特殊スキルに目覚めることのようだ。それを知った上で見たシエスタはただのスライムではない。色は変わってないものの、形状が大きく変わり、特殊なスキルも手に入れている。


 アッシュについてはSランクの両親を持ち生まれながらの王でランクもAと高ランクだ。さらに黒猪王と白猪女王は特殊な魔物だ。猪人族でも一対しか存在しないと言われている。その子供でさえ珍しいことなのに、従魔になっていることが驚きなのだ。


 そんなこんなで話していると補給所に到着した。アッシュをみた冒険者は剣を構えたり警戒を強めたりとなかなか物騒なことにはなったものの、ギルド長が説明をしたことによって事なきを得た。


 補給所はテントから1つの家になっていて、中を覗いた感じギルドと同じ内装をしていて、小さなギルドのようだ。受付が3つあり、1つは解体する魔物を申請する場所、1つは何を討伐したのか知らせる場所、最後の1つは無事に帰ってきたことを伝えるところだ。壁には通常依頼が貼ってあるが、ここには討伐された魔物が載せられていた。Cランク~Sランクまで載っており、誰が何を倒したのかわかるようになっていた。


 僕が倒したのも載るのだろうか。オークと黒猪人族の討伐数を数えてないんだが、この場合はどうすればいいのやら。まぁそこはギルド長と半分こでいいか。


 カウンターに行くとSランクの受付にいた受付嬢がおり、帰ってきたことを伝えた。明日も奥地に向かうため、受付嬢に「今日はゆっくりとお休みください」と言われた。


 補給所には一応隣接されたところに食堂があり、そこはご飯を待ってるものや暇だから待機してるものがいて、なかなかの賑わいを見せていた。ここにいるものはBランク以上の冒険者しかおらず、低ランクはいない。いたとしたら、連れてこられたがすることがないものか、見学のために来たものだけだ。


 食堂には結構な人がいるためかなかなか暑苦しいものがあるが、なぜか少し空間が出来てるところがあった。行ってみると、そこには尻尾の毛繕いをしているスズネがいた。触れることなくただただみんなにこにこしながら眺めていた。


 スズネがちらっとこちらを向いて毛繕いをやめた。そのことに多くの冒険者達が残念がっていたが、怒鳴ったりするものはいない。見てるだけで満足しているらしく喋ってる声を聞くのも好きなのかもしれない。


 「あら?ソウタおかえり。その灰猪王っていうのが新しい従魔?」


 アッシュのことをちらっと見てから僕の方を向いてきた。


 「ただいま。そうだよ、アッシュって言うんだ」


 「Aランクって上から二番目じゃなかったかしら?」


 スズネは鑑定を使えるため、アッシュについては深く掘り下げることができる。鑑定を使えない人にとっては見た目と事情で判断するしかない。種族もわからないから、なんとなくアレかな?みたいな感じで過ごす。冒険者で鑑定を持ってないことをコンプレックスに感じてるものは異常に魔物に詳しかったりする。


 「そうだよ。でもまだ子供だから好奇心旺盛だし、お腹すいたらご飯を欲しがるし眠くなったらすぐ寝るんだ」


 「私はすぐ眠くならないから大人ね」


 スズネはなぜかどや顔をしてきた。拗ねて寝てた人がいたと思うんですが、僕の気のせいですかね。なんか熟睡してそのまま起きなかった人がいたと思うんだけど、誰だったかな?


 「それは置いといて、ハチミツ取ってきたんだけど、スズネいる?」


 なんかすごい視線感じるんだけど、心なしかスズネの後ろにいたレイジュさんがこちらを血走った目で見てるように見えるんだけど、気のせいかな?


 「ハチミツ?この甘味の少ない世界でもあったのね!欲しい!」


 「もうすぐ夜ご飯だから、ちょっとだけね」


 スズネの掌に数滴垂らすと、スズネはきらきらした目で眺めた後、一舐めした。口の中でたっぷりの味わった後、唇の周りを舐めた。なんだか色っぽく見えたのは気のせいだろうか。


 「んん~っ!凄く甘いわ!もっとほしいわね!」


 スズネは掌の残りのハチミツをぺろりと舐めてから、こちらをきらきらした目でみてきた。女の子はやっぱり甘いものが好きなんだな。というかみんなこのハチミツが好きなんだろうな。なんだかここにいる人達全員に見られてる気がする。


 「ご飯の後に出すから、そのときでいいかな?」


 その言葉に反応したのがスズネだけじゃなかったことには僕は気づいていた。

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