第48話 ソウタの実力
「デラミスの兄貴が謝れって言ってんだ!謝れよ!」
デラミスの取り巻きが胸ぐらを掴んできた。周りは傍観者。ケモナー街の冒険者は楽しそうだ。なんでこの人らは楽しそうなんですかね。
「はぁ…」
「なにため息ついてんだ!」
ついため息をついてしまったところ、殴りかかってきた。
痛いのは嫌なので、エアロックで腕を振り上げたところで止めておく。その取り巻きは身体が動かないことに戸惑い始める。
「て、てめぇ…なにしやがった!」
「え?僕はなにもしてませんよ?殴るのが怖くてやめたんじゃないですか?」
「そ、そんなことするわけねぇだろ!くそっ動けねぇっ!」
「なんですか?新手の脅しですか?怖いですね…殴るの怖くてやめたくせにまるで自分は悪くないだなんて…」
「ふ、ふざけるな!お前がなにかやったに決まってんだろ!」
「なんで僕なんですか?周りで見てる誰かかもしれないじゃないですか?言い掛かりはよしてくださいよ~」
取り巻きは焦りと戸惑いで汗がすごい。デラミスはこちらを睨み付けているが、こちらは呪文なんて唱えてない上になにもしていないようにみえる。何をしたか考えてるのだろうか。
「く、くそ!」
「ラ、ラミスをはなせ!」
今度は取り巻きで傍観してた男が走って頬を殴ってきた。今度は風圧で威力を抑えさせておいて殴られる。
「っ!?…ん?全然痛くないですね?どうしたんですか?そのパンチは?」
「なっ!?なんでだ…思いっきり殴ったはずなのに…」
「今度は手加減ですか?それともこれが本気ですか?Bランクのデラミスさんの取り巻きは蚊も殺せないパンチしかできないんですか?ゴブリンも倒せなさそうですね?」
取り巻きの男達は殴った男を睨んでいる。そして傍観者達は殴ってきた男を指をさしながら笑っている。レイさんもさすがにこの状況に笑っている。デラミスは僕を睨み付けている。
「な、なんなんだお前は!」
取り巻きの男二人が騒いでいたがとりあえず無視をする。「む、無視すんじゃねぇ!」とか言われたけど、もちろん無視してエアロックしとく。すると指を差した状態でとまった。
「く、くそ俺も動けねぇ…」
「茶番とかもういいので、僕らはもう行っていいですか?」
「お前ら!なにやってんだ!あいつを黙らせろ!」
ついにデラミスがキレだした。まぁずっとキレてたけど、さっきまで黙ってたのにどうしたのかな?大便我慢してるのかな?残りの取り巻き三人が僕に向かってきたので、飛び上がりそうなときに足元をエアロックする。
「お前!ふざけてんじゃっ…!?なっ!?ぐふうあっ…」
三人とも綺麗にスライディングして転がった。それを見た傍観者達は腹を抱えて笑っていた。デラミスは震えだした。
「あれま?なんですか?やっぱり殴りかかるの怖くてスライディング土下座ですか?変わった人達ですね?」
デラミスは取り巻き達を睨み付けた後、僕のことは怖い顔をして、睨み付けている。睨み付けられた取り巻き達は震え上がっている。僕は平然としていたら、さらに怒り始めた。
「もう…赦さねぇ…てめぇら…はあああーっ!」
デラミスは背にある斧を手に持ってこちらを一瞥して振り上げながら迫ってきた。
「さすがに僕もそれは受けませんよ」
斧を風圧で勢いを殺して、斧を避けながら手に風を纏わせる。デラミスの腹にそれを殴りながら当てる。
「なっ!…ぐはぁっ」
それによってデラミスは苦しみながら斧を放し、風によって吹っ飛ばされて壁に叩きつけられて項垂れる。
「ぐふっ…!?、あぁ…」
なにか言いたそうにしていたが、気絶して倒れた。
「ギルドでは武器を抜いたらダメですよ」
レイさんは一連の動きをみて驚き、傍観者達と取り巻き達は僕の行動と威力に驚き、二階の方でSランク冒険者達が笑っていた。