第47話 冒険者ギルドのお約束
「シロウのじいさんはこの時間で来ないならまだまだかかるだろうから、ゆっくりと休むといいさ。スズネはそこの椅子に寝かせときな~、そんなぷかぷか浮かせとくのもなんだし」
確かにこんな持ち方はおかしい。スズネはそれでも起きなかったので椅子に持たれかけさせた。
「そういやソウタは今のどうやってやったんだ?」
レイさんが不思議そうにしていた。
「風魔法で風圧を下から上にかけてたんですよ。それと軽く全方向から風圧を当ててその場に固定してました。あれ?どうかしましたか?」
レイさんだけではなく、レイジュさんやセレナさんも唖然としていた。それほど特殊なことやってないと思うんだけど。
「なぁ…ガンジュ…風魔法ってそんな緻密なことできるのか?」
レイさんは馬鹿な二人の男の方に話しかけた。ガンジュは眉間にしわを寄せていた。
「俺はそこまで風魔法で細かいことはしないから、わからんが、相当難しいと思うぞ」
「だよな…。ソウタ?それは本当に魔法なのか?なにか風を特殊な方法でつかってるとかじゃないのか?たとえば水でいえば水操作とかさ。操作や支配系統のスキルを使ってたりしないか?」
「確かに使ってますけど、そんなに珍しいですか?」
「珍しいな。俺は近接寄りではあるが、魔法だって使える。レイジュも剣を使うが主に槍を使う。みんなそれぞれスキルを持ってるが、そんなに細かいことするやつはほとんどいねぇ」
確かにみんなの戦闘を見てると複数の魔法を混合させたり、複雑そうなスキルをつかったり、細かい作業もしている様子もない。僕のようにスキルで掃除してる人もあまり見かけない。
「僕はむしろこればっかりが得意ですから、剣術とかはからっきしですよ?」
「それができたら十分だぞ。それにしてもソウタが転生者とはな!俺は鑑定ができないからよくわからなかったが、意外とすごいやつなんだな!ずっと抱えてたからわからんなかったわ!」
レイは先程のことはあまり気にしてない様子だった。むしろ笑っている。他のSランクの方は特に気にもとめなかった。むしろ馬鹿な二人は転生者ってなに?って顔をしていた。リューヤさんは未だに寝ている。
「それにしてもじいさんもギルド長も遅いな。なんかトラブルでもあったか?」
「時間もまだありますし、見に行きますか?レイジュさん頼めますか?」
「あぁ、任せとけ。一応護衛だからな。起きたらどこにいったか伝えとくぞ」
「はいっ」
馬鹿な二人はここでのんびりしとくらしいから、置いていくことにした。リューヤはもちろん寝たままだ。僕とレイさんは階段を降りてからギルドを出ようとしていた。
「おい!そこの二人!なぜお前らが先に受付にいっているのだ!俺が先に来たはずだ!このBランクであるゴラミス様を抜かすなど!」
「「はぁ?」」
なんかよくわからんが、大きなおっさんがなぜか怒鳴ってきた。全く意味がわからない。取り巻きらしき男達が4人ほどいたが、そいつらもなぜか怒っていた。
「なに呆けてるんだ!順番抜かしをしていいと思っているのか!ここではしっかり順番を守ることが義務付けられてるのだぞ!」
普通に正しいこと言ってるけど、それは僕らには当てはまらないことだ。
「俺はSランクでこいつの護衛してるレイだ。Sランクには専用の受付窓口がある。そんなことも知らないのか?」
「お前みたいなガキがSランクなわけないだろ!」
「ああ?」
確かにレイさんは若い。20代後半くらいだろうか。それでもSランク特有の強者の風格がある。普段はふざけた感じはするものの、戦いのときは誰も寄せ付けない。あの街では若ければランクが低いなんてことはない。きっとこの人は外の街から来た狩りイベントの参加者なのだろう。Bランクがざらにいる街のせいか、特に気にならなかった。
「そうだ!そうだ!お前みたいなガキがSランクなわけないだろ!嘘をつくな!」
取り巻きが騒ぎ出した。ケモナーの街の冒険者は傍観していた。多分面白そうだとは思っているが、レイさんがキレかけているため、近づきたくないのだろう。
「まぁまぁ、落ち着きましょ。ギルドカード確認すれば済む話でしょ?違いますか?」
「どうせ本当はDランクかそこらなんだろ!見栄はるなよ!」
「まぁ僕はCランクなので見栄張る以前にSランクではありませんがね。レイさんはSランクですよ」
「ふざけたこといってんじゃねぇよ!」
こいつキレすぎじゃないですか?てか話聞けよ。
今月は忙がしいのであまり投稿できないことをご了承ください。