第39話 獣人に優遇するジパーズ
狩りイベントの日程を聞いたので、それまでに準備をすることにした。スズネレベルはフォレストボアを狩ってから、10レベになった。とりあえず戦闘方法は魔法があるが、正直扇子は使いづらい。スズネも扇ぐことにしか使ってない。ということで、ジパーズのところに来た。
「ん?なんだ?坊主と…スズネちゃんじゃねぇか!」
ジパーズは僕を一瞬だけみて、すぐにスズネに振り向いた。なんだこの差は…。僕だってかわいいところが…あったらいいなぁ。ないな。僕も男とスズネならスズネだな。
「ジパーズ、スズネの武器が欲しいんだ。扇子以外で」
「扇子はだめなのか?」
「扇子はいいのですが、もう少し遠距離に攻撃できるようになりたいのです!」
「扇子でもできるぞ?」
「扇子でですか?投げるんですか?」
なんだ?扇子でできる遠距離攻撃って?実はのびるとかか?ジパーズはスズネから扇子を預かると、力みだして魔力を扇子に纏わせる。それを剣のような形にして降り下ろした。
「こんな感じに魔力を纏わせれば遠距離に攻撃できるぞ?まぁ剣だと魔法剣と言われておる。物理的には無理でも魔法をつかえばいくらでも遠くに攻撃できるじゃろう」
なるほど、魔法剣か。かっこいいな。というかそれだったらスズネも妖気で制御もやりやすいだろうな。スズネはそれをきらきらした目で見ており、見られていたジパーズは僕にどや顔した後、スズネにキメ顔をしていた。なにやってんだこのおっさん。スズネは扇子を返してもらうと、魔力を纏わせていた。
「なぁ、そういえば尻尾にも魔力纏わせたりできないのか?手数が増えると思うんだが?」
スズネは扇子に纏わせた妖気を今度は尻尾に纏わせていた。尻尾を揺らすと鞭のようにしなった。
「うぉっ!?あぶねぇ!?」
スズネの妖気は軽くジパーズにかすった。妖気すごいな。これだけでもいいけど、盾かもう1つ扇子か剣があればいいな。確かスズネは敏捷が高かったな。手数があったら威力が低くても良さそうだ。
「ジパーズ、スズネは素早さがあるから手数が多いことに越したことはないと思うんだ。だから短剣の1本か2本作ってくれないか?」
「そ、そうじゃな。手数は多い方がいいのぉ。それに扇子は丈夫じゃが、予備があるかないかじゃあ安全面も違うしのぉ。この前作った短剣があったはずだから、少し待っとれ」
危うくスズネに飛ばされるところだったジパーズは短剣を取りに行った。スズネは尻尾や扇子、それと身体全身に妖気を纏わせていた。時々こっちに妖気が飛んで来て危なかった。狭いところでやるもんじゃないな。
「あったぞ!この2本はどうだ?」
1本はククリのような形状をしていて刀身は黒い短剣だ。もう1本は小刀でこれも刀身は黒い。スズネは手に取ってみると、何振りかして感覚を確かめていた。
「これはいいですね!手に馴染みます!」
スズネは嬉しそうにしていた。もちろんジパーズはにこにこして眺めている。僕は端っこの方で剣に魔力を纏わせていた。なかなか難しいな、これ。
「スズネ、今回はお金を払おうよ。さすがにジパーズも利益がないと仕事にならないだろ」
「それは趣味でつくったものだから、料金はいらんよ。それにここに来てもらうだけで利益は得とるから」
スズネは申し訳そうにしていた。じゃあ僕もみたいなノリでは無理だろうな。あ、そういえばギルド長がジパーズの武器欲しいとか言ってたな。
「まぁ、ジパーズがいいのならいいや。ギルド長と前話したときにジパーズに武器作ってほしいって言ってたよ」
「冒険者のギルド長か?作ってもいいぞ、うまい酒次第と言っといてくれ」
「でもスズネが今安全なのはギルド長がギルドの保護にしてくれたから、安心してここに来れるんだけど?」
「ふむ…それはあやつも意外といいことするもんじゃな!いつでも来いと言っといてくれ!」
おい、さっきと対応が違うぞ!どういうことだ!どんだけ獣人好きなんだよ!僕も大好きだけどな!