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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第35話 もふりたがりのソウタ

 ゴブリンの悲しい悲劇を目撃し、討伐した僕らは次の日はギルドで依頼を受けていくことにした。僕はCランクで少し高めの依頼を受けることができるが、スズネはFランクなのでEランクぐらいの依頼を受けることにした。ギルドにいる強面のお兄さんもスズネにはにっこり、リサさんもにっこりしたほんわか空間が出来あがる。


 「今回は依頼を受けて、冒険者としてお金を稼ぐことを覚えようってことで、EランクかFランクの依頼を受けよう」


 「ソウタがそういうなら、そうする。この依頼なんてどう?」


 『畑によくフォレストボアが出てきて、荒らしていきます。どうか討伐してください。』


 フォレストボアとは森に住む1mほどの猪だ。前討伐した猪は普通の動物で強さでいったらFランクであるが、フォレストボアは魔物でEランクの強さがある。強さが違い、はやさも全然違うが、大きさは変わらない。


 「これくらいなら初依頼としてはいいかな。ゴブリンよりか強いけど、真っ直ぐにしか突っ込んでこないから、気を付けさえすれば簡単に倒せるはずだよ」


 「ゴブリン…」


 スズネは昨日のゴブリンのことを思い浮かべているのだろう。僕だって木の実に釣られるやつは見たことあるが、あんなゴブリンは見たことなかった。


 「今はゴブリンのことはいいから、とりあえず受けるか?」


 「そうね!ボアの肉はおいしいっていうし、もってかえって食べましょ!」


 ということで、依頼を受けることが決定したので、受付にいき、申請した。場所はこの前の猪を討伐した畑と同じ場所だった。何匹かいたら、また解体してもらおう。


 「今回の依頼はいったことあるところだから案内するよ。わからないときは門番の人か、受付や冒険者に聞けば教えてくれるよ」


 「なるほど!わからないときは人に聞くのが一番なのね!」


 「まぁ、ゲームみたいにマップが見れる訳じゃないからね。人と触れあうことは大切だよ…あ、もふることじゃないよ?そんな目でみないで…」


 スズネは触れあうという言葉に反応してジト目で見てきた。触れあうことがもふることだったら僕はスズネをもふりたい。だが、こんな警戒されててもしもふったら、狐火が飛んでくるだろう。


 そんなこんなで畑に到着した。


 「この畑では森か、川の方で見かける可能性が高いと思うよ。この前も川で水飲んでたし」


 「そうなの?あれって…ボアじゃない?」


 フォレストボアは今まさに畑で食事をしていた。僕らに気づいたボアは森の方に逃げていった。もちろん僕らもボアを追いかけて森に入っていった。追い付いたはいいが、ボアは10匹ほどの群れをなしていた。


 「この量はちょっとまずいんじゃないかな?手分けして倒せるかな?」


 「やるしかないんじゃないかな?」


 ボア達は僕らを囲んでいる。僕は風壁でガードする。その間にスズネに外のボアに攻撃してもらった。しかし、4匹程倒した段階でスズネのMPがきれてしまった。


 「ソウタ…MPがきれちゃったみたい…」


 「まじか!?どうする…僕がこのまま攻撃してもいいけど…スズネのレベルを上げたいしなぁ…」


 「レベルはまた後であげればいいから…倒しちゃって」


 なにか方法はないのかな…扇で倒すにも絶対威力足りないしなぁ…ここはエアロックで動きを封じるべきか…。なにかMPを回復する手段はないかな…。ん?そういえば僕は昼寝で回復するけど、スズネは確か毛繕いをしたら回復するんじゃなかったっけ?


 「なぁ…スズネ…」


 「なに?ソウタ?もしかしてソウタもMPきれちゃったの?」


 「いや、まだ全然余裕だけど」


 「じゃあどうしたの?ボア達が休憩して後ろの方を気にしだしたよ」


 「『エアロック!』」


 エアロックを使うことによって6匹の動きを封じ込めた。これによりボア達は逃げることができず、鳴き声をあげて焦りだした。


 「スズネにはいい回復方法があるじゃないか!」


 「そ、そんなもの…あったかしら?」


 スズネはわかりやすく焦りだした。


 「ほら、毛繕いしたらHP,MPが回復するじゃないか」


 「いやぁ…でもほら、ソウタが倒せばすべて丸く収まるんじゃあ…」


 僕はじりじりスズネに近づいた。スズネはそれに対抗して後ろに下がっていったが、木に迫り追い詰められた。


 「ねぇ、ちょっとその尻尾もらふせてよ」


 「だ、だめぇっ…っんんっ!?あぁっ!」


 なんて肌触りにいい毛並みなんだ!ずっともふっていたい…なんかいい匂いもするし…こんな枕があれば、きっといい眠りにつけるんだろうな…あぁ…幸せだ…


 スズネは敏感な尻尾をもふられて顔を真っ赤にしていた。口を押さえて声を我慢しているが、耐えきれず声を漏らす。そんなことを構わずに尻尾をもふりつづけた。

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