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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第32話 ケモナーの鑑

 ギルド長との話が終わったので、スズネとシエスタを迎えにいっ。食堂ではシエスタは夕方にも関わらず、お昼寝を続けていた。お昼寝好きの鑑だな。最近僕は全然お昼寝をしていない。シエスタを抱き抱えて、スズネを探してみた。すると女冒険者に絡まれていた。


 「かわいいからって調子のらないでよね!獣人ということをいいことに私の彼にちょっかいかけないでよね!」


 女冒険者はスズネを睨み付けながら怒鳴り付ける。周りの冒険者達は戸惑っていた。目が怖くて近寄りがたいようだ。


 「ですから、私は別にあなたの彼氏を誘ったりなどしていません!勝手に寄り付いてきただけです!」


 スズネは手を振りながら違いますアピールをする。


 「あなたが誘惑したから、彼は寄っていったに違いないわ!」


 女冒険者はスズネと言うことを聞かず、スズネを怒鳴り付けていた。誘惑されたとかいう彼は床に伏しており、どうやら誰かに殴られたようだ。スズネはなにもしていないといい、女冒険者は全く言うことを聞いていない状況だ。


 「すいませーん、うちのスズネがどうかしましたか?」


 「ソウタ!良いところに来た!この人がワケわからないこといって、怒鳴ってくるの!」


 「そうなのか?すいません。状況がよくわからないのですが、なにをそんなに騒いでるのですか?」


 近くにいた冒険者に聞くと、要するにケモナーの彼がスズネに話しかけて友好を結ぼうとしたら、なにを勘違いしたのか誘惑されて近付いて行ったのだと思い込んでいるらしい。男冒険者の方はこの街に昔からいるケモナーで、よく狼の魔物を撫でようとして大ケガをするのにも関わらずやり続けてるケモナーの鑑である。僕は狼はこわいからあんまり近寄れないんだよね。


 女冒険者とは最近付き合い始めたらしいが男冒険者が極度のケモナーとは知らなかったらしい。女冒険者は最近この街にやって来た初心者のようだ。


 「そうでしたか。なら、女冒険者の方が悪いですね。スズネなら歩いてるだけで彼は寄ってきます」


 なんだったら僕も歩いてるだけでカシワが寄ってきますよ。


 「それを誘惑と言ってるんでしょうが!」


 「じゃあ貴方はかわいい犬が歩いてたらもふりたくならないんですか?」


 僕は前世では昼寝中に猫が一緒に昼寝に混ざってくれたりと、なかなかにもふもふを楽しんでいたから、きっと彼もそんなことが好きなのだろう。現にスズネの尻尾と耳はもふもふしてそうでいい毛並みだ。


 「それとこれとは関係ないでしょ!」


 「彼も獣人をもふりたい気持ちがあって、少しでも友好を結んでおけばもしかしたらもふる機会があるかもしれないという、そんな希望を兼ねての行動だと僕は思います!(迫真」


 「(…なに言ってるの?ソウタ?)」


 スズネは期待した目線を送っていたが、僕の言葉に不安そうな目線を送ってくる。僕もケモナーとしてスズネをもふりたい!そんなことを考えてるとケモナーの彼が頭を押さえながら起き上がった。


 「いってぇ…なんだよ、突然後ろから殴られたような感覚がしたんだが…?なんだ?喧嘩でもしてるのか?」


 「ちょうどいいときに起きましたね。貴方はスズネのことをもふりたいですか?」


 「ちょっと何を聞いて…「あぁ、もちろんだ!俺は獣人をもふりたい!え?もしかしてもふらしてくれるのか!?」」


 女冒険者は戸惑いをみせるも、男冒険者は瞬時に今の気持ちをさらけ出した。そんな彼をジト眼でみるスズネがいた。そしてスズネは宣言した。


 「もふらせません!」


 「そ、そうなぁ…」


 男冒険者の彼は露骨に落ち込んでいた。女冒険者はそんな彼に呆然としていた。


 「そういうことですよ。スズネは彼のことを誘惑していません。これでスズネから誘惑したとは言えませんね」


 「で、でも…「しつこいですよ。あなたがスズネを理不尽に怒鳴り付けていたことには代わりありませんが」」


 女冒険者は彼の対応と僕の対応に泣きそうにしていたが、誰も女冒険者のことを慰めようとしない。男冒険者は未だに落ち込んでいた。誰も救われない戦いは幕を閉じた。その後、カシワとレイシアがいちゃつきながらギルドに入ってきて、しらけたみんなは解散していった。


 僕はジト眼でスズネに見つめられ、男冒険者と女冒険者はとぼとぼ帰っていった。その後、仲直りをしたらしく、見事狼の魔物をテイムすることができ、二人でもふりながら幸せに過ごしたとかいないとか。

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