第29話 街の真実
ご飯を食べ終わった後、1度解体所に向かい、オークを2体出してからギルド長の部屋にむかった。ギルド長は部屋のソファに座り、僕は反対側に座った。
「じゃあまずは狩りの経路について説明するぞ。最初にカシワの村までの地域を一掃する。このときゴブリンは大勢いることが予測されるから、肉の臭いで誘き出す。時々大物が来るが、ゴブリンの量は圧倒的に多い。次にカシワの村を拠点として周りの魔物を一掃する。次に森の奥の砦までの魔物を一掃する。このとき、散り散りになるが、砦までの経路はいくらかあって、大物が潜みやすい場所を把握してるため、そこの魔物を駆逐する。ここまででなにか質問はあるか?」
ギルド長は机の上に地図を置き、指をさしながら説明する。今まで見たことがなかったが、なかなか森は広大でカシワ村の周囲は森しかない。よくこんなとこに転生神は転生させたな。もっと街の近くとか色々あったろうに。
「それぞれ、何日間程度かかる予定ですか?あとはアイテムボックスに入れる魔物は散り散りになった場合、どう納めていくのですか?」
僕は自慢じゃないが、体力には自信はないぞ。寝ることに関して言えば右に出るものはいないというほど寝るのがはやいぞ。あ、シエスタも結構いい線いってるよな!そういえば。
「あぁ、だいたいカシワの村では3日程だな。砦までの経路は1週間程になるかな。一応補給が何日かに来るようにしている。さすがに肉ばっかじゃあ体が持たんからな。納める魔物は肉はその場で食べるから気にしなくても良い、納められるなら納めてくれた方が後で売るときに困らないだろう。」
確かに肉は食料になるな。素材か。定期的な狩りが行われていなかったから、ジパーズも狩りに行こうとしていたのだろう。ギルド長が帰ってきたため、素材集めの狩りへ行こう(強制イベント)は延期になったのだろう。
「武器や防具の素材が主になるだろうから。集まり次第入れてもらうことになる。一応有限の魔法鞄があるから、全部は回らなくて良いようにはするぞ。近いところをうろうろしてもらう形になるだろうね」
それくらいなら大丈夫だろう。
「有限の魔法鞄ということはそれも満杯になったら、中のものを回収することになるのですか?」
「まぁ、そういうこったな。足のはやいやつが送り届けることになるだろうな。まぁお前も狩りに出向くのなら、それなりに体力がないと持たんぞ」
「そうですね。これでも一応体力には自信があったのですが、もしかして徹夜でとかは言いませんよね?」
体力には自信はありますよ。建前としてね!寝ることは大事!
「そんなわけないだろ。大体10班ぐらいに別れて行動するが、5班は昼の部、残りは夜の部に別れてもらう。ちょうど魔法の鞄は10個あるからな」
あれ?でも僕がうろうろして回収するんだよね?それって寝てるとき起こされない?僕はなかなか起きないよ?
「なんでそんなに魔法の鞄を持ってるのですか?」
「あぁ、これはカシワの取り巻きの中にも空間魔法の使い手がいたんだ。もう亡くなっちまったが、腕の良い職人でもあったから。魔法の鞄もいくつか残してくれたんだ。確か、今は弟子が魔法の鞄を数年に1度くらい作ってたかな。確か名前はなんだったかな…あ、そうそうジパーズだったかな。彼は優秀でこの街で一番いい鍛冶師だよ」
なぁ…もしかしなくても素材集めの強制イベントのときにくる助っ人ってさ、カシワのことじゃないよな?違うよな?ドワーフの仲間とかだよな!そうだといってくれ!
「そうだったんですか!金にものを言わせて買い付けてるのかと思いましたよ。あ、ジパーズは僕の武器と防具をつくってくれたんですよ!」
スズネの鉄扇を作ってもらったときに、「あ、一応できてるから持っていきな」とか言って適当に武器を渡された。解せぬ。
「へぇーっ、あの気の難しいジパーズがつくってくれたのか。いいな。俺の武器も頼んでくれないか?あんまり気が合わないんだよな」
「そうなんですか?スズネにはいくらでもつくってやる!とか言ってたので、ちょろいなとか思ってたんですけど」
「あぁドワーフは獣人が大好きだからな。獣人から少しずつ毛を分けてもらって、枕をつくるくらい大好きだからな!というかそういう商品もあるくらいだからな。誘拐とかはしないけど、大分優遇はするぞあいつらは、どうせ武器も無料だったんだろ?」
獣人ってだけで優遇されすぎませんかね?僕も獣人だったら割り引きされたのかな?あ、でも獣人って男の人からもにやにやされながら寄ってくるのかな?それだったらこのままでいいや!
「そうですね。激甘でしたね。というかどの店もそんな感じでしたよ」
スズネがいれば買い物が本当に助かる。
「そりゃあそうだろ。ここの街はケモナーとカシワの取り巻きだけで構成されたようなもんだしな。一応ノーマルもいるが少数派だぞ」
え?ここ、ケモナーの街だったの?