第26話 付与魔法の使い手
ストックが増えたので投稿します。
「保護化ですか?」
空間魔法の使い手についての保護方法についてギルド長が語り始めた。
「あぁ、そんな自由を縛るとかではないぞ。保護化にするにはいくつか方法が存在する。一つは護衛をつけることだ。これは日常生活において信頼のできる冒険者と活動してもらうことだ。断ることもできるが、密偵のような人がずっとついてくる。ただしばれたことはない」
ストーカーと勘違いしないといいけどな。うちには一人すでにカシワという人が街でいるんですが、それは。
「もう一つは紋章を身体に刻むことだ。これは背中に刻むから目立たない。それと普段は見えないから風呂にいってもわからない。この紋章をつけてる人が無理矢理連れ去られそうになると発動する。これによって誘拐を防ぐことができる。魔物と戦うときは即死と死に至る攻撃を防いでくれる。」
割りと過保護だな。信頼できる冒険者はいいな。でもこれってさ僕のこと知ってる人だよね?先輩冒険者といえばよくシエスタにご飯あげてる人とかかな?紋章か、僕には【流体操作】があるから基本的に近づけないから、保険としてはちょうどいいな。眠ってるときも安全になると言うことだな。
「信頼できる冒険者といえばよく僕のスライムに餌をあげてる人とかですかね?」
シエスタに餌付けしてる人なんて軽く数十人はいる。僕よりも先輩冒険者におごられてるんだよね!
「そうしたいのは山々だが、カシワが『俺がやる!いや俺に任せろ!絶対守ってやるからな!』とか言って介入しかねんから、おすすめはできんぞ」
ギルド長も必死で止めようとする。
「そ、そうですね。すでに遭遇率が高いのに、そうなったらずっといることになりますよね…」
街を歩いてると視界の端によく見えるんだよな。
「だ、だよな。話は聞いてるからな…わかってるぞ、なんかすまんな」
ギルド長も申し訳そうに言い、なにかと気まずそうだ。
「い、いえいえ。安全ではないけど、絡んでくる人がいないので、助かってはいます。本人から狙われていますが」
「じゃ、じゃあ紋章でいいか?別に身体に削りつけるとかじゃなくて、付与魔法師に頼んでつけてもらうだけだから。痛みはないぞ」
「そうですね、よろしくお願いします」
「おう、任せろ。ちょっと脱いでくれるか?」
席を立ち、袖をまくりながら近付いていく。
「え?ギルド長もそういう趣味だったんですか?」
「違うわ!付与するには直に肌に触れないとちゃんとした紋章をつくれねぇんだよ!ちなみに付与は俺ができるからやるだけだ!他のギルドではちゃんとした付与魔法師がやってくれる。確か女性が多かったな」
「ぐすん、女の人にやってもらいたかった…」
「やめろ!俺だって男の背中なぞって何が楽しいと思うんだ!俺だってやるなら女の方がいいに決まってんだろ!」
服を脱ぎ、背中をギルド長に向ける。するとなにか呪文を呟いて、背中をなぞり始めた。やはり魔法には呪文をつかうことが一般的なのだろう。それにしても結構時間のかかる魔法だな。背中が熱くなったかと思うと、なにかが身体に入ってくるような感覚があった。
「よし、終わったぞ」
「ありがとうございます。副ギルド長がこの場にいなくてよかった」
「俺もそう思うぞ。そういえば今、狐獣人と一緒にいるらしいな。その子も保護化に入れるから、連れてきてくれるか?」
「良いですよ。はっ!?まさかロリコ…「違うわ!俺はボン!キュッ!ボンのお姉さんが好きだわ!」ですよねぇーっ、そんな気はしていました」
「はよ、連れてこい!」
急かされてスズネを連れてくることになった。