第24話 カシワの力
モントとモンカと楽しく会話しているとリサさんがやってきた。
「すいません。楽しそうなところ申し訳ありませんが、ちょっと来てもらってもよろしいですか?」
「あ、はい?いいですよ。ではモントさん、モンカさんまた来ますね。あ、次のオークです」
「おぅ、いつでも来いよ。このオーク解体したらギルドの食堂で休憩してるから声かけてくれ。次のオークを解体してやるからな!」
モンカさんはオークの解体を始めて、モントさんは休憩を始めた。そして僕はリサさんに連れられてギルド長の部屋の前までやってきた。
「ソウタさん。ギルド長は副ギルド長みたいに変な人ではないので、普通に接して大丈夫ですよ。敬語とかも気にしませんので、自由に話しかけてください。ギルド長はノーマルですから、心配しないでください」
「先輩冒険者の方に聞いてるので、大丈夫ですよ」
副ギルド長が二人もいたらこの冒険者ギルドは成り立たないと思ってもいいだろう。なんであの人が副ギルド長なのか疑問ではあるが、ギルド長がいてくれてよかった。
「失礼します。ソウタさんを連れてきました」
『入ってくれ』
「失礼します。ソウタです。よろしくお願いします」
「おぅ、ギルド長やギルドマスターと呼ばれているトウヤという。今日は急に呼んで悪かったな。まぁ座れや」
「では、これで失礼します」
リサさんは業務に戻っていった。ギルド長と二人きりになったが、信頼も厚いため気にしない。
「そんなに警戒しなくていいぞ、カシワみてぇに男好きじゃねぇからな!あいつの趣味は気にするな、関わるとろくなことはねぇ。なんであいつが副ギルド長なのか?って顔してるな」
そこは気になっていた。どう考えてもお飾り副ギルド長だ。確かにゴブリン村では村長だったが、どう考えてもハーレムつくるための村だ。
「あいつが囲ってる男達はみんな強者だからだな。これが主な理由だ。あいつを官職につけていれば、自然とその男達はギルドに恩を売ってくる。あいつの気を引くためだ。だからあいつは副ギルド長なんだよ」
なるほど、そういう意味があったのか。確かにレイシアも強者だった。どうみてもBランクを越えそうな威圧感があった。
「それにあいつ自身もSランクの強さを持っている。だから誰もなにも言わねぇんだよ。お飾りでも強さはあって、街を守ってくれている。定期的な狩りには必ず参加してくれている。街には非戦闘員の男達がいるからな。ギルドによくいる強面のおっさんがいたろ?あいつはケガで戦いにいけないから、ギルドで初心者講習会を開いてくれている。カシワとは長年の仲らしく、よく一緒にご飯食べてるみたいだぜ。どんな関係かまでは知らねぇがよ」
「そうだったんですか。ただのお飾り副ギルド長ではなかったのですね。こっちにアプローチしてくるから、変な目でしか見てなかったのですが、一応いい人だったんですね」
「ま、まぁな…(それでやめてった冒険者がいるなんて口が避けても言えねぇな…)」
「ん?なにか言いました?」
「なんも言ってないぞ!それよりもお前空間魔法の使い手なんだってな!ちょっと詳しく語れよ!」
今絶対なんか言ってたぞ!滅茶苦茶焦ってる!これは絶対なにかあるな。もしかして変な目で見られてこの街を去った人でもいたのかな?