第23話 アイテムボックス
解体所には実は初めてくる。いつもは解体してから売りに出すため、いつも値引きされてしまう。しかし!僕には創造神様から頂いたアイテムボックスがある!「買い取り所ではちょっと多いので、ここでは無理です」と告げるとはぁ?みたいな顔をされたが、そんなことは気にしない!僕にはアイテムボックスがあるのだからな!ここ重要なとこですよ!テストに出ますよ!
解体所には二人のおっさんがいて「獲物を出してくれ」とにやにやしながら言われた。僕は確かになにも持っていない。だがな、僕にはアイテムボッ…すいません。早く出します。
「どこに出せばいいですか?」
「そうだな、この辺りに頼む(にやにや)」
「わかりました」
解体所のおっさん達はどうせなにもないだろ。はやくしないかな?みたいな茶番劇は早く終わらせろみたいな感じで急かしてきたので、進化したオークを出してやった。進化したオークは2mほどの巨体で、進化したてほやほやで、時間停止のアイテムボックスに入っていたため、新鮮だ。
「ぷぷっ、どうせ茶番…な?はぁ?」
おっさん二人は眼を限界までひんむいてこちらとオークを納戸も何度も向きなおす。ちょうどギルドカードの処理が終わったリサさんも来て、オークに驚いていた。
「ソウタさん、ギルドカードの処理がおわり…ま…した?」
「あ、リサさんありがとうございます。こちらが僕が狩ってきたオークです。これよりも小さいですがオークはあと20匹分ありますよ」
その言葉におっさん二人とリサさんは唖然としてかたまっていた。あまりにも返答がないので、オークの鮮度が落ちるため、オークをしまった。そしたらそれに驚いた3人は数分の間帰ってこなかった。
「あの?すいません、そろそろ解体していただきたいのですが、いいですか?」
「お、おぅ…いいぞ、小さいのから出してくれ。終わり次第、次を出してくれ」
やっと帰ってきたおっさん達は通常業務に戻り、解体を始めた。その間もリサさんはかたまっていた。
「おーい、リサさん?戻ってきてください」
「はっ!?す、すいません。あまりの出来事に驚いてしまって、もしかして今のは空間魔法の一種ですか?」
「あーっはい、そうです。最近覚えたんですよ」
「そ、そうなんですか。空間魔法の使い手は知られてるだけでも100人いないと言われているんです。だからソウタさんがやったことは快挙と言っても良いと思います。ちょっとギルド長に相談したいことがあるので、行ってきますね。これ、Dランクのギルドカードです」
そう言ってリサさんは急いで行ってしまった。解体所のおっさんはその間に半分ほど終わらせていた。おっさんは交代で解体するらしく、一人休憩してたので話しかけてみた。
「オークは肉は売れると聞いたのですが、どれくらいの値段がするのですか?」
「あぁ、肉もそうだが、睾丸や牙も売れるぞ。オークは皮も防具として使われることもある。どうやら君の魔法は空間魔法の一種で時間停止があるようだから、鮮度もよく、血も取れるから、良い値になると思うよ。ちなみに俺はモンカと言って、今解体してるやつはモントという。これから常連客になりそうだからな!自己紹介はしとかないとな!」
「モンカさんとモントさんですか。もしかしてご兄弟なんですか?」
「そうだな、俺達の家系は解体職なんだ。戦闘にも自信があるんだが、もう結構な歳だから、ここで解体してるんだ。戦闘は魔物の大発生したときとかに駆り出されるかな」
「魔物の大発生ですか?」
「あれ?知らないのか?君がよくいってるだろう森は魔物が沢山発生する場所なんだ。だから人があんまりいないだろ?みんな死にたくないから行かないんだ。砦を森の中に作って砦で魔物を駆除してるんだが、たまに上位種が現れて砦を越えてやってくるんだ。定期的に狩っててもいなくならないから、ちょっとずつ森を切り開いてるんだけど、魔物が多くて手がつけられない状態なのさ。でもギルド長がこの前帰ってきたから、定期的な狩りが再開されるはずだよ。」
「そうだったんですか。あまりにも人に遭遇しないから、時間をずらしてハブられてるのかと思いましたよ」
「まぁ、あんだけ派手に魔法をぶっぱなしながら狩ってたら、誰も近付かねぇよ!結構有名になってるぜ、スライムを連れた若い男が森を破壊しながら魔物を狩ってるってな!」
モンカさんは笑いながら答えてくれた。どうやら爆裂させすぎて誰も近づいて来ないようだ。
「そうだったんですか。ちょっと抑えた方がいいですかね?」
「いや、いいと思うぜ。俺は派手に森を壊してくれた方が魔物も寄り付かなくて逆に安全になると思うから、どんどんやってくれてかまわねぇよ!」
「次のオークを出してくれ。モンカ交代だ。このオークは新鮮で結構良い値になると思うぜ。最初からかってすまなかったな」
「いえいえ、お気になさらず。こっちも変に気合いが入っていたので、お互い様です」
「確かに茶番劇でも始まるのかと思って畏まってたぜ」
それに3人で笑いあっていたらリサさんが戻ってきた。