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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第13話 ジパーズ

 武器屋には冒険者が多く立ち寄っており、武器を眺めたり、振ってみたりと様々だが、オーダーメイドする場合には話し合いが必要なため話し込んで細かく決めてる人がいた。


 この街では商業ギルドがあり、職人ギルドと連携をとり、職人の役割分担をしっかりと決めているため、スムーズに取引を行うことができる。職人にとっては面倒な会計を任せられてさらに素材も楽に手に入り、商人は場所代と利益の何割かもらえて、定期的にお金が入ってくるといった、winwinな関係である。


 オーダーメイドに関して言えば職人と依頼人だけで素材と会計を行うため、職人の特に優秀なものはこれにあたり、職人が気に入ると自動的にオーダーメイドに導かれる。


 まぁ僕はお金もなければ魔法特化とも言えるため、オーダーメイドまでするかしないか考えず、それよりもお金がないので、無理である。今は9000リノしかないので、ちょっと良い武器買えるかな程だ。接近と遠距離両方とも魔法と【流体操作】でいけるため、もしや盾が必要ではないかと考えている。そのことを踏まえて盾を見ては持ってみたり、大きさは小さい方が良く、そして何より安くて丈夫なのを探している。


 そんなことをひたすら1時間ほどしてると、遠くから眺めていた小さいお爺さんがこちらに来た。


 「坊主、お主どんな盾を探してるのじゃ?」


 「えっとですね、軽くて丈夫で…お金がないので安めのものがあればと思い、探しています。あっ、手甲でも良いのですが…」


 「軽すぎると丈夫でも身体に自信でもない限り吹き飛ばされてしまうぞ。なぜその選択になったのか教えてくれぬか?」


 「僕は魔法特化なのですが、近距離も遠距離も両方できるのです。物理的な攻撃に反応するとしたら呪文を必要としない防具や盾、もしくは手甲といった即座に防御できるものが必要ではないかと考えました」


 「なるほどのぅ、だがパーティーメンバーにタンク役を持てば、それで安全確保ができるはずではないのか?確かに抜けられた場合に対応できなければ、パーティーの火力を失ってしまうな。それでも回避力をあげて風魔法でいえば『風壁』で防げるのではないのか?」


 「僕は今のところソロで修行しておきたいので、なんでもできるようにしておきたいのです。それに魔法はMPが尽きてしまえばただのお荷物です。防御手段とさらには物理的の攻撃手段を持っていれば、安全に回復することもできます。」


 「確かにそうじゃな!なかなか良い考えを持った若造じゃな!気に入った!わしがお主の防具と武器を作ってやろう。お金が足りなければツケでもよいぞ!ガハハハハっ」


 「いいんですか?本当に?ちなみにですが、僕9000リノしか持ってませんよ?」


 「そんなもん後で稼ぎに走ってもらえばいいんじゃよ!お金よりも命の方が大切じゃ、それに命有る限り、お金を稼ぐことができるじゃろうに、まぁそんぐらいじゃあ、わしの最低価格の短剣ぐらいしか買えんがな!」


 「そ、そうですかっ!ではお願いします!」


 「うむっ!良い心意気じゃ!ついて参れ!」


 「はいっ!」


 小さい鍛冶師?のお爺さんに連れられて奥の部屋へと連れていかれた。中は炉の熱気が凄く、そこにいるだけで汗が滝のように流れ出た。シエスタは溶けそうなことを察知して待避していった。お爺さんはその炉の近くの椅子に座り、酒をあおった。そしてこう言った。


 「わしはこの店一番のドワーフの鍛冶師、名をジパーズという。これからよろしく頼むぞ!若造よ?」


 「よろしくお願いします。僕の名前はソウタと言います。」


 ジパーズはここに座れといい、椅子を持ってきた。そこから話し合いが始まった。まずは防具について決めていった。僕が魔法特化であるが、近接もすると聞いていたため、動きやすい革を使ったものにする。急所となる部分には金属である魔黒鉄を使うことになった。


 魔黒鉄は鉄に魔力とアンデット系の血を混ぜたもので、魔物の血と魔力はよく活用される。特に竜の血などは薬にもなるが、鍛冶師としては金属に馴染ませて使うものとされている。竜の血を使うときは魔竜鉄という。我らがスライムは修繕に使われることが多々ある。あの無限に湧いてくるゴブリンは牙をナイフにできるが、それは量産のナイフに使われることがあるようだ。


 革でも動きにくくなることがあるが柔らかくすれば大丈夫とのことだった。革の内側に衝撃に強い糸でつくった布をつければ肌に優しくなり、防御力も上がる。この糸は蜘蛛系の魔物からとったものだが、名前は忘れたそうだ。でも強いことは確か。


 それから寸法を計り、デザインについては僕にセンスの欠片もない点を今の服装から推測され、強制的にジパーズがやるとのことだった。解せぬ。


 そして今日は時間も遅いので解散することとなった。空をみると真っ暗だったので、急いで宿の食堂行き、猪肉のステーキを食べた。油がよくのっていて胃がもたれそうだったが、この世界に来て一番おいしかったので、よしとした。

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