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流されたものの行方  作者: 『食べられません』を食べた人
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第108話 乗る?乗られる?

 結局また一泊することになったのだが、アリスの件はスムーズに終わった。アリスは卒業したにも関わらずオークの研究のためにいただけで、いつでも学校を出ることができる身だったのだ。


 次の日の朝、再びメルサ親子に見送られ、門から出発した。当たり前のように戦闘狂がにこにこした顔で見送りに参加し、当たり前のように人数が倍に膨らんでいた。


 「ソウタさん!今日こそは勝たせてもらうぜ」


 「うん、また来たのね。でも本当にそろそろ行かないといけないから……一瞬で終わらせるね」


 「はん!俺達は今までの俺達じゃっ……うわああああああ」


 先頭の戦闘狂に風を纏わせて足を軸に回転させる。その勢いで上に飛ばすのではなく、地面を掘っていく。頭だけ出した状態で止まり、風で土を肩まで固定する。その光景に今か今かと餌を前にした犬みたいに唸っていた彼らも呆然とする。


 「どんどんいくよーっ」


 逃げようとする者も逃がさないで風圧で姿勢を正せて地面を掘り、埋まったら次に移る。戦意があろうとなかろうと地面に埋まっていく。


 「じゃあメルサ、今日こそは行かせてもらうね」


 「ま、またなのじゃ……」


 メルサの顔が引きつっていたのは気のせいだろう。きっと昨日スズネがつくった料理を分けてあげたのが悪かったのだろう。アリスを連れていくに当たってどんなメリットがあるのかを相談した。そしたら僕とスズネがつくった料理がどれだけ酷いのかを味わってみたいというので、嫌々食べさせたのだ。


 さすが長生きしてるだけか、根性で意識を保っていた。シエスタとアッシュはアイテムボックスから出した瞬間に部屋から出ていったときはスズネが目に涙を浮かべていたのでかなり焦った。


 スズネにはもふもふしたらなんとか許してもらったが、シエスタのご飯を雑草にしてアッシュのご飯をゴブリン肉にすることに決定した。


 その時の二人の顔は絶望していたが、念話でスズネの料理よりマシという言葉には激しく同意だが、時にはやっていいことと悪いことがあることを理解すべきだ。


 スズネが寝静まった頃、我慢できなくなったシエスタとアッシュが夜抜け出して狩りしていたので、夜だけの予定を明日の夜までにしてあげた。


 そんな思い出に浸りながら進む道すがら、ひとつ思うことがあった。スズネはシエスタに跨がって歩き、アリスはアッシュの肩に乗っていく。なんで僕には乗る魔物がいないのだろうか。


 確かに長い距離を女性に歩かせるのは気が引ける。しかしよく考えてみれば両方とも僕の従魔なんだよね。僕も欲しい!乗る乗られる関係の仲間が!


 ……とか言ってみたら、迷子の女の子を見つけてしまった。話を聞く限り、森に薬草を取りに来ていたらゴブリンに見つかってしまい、逃げる途中に怪我をしてしまったらしい。追いかけていたゴブリンについては僕が倒しておいた。


 「ゴブリンからたすけてくれてありがとう」


 「気にしなくてもいいんだよ」


 「村は……あっち?」


 「うーん、地図をみる限りはこっちだと思うんだけど」


 女の子は怪我をしている上、ここがどこかわかっていないので、村の方向も大雑把だ。地図に記載された村であればいいのだが、なかなか悩ましい問題だ。


 女の子の名前はサリアといって、年は10歳というロリである。移動するにあたって僕がおんぶをしているのだが、スズネとアリスからの視線が痛い。


 シエスタにもアッシュにも乗れるかもしれないが、先程まで魔物のゴブリンに襲われていたのだ。温厚とは言っても魔物であることにはかわりないので、僕が消去法で残る。


 だから僕がおんぶをしているのだが、サリアはスズネとアリスに羨ましいとばかりに視線をおくる。解せぬ。


 あと僕が思ってた乗られる関係も相手が女の子なら悪くない。きっとシエスタも幼女好きだから毎回スズネに乗られて嬉しくてしかたがないのだろう。

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