第105話 お仕置きタイム
大量に出した血は戦闘狂達を吹き飛ばした後、人の形をとっていく。それぞれが戦闘狂と同じ武器を持っている。
「くっ…なんだこれは!?」
「血…?なんて魔力コントロールなの…?」
「こりゃあ…愉しくなってきたぜ」
うんうん、みんなやる気だね。僕は結構お腹一杯だからはやく終わってほしいよ。だからさっさと終わらせる。血人を凍らせようとした子に近づく。手に風を纏わせて平手で腹を殴り飛ばす。
僕に意識を向けてなかったお陰で無傷で倒すことができた。
「それに気をとられてる間に一人終わっちゃったね」
「くそっ、なんだこれ!俺の武器は当たらないのにこいつの攻撃は食らうぞ!」
「ははははは、いいぜいいぜ!これが戦いってもんだぜ!」
「ふっ、魔力を纏わせれば、こんなもの苦でもないわ!」
「……あの、一人?」
無視された。というより目の前の血人しか意識下にないのか、まるで共に戦っている仲間がいないようで、味方にも攻撃が飛んでる。仲間割れ?って感じでもないけど、ちょっと寂しい。
今日の戦闘狂は4人いるのだが、血人を使えばそれほど苦ではない。というよりこいつらには連携が一切ない。完全に個人プレイだ。そういえば僕も誰かと連携して戦った記憶もあんまりないな。
めんどくさくなってきたのでさっさと終わらせよう。一人は魔力を剣に纏わせるという魔法剣っていうのかな?あれをやって血人を斬っていた。でも血人は血で出来ているからあんまり有効打になっていない。
斬撃ってよっぽど剣圧がない限り液体に効果はない。なので血人を大の字にして物量で突撃させる。
「なっ!?くそっ!」
先程まで血人が腕で攻撃していたところを突然大の字で突撃したことによって驚いていた。魔力を高めて切り裂かれようと無意味であり、当たり前のように吹き飛ばされて町の外壁に背中からめり込んだ。
彼はきっと後でみっちり叱られるのだろう。主にメルサに。
お次は先程から笑いながら血人とお楽しみ中な彼だ。この中で一番やべぇやつなので、取って置きの技をお見舞いしてやろう。
「あはははは、俺の敵ではないぜ!せいっ!」
と、彼は言っているが血人に全く有効打を出せていない。今では血が服に染み込んで全身血だらけになっている。もちろんクリーニング代は出さないよ。
彼が楽しそうに血人と戦っているところ悪いが、戦いが長いので決着をつけることにした。まずは血人を彼に抱きつかせて体の中に取り込む。
「はっ、そんなん効かな…ごぼぼぼぼぼ…」
おっと、やりすぎた。顔は出しとかないと溺れてしまう。顔は出して、その場で足を軸に回転をさせる。
「ごぼぉっ…はぁ…はぁ…死ぬかと思った…ん?」
回転することによって地面に穴が開いていく。もちろん彼も一緒に地面に潜っていくのだが、彼は何もできない。
「ちょ、な、な、き、気持ち悪っ…」
あまりに早い血人の回転に彼は酔ってしまったようだ。まぁそれでも終わるまではやめないけどね。
「うぅ…もう無理だ…」
もう彼には戦う意思がないようだ。穴も開き終わったしもうやめよう。
「僕の勝ちだね」
「は、はい…俺らの負けです…」
僕の勝利宣言により彼は負けを認めた。しかし彼はそれどころではない。なぜなら血人は彼を穴の中に埋めた後、首より下をがっちり固定して自分だけ脱出している。
血人は水分なので土もすり抜けることができる。なので彼は僕の宣言には答えられたが、別れの握手やらなんやらはできない。
「あ、あの…」
「ん?なにかな?」
「で、出れないんですけど」
「そりゃあそうだ。そうするために固めたんだから」
今も彼の周りの土をパンパンと叩いて血人が固めている。そのたびに彼はビクビクしている。それもそのはず血人がパンパンするたびに出られる確率が低くなっているのだから。
「出たければ仲間に助けを呼ぶか、自力でなんとかするんだな」
僕はそう言って血人をアイテムボックスに仕舞う。血人は召喚獣でもなければ生き物でもない。僕が【流体操作】で作り出したものだ。さっさと収めた僕はその場を後にした。