第102話 戦闘狂との遊び方
幼女大好きおじさんは衛兵に嫌々連れていかれた。おじさんが抵抗したのではなく、衛兵がおじさんの悪臭を嫌がったのだ。おじさん自身の体臭として処理させたが、悪いとは思っていない。
きっとあのオークの臭いに興奮してたあの学生さんになら好かれると思うよ、多分。まぁ一件落着ということで見学は再開となった。
「せっかくソウタ殿に来てもらったのに、こんなことになってすまんのぉ」
「大丈夫ですよ、結構楽しませてもらえているので」
「スズネ殿もすまんのじゃ」
「全然気にしてないわよ。アレはちょっと気持ち悪かったけど、メルサさんのせいじゃないのだから」
「二人ともありがとなのじゃ」
「「いえいえ、お気に為さらず」」
メルサは気に病んでいるが、なかなか面白い体験ができていると思っているのは事実だ。向こうの世界での学校は寝て起きての生活だったが、こんなにユニークな人はあまりいなかったもんな。いや、脚フェチのあいつはユニークだったか。
メルサに最後に案内されたのは魔法の実技を得意とした戦闘狂が集う訓練所だ。戦闘狂というのは失礼だ!と思うかもしれないが、これはメルサが言っていたので失礼ではない。
「戦闘狂っていうと戦うのが大好き、強い人と戦いたい人のことだよね」
「そうじゃよ、まぁ訓練するのはいいんじゃが…」
「なにかぁ!?」
訓練所にたどり着くと目の前を人が飛んできた。飛ばされた場所をみるとにやにやした男が手を突きだしていた。さらに風の玉を作り出していた。反対に飛んでいった人はというと平然と立ち上がり対抗して魔法を打ち出していた。そのどちらの射線上に僕がいるのだが、二人とも気付いてないのか?
「ふっ…今のは効いたぜ、だがな!俺の必殺技に耐えられるかな?」
必殺技?なんだかそそるワードだが、それは僕を避けてくれるんだろうな?
「はっん、お前の必殺技などたかが知れてる。俺の奥義に比べたら足元にも及ばねぇよ」
今度は奥義か、ぜひ見てみたいのだが、君ら僕のこと見えてるよね?二人の世界に入ってないで周りみようか。
「食らえ!超必殺風の玉」
「奥義竜巻」
おお?名前だけかと思ったら意外と威力もすごいな。そして僕にそのまま突っ込んできたな。とりあえず【流体操作】で受け止めるか。
「「なにっ!?」」
周りを見ないこの人達にはお仕置きをしないとね。風の玉は圧縮して威力を高めよう。さらに風を螺旋のように纏わせて圧縮を加えてっと。
「まずはこれのお返しね」
「いや…あの…それ、死?」
「大丈夫、ちょっと遠くに飛ぶだけだからさ」
「本当にすいまっ!ぐぼらっ!?」
飛ばされた彼に向けると彼はおどおどしてるが、恐怖で逃げられないのか、真っ正面から受け止めて壁に激突した。風の玉の方は彼を飛ばした後、壁に痛々しい傷跡を残して消滅した。
「ふむ、なかなかの威力だったね」
さすがに威力は抑えたけどね、あれをそのまま撃つと彼はきっとばらばら死体になってただろう。
「なっ…あ、え?」
「次は君だね、ほらこれ返すね?」
「いえ、俺は大丈夫なのでお持ち帰りください」
「ここはテイクアウトできないので、ここで食べてね?」
竜巻はさらに巻き数を増やして四方から抑えて風壁で包み込む。巻いてる方を彼に向けて、さらに抑え付ける。彼は逃げようとしたので、素早く彼側の風壁をはがして開放する。
「うわあああああああっ!」
彼は竜巻に飲まれて回転しながら壁に突っ込んで上半身を壁にめり込ませて動かなくなった。
「ナイスめり込みだ…」
…この人は絶対敵にしてはだめだ、そう戦闘狂は思わなかった。むしろ俺と戦ってくれ!そう思われただろう。
今、ソウタvs戦闘狂の闘いが幕をあける!
次回、ソウタ、死す。
フラグを必ず回収するとは限らない。