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ニューゲーム?コンテニュー?それとも強くてニューゲーム?  作者: おれんじじゃむ
第1章 魂は経験値の塊
3/15

第1話 禁書ルシア・アルケィディア

目に留まり嬉しい限りです!

しかし、1時間遅れました。誰も待ってないとはいえ言ったことが守れず情けない。すみません。


第1話では天界からルシアの物語までを書きました!

読んでいて自分でも「無駄になげぇ」と未熟さを痛感しております。ペースも遅いですがなんとかかんとかやっておりますので是非ともブックマークしていただきまして、辛い評価、コメントでも嬉しいです!宜しくお願い致します!

毎週日曜日12時にアップします!

では第1話どうぞご覧ください!

アリシアが大樹をミジンコにした。と虚偽の報告を行った話には続きがある。


「ミジンコ?━━━ッハッハッハ!アリシア!君は私の命令にそのまま従ったというのか?━━━くっくっ。いや、実に面白い、面白いのだか・・・それが事実ならばだが━━━。」


 神はそう言いながら指をパチンッと鳴らす。すると神の背後に一人掛けの豪壮な装飾の施された椅子が現れ肘掛けに手を起くと、深々と腰を沈めた。更に肘掛けに肘を立て拳を顎に当て、その顔は若干険しくアリシアを見下ろした。

 いつもの不機嫌モードとは違う空気を醸す神の心中を察したアリシアは、瞬間両膝を地に付け、両手を胸元で交互に握り、うつむき口を開いた。


「━━━━━━っ!申し訳ございません。主様に背いた罪は如何様な形でも甘んじてお受け致します!なのでどうかっ!どうか彼の処遇につきましてはこのままっ━━━!!」

 先程よりさらに深々と頭を下げ地面の一点を見つめるアリシア。


「そうだな━━━彼は【ルシア】をもう始めてしまっている。最早わたしにも手は出せないのだ。呪われた人生だが、大樹くんの人生を取り戻すにはこれ以上は無いか━━━━」


 驚くべき事に神は全てを把握していた。見透かされ、見逃されていた事実にアリシアは恐怖した。


「・・・主様はいつから、わたくしの意図を見抜かれてご覧に?」


 恐怖故の、知らずには居られない感情に駆られたアリシアは、神の意図が大樹にとってプラスになるのかマイナスになるのか聞かずにはいられなかった。


「・・・わたしが統治するこの世界の全ては偶然では無く必然が理だ。つまりは━━━━君が禁書庫よりルシアの書を持ち出す事もまた必然だったというだけに過ぎないのだよ。」


 言葉を無くすアリシアを前に神は続けて、


「だが一つ。大樹くんが起こした例のイレギュラー・・・あれはわたしの知る必然の理から外れた事象だ。過去に例のない事でわたしも戸惑っているのは本当だよ。故に一度外れた先の彼の行く末は私にも見えないのだ。━━━━つまり、君の起こした必然による、彼の顛末にはわたしも興味があるのだよ。」


 知ろうとすれば全てを知ることの出来る神でさえも知り得ない事。それは神にとって単純に興味深く、少し疎ましいものだった。。


では、肝心の大樹が転生した【ルシアの書】とは何か?


 まず、人は転生する毎に白紙の本を与えられる。そして転生したその瞬間に生まれてから死ぬまでの全ての事象が本に刻まれる。それは神でさえ書き換えることの出来ない必然となり、やがてその生を終える時、魂は天へ向かい本は燃え尽き無くなる。


 問題の【禁書庫の本】だが、それは生命を終えても魂を解放せず、且つ本は燃え尽きない呪われた本を指す。魂を縛るその本は【呪縛の書】と呼ばれ、魂を縛る理由は様々だが主な原因は『後悔』だ。

後悔などの負の念が強ければ強い程そうなる可能性が増す。

 そして、自分に代わり《新しく自分をやり直してくれる魂》を待つ呪いとなるのだが、代わりに自分の人生を歩んだ者が生命を終えた時、後悔の念を晴らせないかった場合は、代償にその魂もまた本に囚われてしまう。更にはその世界に住むすべての魂もまた彼の呪いにより囚われてしまい同じ時を繰り返す。

特例転生のリスクとしては決して軽くはない。

 その呪縛の書の一つ、【ルシア・アルケィディア】という人物の終わりの話をしよう。

場所は地下。陽の光は届かず松明がぼんやりと照らすだけの暗く薄気味悪い通路。普段から人気はなく密会にもってこいな所で今まさに人気を避け密会する男女二人の姿があった。一人はルシアだがもう一人の女性については追々話すとする。男女の密会という雰囲気から不埒な想像を思い浮かべる人も少なくないであろうが、火急の事態を容易に窺い知る事ができた。

 二人のその身は王国騎士の制服を纏っていたのだが、制服は血や土埃にまみれ、急場の空気を醸していたからだ。

 耳を澄ませば何やら会話をしている事だけが解る程度の声が通路に響く、


「━━━━━ごめんなさい・・・ルシア。私は━━私はあなたを━━━ッなんでっ、なんでっ━━━こうなっちゃったの?!ルシアはっ、ルシアは優しすぎたんだよ━━━━━ッ」


 そう良いながらグシャグシャの顔で涙を流しルシアを抱き締める女性。その手にはナイフが握られルシアの背中に今にも突き刺そうかという状況だった。


「これはすぐに気づいてやれなかった僕の責任だ━━この事は誰にも話していない・・・君が手を汚すのは僕が最初で最後になることを祈るよ━━━━━っ!」


 ルシアは全てを受け入れた表情で女性の耳元でささやく。

次の瞬間ナイフはルシアの背中に突き刺さっていた。


「ごめんねっ━━━ッ━━ルシア。ルシアっ━━うあぁぁぁぁあぁ!」


 女性は震え泣き叫ぶ。そのまま女性の腕の中でルシアは静かに息絶えた。


 これがルシアの物語の最後。


 今まで誰も運命を変えられなかった。それは【ルシアの書】に記された必然の理だからだ。

だが、ただ一人理を外れた事のある大樹になら━━━━━━と、アリシアと神は期待せざるをえなかった。

 

 そして話は大樹が門をくぐった時に戻る。

 門の先では大樹の体は光に包まれ、眼前では上下左右認識のかなわない何もない白い世界が広がる。ただフワフワと浮かんでいる様な錯覚に陥る中、生暖かい空気に包まれていく。春の晴れた日にうたた寝するように、徐々に意識を失っていく心地よさを味わう。

 そうして完全に意識が途切れた所で大樹はルシアとして誕生した。


 ルシアの産まれた世界の名は【ラーグバイト】

 ラーグバイトの人々は5種族に別れていて、王都【バルザルード】が各種族の舵を取り纏めていた。種族は様々だがお互い種族間の偏見や差別による迫害などなく、特性を生かし協力し合うことで争いとは無縁の理想の世界で過ごしていた。


 しかし、ルシアが16の時に小さな異変が起き始める。

王都から150キロ西へ進んだ先にルシアの住む【カルラン】がある。その更に西、近くの深緑の森の中でそれは起こる━━━━━

 昼間だが辺りはそこまで明るくはない。森の中は仄暗いが、葉擦れの音と鳥の鳴き声が心地良く身体をリラックスさせる。

 そんな平和を思わせる森の中で茂みに潜み、息を潜め完全に気配を絶ち、隙を窺う若者が3人いた。

彼らは偶然にも世界に同時多発した異変の始まりを目撃してしまったのだ。

 普段は、グラーズと呼ばれる体長3メートル程ある四足歩行の獣だが、[グラーズに似たバケモノ]はなんと二足歩行で歩いていた。それだけには留まらず、バケモノの体は完全に二足歩行の為の超進化を遂げ、まるで人の姿を模している様に見えた。


「━━━(んっだよアレッ!)」


貴族らしき服装をした男が側にいた女の子の腕を握る。


「(ちょっ!離してよっ!これヤバいって!━━━あんなのわたしだって初めて見たわよ!)」


腕を振り払おうとするが、固く握られた手は離してくれそうもなかった。


「(バドっ!リアっ!━━━今は黙ってろっ!)」


 バドと呼ばれる男は両手で口を塞いだ。

 リアは握られていた腕を解放され、バドを睨み付ける。

そしてもう一人、右手で顔を覆うようにしてこの状況をどう切り抜けるか思考を巡らせている男がいた。滅多に見せない癖だったがその表情は普段のそれより数段険しいものだった。それもそのはず初めて見るそのバケモノの向かう先に自分達が隠れていたからだ。


「(ヤバイよルシアっ!━━━ねぇってば!どうするの?!)」


 リアが側で考え込む男をそう呼び背中を掴んだ。


「(・・・・俺たちのよく知るグラーズは匂いと音に敏感だ。いつも狩るグラーズは複数で多方向から同時にかかれば対処できない。加えて急所は右脇から真横に40センチだが━━━それも通用するのか解らない━━━くそっ!)」


 一気に不安な表情を見せる二人。バドの顔は涙やら鼻水やらでとても見られたものではなくなっていた。


「(とにかく現状試せることはこれだけだ。いつものように俺が一瞬早く出る!それまでになんとか奴の左右に回って突撃の合図を待てっ!大丈夫、いつも通りやれば俺たちなら殺れるっ!)」


「(バドっ!お前の一撃に掛かってるからなっ!?頼むからしっかりしてくれっ!)」


 ルシアがバドの胸を軽く小突くと、


「(━━━━━リアも見てるぞバドっ!)」


 もう一押しする。


「(!?━━━わかったよっ!リアは俺が守るっ!)」


━━━━━━昔からバドは単純だった。


 瞬間3人とも口を塞ぎ息を殺し、先程とはうって代わり彼等の目付きが命のやり取りを思わせるものに変わる。

 バドとリアが森に同化するようにスッと姿を消す。奴はまだ遠く気づいていない。ここまでは順調だった。

 ルシアも極限まで気配を絶ち殺気を抑える。時間にしたら20秒程だったが、そのたった20秒が神経を磨り減らしていく彼等にとっては凄まじく長く感じた。そしてとうとうその時か来た。

ルシアが手を挙げる。バド、リアが息を止め合図を待つ・・・・


「━━━━━━(今だッ!)」


 ルシアが手を降ろしたその瞬間、リアが茂みから矢を放つ!

矢はバケモノの右足を貫いた。


『グアァアオオォ━━━━━』


 痛みに唸り体制を崩し矢を放ったリアの方を向く、その瞬間ルシアが正面から二刀流を構え突撃した。両手剣を構えたバドも同時に出る!

 一瞬反応の遅れたバケモノがルシアを目にした瞬間にはすでに[二人は]奴の目の前まで迫っていた。


「ぅらぁああぁぁぁ━━━━っ!」


 声で引き付けるルシアが奴の両手を無力化する為両手の剣を振り抜いた!

 そこに最後まで気配を絶っていたフィニッシャーのバドが刺突の構えで右脇目掛けて突っ込んだ。


「━━━━━━━━━っあああぁっ!!」


 バドの剣がバケモノの右脇から左脇まで見事に貫通した。


「っしゃああぁぁぁ!」


 直ぐ様距離を取るバド。剣は刺さったまま奴は動かない!!


「━━━━━っはぁ!はぁ━━━やったっ!?」


 リアが止めていた息を大きく吐き弓を置く。


「どうだっ━━━━!?」


 少し離れたところで様子を窺うバド。


「━━━━━━っ!」

 

 未だバケモノの両腕に食い込む剣を離さず0距離でバケモノの目を睨み付けるルシア。どんな生物も、命が尽きる瞬間の目からは必ず光が消えていく事を知っていたからだ。

剣が貫いてから数秒たった。徐々にバケモノから生気が失われていくのを感じたルシアも一気に距離を置く。


「━━━距離を取って集まれっ!」


 ルシアが叫びバドと二人でリアの方へ走り始めたその瞬間!二人は青ざめる━━━

リアは目の前のバケモノを狩る事に全ての意識を集中させていて、まさか自分が狙われているとは思いもよらず全く気づいていなかった。


「━━━━━っリアああぁぁぁ!後ろだっ!」


 リアは後ろを振り返る。さっきまで闘っていた奴と《同じバケモノ》が目の前で鋭い爪を剥き出しにし手を振りかぶっていた。

 伏せるリアの頭の上をバケモノの腕が空を切る。

 周囲の草木が紙切れのごとく辺りに舞う。


「ああぁあぁぁああぁあ━━━━!」


 俊敏なルシアが全力で走り、リアとバケモノの間に滑り込むと同時に右脇を狙った!

だが僅かにズレた━━━━


「━━━っ!しまったっ━━━やっヤバイ!」


 狙いを外したルシアの腹部に衝撃が走る!と、同時に体は宙に浮いていた。


「━━━━━━ル・・シア?」


 ルシアを呼ぶ声は弱々しく、瞬間にリアの顔が血に染まる。


「━━━ぁ?━━がっハッ!あぁ・・・げほッゴぼッ━━━」


 腹部は熱く痛みは無かった。ただただ口から血の吐瀉物が溢れる出ていき、リアの顔へ滴る。意識は朦朧とするがルシアは冷えていく体と共に冷静さを取り戻していった。


「バト・・・・りあ━━━ゴぼッ!・・・━━にっ、べ━━━ぉ・・・!あやぐっ━━━っ」


 バドが我に返る!涙を流すことすら許されない数秒の出来事だったが逆に功を奏した。張り詰めた緊張感のまま直ぐ様走り出したバドがリアの手を引き抱きかかえて振り返らず逃げていく。


「ルシアが━━━ルシアがまだっ!」


「━━━━ダメだっ!見ただろ!?もう助からないっ!」


 全力で走るバドの腕の中で暴れるリア。


「嫌よっ!いやっ!━━━嘘よ・・・・降ろしなさいよぉぉ!」


 バドは唇を噛み、血が滲む。逃げている時間が涙を連れてきて二人の頬を伝った。

バドとリアの声が遠くに聞こえる。


━━━━━無事に逃げてくれるだろうか━━━。情けな━━━い最後━だ。あっけ━━━な━━━い━━━━━━な。


 ルシアの意識は闇に沈んでいく・・・・・

最後までお読みただきましてありがとうございました。まだまだ続きますのでどうか最後までお付き合いいただけたら嬉しいです!今は毎週日曜日12時ですが、ピッチもあげたいと思って頑張りますので応援していただけると嬉しいです!

評価なども是非宜しくお願い致します!

改めまして、第1話お読みいただきましてありがとうございます!

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